「悪いが、もう少し炎の勢いを抑えられないか」
私の指示に応じて、バシャーモの手首から吹き出す炎が申し訳程度に小さくなる。
僅かに月の光が差すだけの、ここトウカの森では、バシャーモの炎が生み出す灯りだけが頼りであった。しかしながら、同時にその炎がいつか回りの樹に燃え移るのではないかと気が気ではなく、私の歩みも慎重にならざるを得なかった。
森に入ってから数十分。
まだそれほど時は経っていないにも関わらず、早くも私は闇が続くこの森への強行軍を後悔し始めていた。
育て屋で仕事を請け負った私は、差し当たってミシロ方面に向かうつもりであった。
理由は単純だ。当該のトレーナーが書面に残している住所の中で、ここキンセツシティから一番近いのがミシロタウンだったからだ。
効率的な面を考えればまだ考慮の余地はあるが、対象が旅の最中という可能性が高いだけに、その場で簡単に捉まえられるとは思っていない。
そのため、とりあえず手近な所から攻めようというのが、私の考えだった。
ミシロタウンへ向かうルートは2通り考えられる。
一つはキンセツシティから南へ下り、110番道路から103番道路に折れてコトキシティへ。そこから101番道路でミシロタウンに出るルートだ。
距離としてはこちらの方が短いものの、このルートには大きな問題があった。103番道路は侵食した海が道をふさいでいるからである。
本来ならば波乗りを使って渡れば済む話なのだが、あいにくそれは不可能であった。
その原因は、ポケモンの転送システムの不具合にある。その不具合によって、預け入れも受け出すことも出来なくなっているからだ。
とりあえず3日間様子を見てみたものの、全く改善される気配は無い。
らちが明かないので諦めて出発することにしたのだが、当然ながら波乗りを使えるポケモンは連れ出せず、だからと言って育て屋から預かっているポケモンに勝手に技を教えるわけにもいかない。
そのため使えるルートはやや遠回りになるが、もう一つの道、キンセツから西へ出て、シダケ、カナズミ、トウカを経由してぐるっと回って行くルートを取るしかなかったのだった。
カナズミシティに着いたのは、すっかり日が暮れた後だった。
「あ、その人の顔だったら見覚えありますよ」
資料を手にショップで聞き込みしていると、リストの中の1人に反応があった。道中、どこで目的のトレーナーに行き会うか分からない。そのため、念のために聞いて回るようにしていたのが幸いした。
「つい先日来た人だと思います。一昨日……だったでしょうか。トウカシティに行くようでした。向こうにショップはあるかと聞かれたのではっきり覚えてます」
2日前……果たして今はどこまで行っているだろうか。トウカに滞在してれば追い着けなくもないかもしれんが……。
しかし、もう夜の帳はすっかり落ちてしまった。フラッシュさえあれば夜の森も苦も無く抜けられるかもしれないが、それも波乗りと同じ理由でどうしようもない。夜が明けるのを待つのが得策か。
そう思案している時、育て屋から預かっているポケモンの中の一匹を思い出した。バシャーモの炎を借りれば、角灯の代わりになるのではないか――。
夜とはいえ、それほど危険な森ではあるまい。少しの明かりさえあれば何とかなるだろう。そう考えて、私は夜の森を進むことにした。
(何だ……?)
薄暗い森の中を進んでいた私は、その場に立ち止まった。
「止まれ」
私の声に応じて、バシャーモも歩みを止める。
周囲に広がる暗闇。その何処かから、異様な気配を感じていた。
この辺りには、それほど強い凶暴性を持つものは出現しないはずだった。にも関わらず、こちらへ執拗な殺気を向ける「何か」がいる――。
「なんだ、気付いたのか。ふぅん」
突然、何処からか声がした。少し笑いが含まれているような、人を喰ったような印象を受ける話し方だ。私は気配が潜む位置を探ろうと、耳をそばだてた。声の主は続ける。
「お前、全くの素人ってわけでも無さそうだな。それとも勘が良いだけか?」
向こうにはこちらが見えているのか。そう思いかけて、はっとした。バシャーモの炎が発する光だ。そのために、こちらからは何も見えないのに、相手には私の様子が筒抜けになっているようだった。
「何故、こんな時間にこんな所を歩いてるんだ?」
私の手元を照らしながらも、自らの居場所を教えてしまっている……。
「答えろ!」
私の思考を中断させる怒声とともに、ムチのようにしなる何かが闇の向こうから飛び出してきた。
瞬時にバシャーモが一歩前に踏み出し、左腕を振るってそれを切り払う。
その炎によって切断された何かは、しゅるっという音とともに闇の中へ戻って行った。地面には切れた植物のツルのようなものが落ちている。
植物性のポケモンか。そんなことを思いつつも、最前から何か違和感のようなものを感じていた。暗闇に潜む何者かに対して……。
その時、闇の中に光を感じた。咄嗟に後方へ飛び退ると、先程まで私が立っていた空間を一条の雷撃が薙ぎ払う。
(やはり……!)
最初の一撃の時にも感じたことだが、向こうは明らかに私を直接狙っているようだった。どうやら先方は、ポケモン同士による戦闘などという生易しいものをお望みではないようだ。単純に、私を死に至らしめた方が手っ取り早いとでも思っているのであろう。
態勢を立て直しながらも、私はこの状況に歯噛みした。
お世辞にもこちらが有利とは言えない。相手が私を狙うことが出来たのは、おそらくバシャーモの炎が原因だろう。それは私の周りを照らしていると同時に、こちらの居場所を知らせる結果になっている。
炎を消すか、或いは別のポケモンと交換する手もある。どちらにせよ、派手に炎を撒き散らすわけにはいかないのだ。まかり間違ってこの一帯を火の海にでもしてしまったら、私自身、抜け出す望みは限りなく低い。
炎を収めれば、向こうからもこちらの居場所を掴むことは難しくなるかもしれない。だが、仮にそうしたところで、果たして五分の状況と言えるかどうか。
こちらは相手がどのようなポケモンかも分からないのだ。そもそも、植物と電気という2つの属性が結びつかない。どちらのタイプも持つポケモンなど聞いたこともなかった。
「話をするのは余り好きじゃないみたいだな。しょうがないから、こっちも黙ってとっとと片付けるか」
考えをまとめかねる内に、何者かが発する殺気が増したように思えた。私は身構えると、一先ず五感を研ぎ澄ませることに集中した。
2度目に閃光を感じたのは、今度は視界の角でだった。
「ちっ……バシャーモ! ストーンエッジ!」
私は横っ飛びにかわしながらも、その雷撃のライン上に技を放つ。
闇雲に放ったものだ。当然、手応えはない。例え当たったとしても、相手が植物タイプであればダメージは知れている。
しかし、他に離れた相手に攻撃する手段はなかった。今の私には、それぞれのポケモンのトレーナーである、見知らぬ誰かが残した技と能力で戦うしか術はないのだ。
「ぐっ!?」
何度かの攻防の後、再度放たれたツルが私の左足に巻き付いてきた。
しまった、と思った時にはもう遅かった。闇の中から光が走り――。
だが、雷撃が私を焼くことは無かった。バシャーモがツルを断ち切り、私を抱えて跳び退いていたのだ。
私は自分が窮地を逃れたことよりも、このバシャーモの動きに驚いていた。こいつは思いの他、戦いに慣れている。さっきなど、自分の炎を完全に消した上で、私を抱きかかえたのだ。少なくとも、あの老夫婦に鍛えられただけでは、この動きが身に付くとは思えなかった。
育て屋に長期間預けられていただけにレベルもかなり高かったのだが、少なからず実戦経験もあるらしいことは、私にとって幸いだった。
しかし、例えどのような手練れであっても、このまま持久戦を続けてはいられない。それも、こちらが一方的に消耗しながら、だ。
とにかく、相手の姿を捉えられなければ始まらない。そう考えた私は、敵を捕まえるために1つの手段を取ることに決めた。
幾度と無く繰り返される攻撃。私はそれを必死でかわしながらも、チャンスを待っていた。
それがやって来たのは、私がバランスを崩した時だった。
素早く伸びてきた2本のツルが、私の両腕を絡め取ったのだ。
「走れ!」
私はそのタイミングで叫んだ。号令一下、バシャーモは弾けるように跳び、手枷となったツルに沿って、その発生源に向かって駆けて行く。
「うっ!?」
そのまま闇の向こうに消えた後、ややあって呻き声が聞こえた。と同時に、絡まったツルが緩む。バシャーモが根元でツルを切断したのだ。それをきっかけに、再び指示を告げる。
「バシャーモ! スカイアッパー!」
強烈な衝撃音と共に、強く突き上げられた「何か」が木々の間を突き抜けながら、上空へと舞い上がるのが見えた。遥か高く、森の外へ――。
それをバシャーモが木の枝々を跳び移りながら、追撃をかける。
「無理な炎の調節をさせた詫びだ。思う存分ぶつけてやれ!」
宙へ跳び上がるその両腕から、激しく炎が噴き出していく。
「間違っても外すなよ――! フレア・ドライブ!」
揺らめく紅蓮の炎が体を包み込み、宙を舞うシルエットに衝突した。
森の中に再び静寂が広がった。
私の傍らにバシャーモが静かに着地したが、他に空から降りてくるものは無かった。
空を見上げても「何か」は影も形も無く、周囲にあった気配も消えた。使役していたトレーナーの気配さえも。ここには始めから、私しか居なかったかのように。
そこで、ずっと感じていた違和感の正体に気付いた。
その「気配」だ。
襲撃者が接触してきてから決着がつくまで、感じた気配は一つのみだった。最初から最後まで。
だが、トレーナーとポケモンが居て、気配が「一つ」なのはどういう訳柄であろうか。
気配の正体がポケモンなら、それを操っていたトレーナーは何処に居たというのか。或いは気配がトレーナーなら……。
私は頭を振り、余計な考えを振り払った。どうでもいいことだ。それが何であれ、私には関係の無いことだった。
例えそれが、人でもポケモンでもない「何か」であったとしても――。
「バシャーモ、悪いがまた炎を抑えててくれ」
森を抜けるため、私はまた歩き始める。早くトウカに着いて、朝まで一眠りしたかった。
私の指示に応じて、バシャーモの手首から吹き出す炎が申し訳程度に小さくなる。
僅かに月の光が差すだけの、ここトウカの森では、バシャーモの炎が生み出す灯りだけが頼りであった。しかしながら、同時にその炎がいつか回りの樹に燃え移るのではないかと気が気ではなく、私の歩みも慎重にならざるを得なかった。
森に入ってから数十分。
まだそれほど時は経っていないにも関わらず、早くも私は闇が続くこの森への強行軍を後悔し始めていた。
育て屋で仕事を請け負った私は、差し当たってミシロ方面に向かうつもりであった。
理由は単純だ。当該のトレーナーが書面に残している住所の中で、ここキンセツシティから一番近いのがミシロタウンだったからだ。
効率的な面を考えればまだ考慮の余地はあるが、対象が旅の最中という可能性が高いだけに、その場で簡単に捉まえられるとは思っていない。
そのため、とりあえず手近な所から攻めようというのが、私の考えだった。
ミシロタウンへ向かうルートは2通り考えられる。
一つはキンセツシティから南へ下り、110番道路から103番道路に折れてコトキシティへ。そこから101番道路でミシロタウンに出るルートだ。
距離としてはこちらの方が短いものの、このルートには大きな問題があった。103番道路は侵食した海が道をふさいでいるからである。
本来ならば波乗りを使って渡れば済む話なのだが、あいにくそれは不可能であった。
その原因は、ポケモンの転送システムの不具合にある。その不具合によって、預け入れも受け出すことも出来なくなっているからだ。
とりあえず3日間様子を見てみたものの、全く改善される気配は無い。
らちが明かないので諦めて出発することにしたのだが、当然ながら波乗りを使えるポケモンは連れ出せず、だからと言って育て屋から預かっているポケモンに勝手に技を教えるわけにもいかない。
そのため使えるルートはやや遠回りになるが、もう一つの道、キンセツから西へ出て、シダケ、カナズミ、トウカを経由してぐるっと回って行くルートを取るしかなかったのだった。
カナズミシティに着いたのは、すっかり日が暮れた後だった。
「あ、その人の顔だったら見覚えありますよ」
資料を手にショップで聞き込みしていると、リストの中の1人に反応があった。道中、どこで目的のトレーナーに行き会うか分からない。そのため、念のために聞いて回るようにしていたのが幸いした。
「つい先日来た人だと思います。一昨日……だったでしょうか。トウカシティに行くようでした。向こうにショップはあるかと聞かれたのではっきり覚えてます」
2日前……果たして今はどこまで行っているだろうか。トウカに滞在してれば追い着けなくもないかもしれんが……。
しかし、もう夜の帳はすっかり落ちてしまった。フラッシュさえあれば夜の森も苦も無く抜けられるかもしれないが、それも波乗りと同じ理由でどうしようもない。夜が明けるのを待つのが得策か。
そう思案している時、育て屋から預かっているポケモンの中の一匹を思い出した。バシャーモの炎を借りれば、角灯の代わりになるのではないか――。
夜とはいえ、それほど危険な森ではあるまい。少しの明かりさえあれば何とかなるだろう。そう考えて、私は夜の森を進むことにした。
(何だ……?)
薄暗い森の中を進んでいた私は、その場に立ち止まった。
「止まれ」
私の声に応じて、バシャーモも歩みを止める。
周囲に広がる暗闇。その何処かから、異様な気配を感じていた。
この辺りには、それほど強い凶暴性を持つものは出現しないはずだった。にも関わらず、こちらへ執拗な殺気を向ける「何か」がいる――。
「なんだ、気付いたのか。ふぅん」
突然、何処からか声がした。少し笑いが含まれているような、人を喰ったような印象を受ける話し方だ。私は気配が潜む位置を探ろうと、耳をそばだてた。声の主は続ける。
「お前、全くの素人ってわけでも無さそうだな。それとも勘が良いだけか?」
向こうにはこちらが見えているのか。そう思いかけて、はっとした。バシャーモの炎が発する光だ。そのために、こちらからは何も見えないのに、相手には私の様子が筒抜けになっているようだった。
「何故、こんな時間にこんな所を歩いてるんだ?」
私の手元を照らしながらも、自らの居場所を教えてしまっている……。
「答えろ!」
私の思考を中断させる怒声とともに、ムチのようにしなる何かが闇の向こうから飛び出してきた。
瞬時にバシャーモが一歩前に踏み出し、左腕を振るってそれを切り払う。
その炎によって切断された何かは、しゅるっという音とともに闇の中へ戻って行った。地面には切れた植物のツルのようなものが落ちている。
植物性のポケモンか。そんなことを思いつつも、最前から何か違和感のようなものを感じていた。暗闇に潜む何者かに対して……。
その時、闇の中に光を感じた。咄嗟に後方へ飛び退ると、先程まで私が立っていた空間を一条の雷撃が薙ぎ払う。
(やはり……!)
最初の一撃の時にも感じたことだが、向こうは明らかに私を直接狙っているようだった。どうやら先方は、ポケモン同士による戦闘などという生易しいものをお望みではないようだ。単純に、私を死に至らしめた方が手っ取り早いとでも思っているのであろう。
態勢を立て直しながらも、私はこの状況に歯噛みした。
お世辞にもこちらが有利とは言えない。相手が私を狙うことが出来たのは、おそらくバシャーモの炎が原因だろう。それは私の周りを照らしていると同時に、こちらの居場所を知らせる結果になっている。
炎を消すか、或いは別のポケモンと交換する手もある。どちらにせよ、派手に炎を撒き散らすわけにはいかないのだ。まかり間違ってこの一帯を火の海にでもしてしまったら、私自身、抜け出す望みは限りなく低い。
炎を収めれば、向こうからもこちらの居場所を掴むことは難しくなるかもしれない。だが、仮にそうしたところで、果たして五分の状況と言えるかどうか。
こちらは相手がどのようなポケモンかも分からないのだ。そもそも、植物と電気という2つの属性が結びつかない。どちらのタイプも持つポケモンなど聞いたこともなかった。
「話をするのは余り好きじゃないみたいだな。しょうがないから、こっちも黙ってとっとと片付けるか」
考えをまとめかねる内に、何者かが発する殺気が増したように思えた。私は身構えると、一先ず五感を研ぎ澄ませることに集中した。
2度目に閃光を感じたのは、今度は視界の角でだった。
「ちっ……バシャーモ! ストーンエッジ!」
私は横っ飛びにかわしながらも、その雷撃のライン上に技を放つ。
闇雲に放ったものだ。当然、手応えはない。例え当たったとしても、相手が植物タイプであればダメージは知れている。
しかし、他に離れた相手に攻撃する手段はなかった。今の私には、それぞれのポケモンのトレーナーである、見知らぬ誰かが残した技と能力で戦うしか術はないのだ。
「ぐっ!?」
何度かの攻防の後、再度放たれたツルが私の左足に巻き付いてきた。
しまった、と思った時にはもう遅かった。闇の中から光が走り――。
だが、雷撃が私を焼くことは無かった。バシャーモがツルを断ち切り、私を抱えて跳び退いていたのだ。
私は自分が窮地を逃れたことよりも、このバシャーモの動きに驚いていた。こいつは思いの他、戦いに慣れている。さっきなど、自分の炎を完全に消した上で、私を抱きかかえたのだ。少なくとも、あの老夫婦に鍛えられただけでは、この動きが身に付くとは思えなかった。
育て屋に長期間預けられていただけにレベルもかなり高かったのだが、少なからず実戦経験もあるらしいことは、私にとって幸いだった。
しかし、例えどのような手練れであっても、このまま持久戦を続けてはいられない。それも、こちらが一方的に消耗しながら、だ。
とにかく、相手の姿を捉えられなければ始まらない。そう考えた私は、敵を捕まえるために1つの手段を取ることに決めた。
幾度と無く繰り返される攻撃。私はそれを必死でかわしながらも、チャンスを待っていた。
それがやって来たのは、私がバランスを崩した時だった。
素早く伸びてきた2本のツルが、私の両腕を絡め取ったのだ。
「走れ!」
私はそのタイミングで叫んだ。号令一下、バシャーモは弾けるように跳び、手枷となったツルに沿って、その発生源に向かって駆けて行く。
「うっ!?」
そのまま闇の向こうに消えた後、ややあって呻き声が聞こえた。と同時に、絡まったツルが緩む。バシャーモが根元でツルを切断したのだ。それをきっかけに、再び指示を告げる。
「バシャーモ! スカイアッパー!」
強烈な衝撃音と共に、強く突き上げられた「何か」が木々の間を突き抜けながら、上空へと舞い上がるのが見えた。遥か高く、森の外へ――。
それをバシャーモが木の枝々を跳び移りながら、追撃をかける。
「無理な炎の調節をさせた詫びだ。思う存分ぶつけてやれ!」
宙へ跳び上がるその両腕から、激しく炎が噴き出していく。
「間違っても外すなよ――! フレア・ドライブ!」
揺らめく紅蓮の炎が体を包み込み、宙を舞うシルエットに衝突した。
森の中に再び静寂が広がった。
私の傍らにバシャーモが静かに着地したが、他に空から降りてくるものは無かった。
空を見上げても「何か」は影も形も無く、周囲にあった気配も消えた。使役していたトレーナーの気配さえも。ここには始めから、私しか居なかったかのように。
そこで、ずっと感じていた違和感の正体に気付いた。
その「気配」だ。
襲撃者が接触してきてから決着がつくまで、感じた気配は一つのみだった。最初から最後まで。
だが、トレーナーとポケモンが居て、気配が「一つ」なのはどういう訳柄であろうか。
気配の正体がポケモンなら、それを操っていたトレーナーは何処に居たというのか。或いは気配がトレーナーなら……。
私は頭を振り、余計な考えを振り払った。どうでもいいことだ。それが何であれ、私には関係の無いことだった。
例えそれが、人でもポケモンでもない「何か」であったとしても――。
「バシャーモ、悪いがまた炎を抑えててくれ」
森を抜けるため、私はまた歩き始める。早くトウカに着いて、朝まで一眠りしたかった。
皆さんがどのようなことを考えてらっしゃるのか、全く分からないw
読み手の側が、書き手の書く先が読めないなんてのは何もおかしなことはありませんが、
書いてるヤツが読み手のリアクションに困惑するなんてのはおかしな話でw
・電気+草技を操る何か+人間語を話すなぞの人物=気配は一つ
ふむふむ・・。
こんな遅くに素人じゃなさそうな人間が歩いているのを警戒&攻撃+主力技はツルで縛って電撃で痺れさせる。
これは・・・!><
いや何ともお恥ずかしい限りで
>バシャーモ…
>ト、トウカ!?
予想だにしない所に引っ掛かられて、
「あれ?何か間違ってたっけ?」と不安に駆られる私w
もはや猿江のような細かい突っ込みなどせん
ただ普通に楽しむことに決定!
って、ト、トウカ!?むむ…
・襲撃者は何者?
・バシャーモ…
雷撃のラインとか表現が
相変わらずかっこええ
次回もwktk!