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2022(R4)年二級建築士試験問題解説⑥

2022-10-15 09:19:08 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、まず解説をしていきます。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
  もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No.15〕容積率、建蔽率の記述で正しいものを選択する問題です。
正答 4
 1.誤り。法52条8項:敷地内に一定規模以上の空地がある場合に、都市計画で定められた容積率について、1.5倍以下を限度として緩和できる規定ついては、設問の田
  園住居地域は対象としていない。
 2.誤り。法52条1項八号:耐火建築物ということでの緩和はない。
 3.誤り。法53条:建蔽率制限の規定においては、道路幅員による影響はない。なお、容積率の規定においては、法52条2項で、道路幅員に4/10、若しくは6/10を乗じ
  て算出する規定はある。
 4.正しい。法53条3項一号:準防火地域内で、準耐火建築物を建築する場合には、建蔽率1/10の緩和がある。
 5.誤り。法53条の2ただし書き二号:敷地面積の最低限度について、ただし書きで、巡査派出所は、公益上必要な建築物として、適用が除かれている。
講評:建蔽率、容積率における、緩和部分の基本事項についての理解を求める問題です。建蔽率の緩和事項、容積率の緩和事項を混同しないことだと思います。肢問1と5
 については、適用除外のレアな設問ですが、落ち着いて法令集を検索すれば見つけられますし、仮に分からなくても、正答の肢問4が、確実に正答であることが理解で
 きると思っています。

〔No.16〕 図形問題で、法52条の容積率の算定の基礎となる延べ面積を求める問題です。
正答 2
 容積率算定の床面積に算入しなくてもよいもの。
 ・法52条3項かっこ書き(共同住宅の共用の廊下・階段)控除面積:1階B=20㎡、2階B=10㎡
 ・令2条1項ただし書き四号、令2条3項六号(宅配ボックス):各階床面積の合計の和の1/100を控除
  =200×1/100=2㎡
 ∴容積率の算定の基礎となる延べ面積:1階(100-20-2)=78㎡、2階(100-10)=90㎡、合計168㎡・・・「2」
講評:まずは、共同住宅の共用の廊下・階段の面積が、各階の床面積から控除されることに着目し、加えて、令2条より、1階部分の宅配ボックスによる、延べ床面積から
 の控除面積を求め、これらを各床面積から控除し、容積率の算定の基礎となる延べ面積を求めることとなります。共同住宅の共用の廊下・階段の面積控除の図形問題
 は、H30年に一度出題されていますが、今回は、令2条3項六号(宅配ボックス)の要素を加えての複合問題となっています。

〔No.17〕図形問題で、図形上のA点における地盤面からの建築物の高さの最高限度を求める問題です。
正答 2
 ①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・(に)欄より、第一種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
 ・(道路容積率)6×4/10=24/10>20/10(都市計画容積率)
 ・(は)欄より、第一種中高層住居専用地域の適用距離:20m
 ・建物後退による緩和(法56条2項):東側1m、南側3m
 ・2面道路における計算用道路幅を広い道路幅員(6m)とする
  ⇒広い道路幅とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
  ⇒広い道路の境界線からその道路幅員の2倍(6×2=12m)以内、かつ35m以内の部分
 ・東側道路斜線:(1+6+1+1)×1.25=11.25m・・・「2」
 ・南側道路斜線:(3+6+3+3)×1.25=18.75m
 ②隣地斜線制限:法56条1項二号:20mを超える部分からの斜線勾配なので、検討の必要はない。
 ③北側斜線制限:法56条1項三号
 ・A点から真北方向の隣地境界線までの距離×1.25+10m
 ・(3+1+1)×1.25+10=16.25m
 ∴東側道路斜線の「11.25m」が、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度となる。
講評:道路斜線の図形問題の定番である、2面道路による最高高さを求める問題で、その他の要素は、特に含まれていません。問題の解説ですので、一応、法令の手順に
 従い、道路斜線(一号)、隣地斜線(二号)、北側斜線(三号)と計算していきましたが、過去問で練習を積んできたいい人には、物足りなかったかもしれませんね!

2022年10月15日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
コメント
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