蓼食う虫ブログ

『山田かまちのノート』(ちくま文庫)

 みなさんは、山田かまちという人を知っていますか?私は、昔に名前を聞いたことがあって、先日、この本を手に取ることができたという次第です。
 この本には、彼が遺した詩やデッサンなどが収録されており、なかでも印象に残ったのは、次の詩です。

苦しまぎれに彼は言っていた。
あらゆる言葉を使いなさい。
そしてさらに見るように
言葉にたよらず。
わたしは彼が死ぬと思っていた
死んだ。
しかし死ななかった
わたしは言葉を引っぱり、
ぼくのものにしようと苦しんだ。
すると彼は、
わたしは死んでいない。
彼とわたしは この世でひとつだ。
だいたい世の中に一度生まれたものが、
消えて、無になることはない。
そのうえこの世以外に世界はない。
1年後、大きな木の下でわたしは、
再び彼に会った。彼もわたしも変った。
エンジンの音を聞きながら彼は、
今、君はあらゆる言葉の中から……君の言葉を選んだ。
そしてわたしは消えるような彼を見送ってそこをはなれた。
そして言葉を引きよせもせず
永遠にそこを追うことをやめた。
立ち去った 500000000年後のために、

 私がこの詩で好きなのは、「だいたい世の中に一度生まれたものが、消えて無になることはない。」のところだ。しっかりと前向きに生きていこうと感じるのだ。詩にはあまり触れてこなかったが、いいものだと思う。みなさんは、どう感じましたか?

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