先日、本書を購入。タイトルの印象からか、書店の占星術の本を扱ったコーナーに置いてあったのが可笑しかった。
本書は、帯にもあるように「タクミくんシリーズ」に連なる、新たな物語である。シリーズのファンでなくてももちろん楽しめるとは思う。『タクミくんシリーズ 完全版』の、3年生夏休みのところが描かれている8と9、そして完全版11収録の「風と光と月と犬」を読むとより楽しめるかもしれない。以下、ネタバレもあるが感想を書いていく。
まずは、「太陽の石」というタイトルの意味について。これはラストで明らかにされる。この人にとっての太陽はあの人なのだ。
人はそれぞれに様々な事情を抱えながら生きていく。また、京古野の心の叫びは、恐ろしく、切ない。私は、三洲や、京古野、そして雅彦のような複雑な事情は抱えてはいないが、それでもそれなりにいろいろある。だからといって前を向いて歩けないわけではないのだ、と背中をそっと押してくれる書である。読後感がさわやかで良かった。
疑問点は、崎義一がなぜリタイアしたか、ということだ。『BLUE ROSE』に少し書いてあるが詳しいところはわからない。
また、三洲は結局医学部を受験した。タクミくんシリーズでは医学部受験をやめるという記述があったように思う。気持ちが変わったのか、私の読み込みが甘いのか。
それはさておき、次回作にも期待している。