K.G

とりあえず一作

Vol.3 裏ショップ

2008-10-19 01:25:04 | Weblog
「ええ、その人なら確かにいらっしゃいましたよ」
 明くる日、私は朝一でトウカのフレンドリィショップの店員に写真を見せた。やはり、カナズミに居た男がこちらに来たことは確かであるらしい。
 しかし、その後に店員は妙なことを言い出した。
「どうも裏のショップを探してるみたいでしたが」
「裏? ここの裏に別の店があるのか? 他に店は見かけなかったと思うが」
 私の言葉に、店員は慌てて手を振って、否定する仕草をする。
「あ、いや、そういう意味の『裏』じゃないんですよ。裏というか、闇のショップって言った方が分かりやすいでしょうか」
 益々よく分からない。長く生きてきたが、そういったものの存在など聞いたことが無かった。
「ご存知ないのも無理はないと思います。私たちの業界の間だけで、真しやかに流れてきた噂ですから。表立っては営業していない……いや、出来ないと言うべきでしょうか。そういった非合法のショップがどこかに存在している、という噂です」
「非合法だって?」
 話が思わぬ方向に転がり出し、私は思わず声を上げてしまった。
「ええ。言うまでもないことですが、フレンドリィショップで扱う製品は、カントーに本社を置くシルフカンパニー製の物です。しかし、それとは別の流通経路で製品を製造・販売している機関が存在しているっていうんですね。それも、売っているものといえば、異常に*キャプチャーネットの出力を上げた危険なモンスターボールや、ほとんどドラッグすれすれのドーピング薬まで、正規の販売ルートではとても取り扱えないような代物ばかりだという話です。まぁ、あくまでも噂に過ぎないんですけど」
「それで、この男がその店を探していたと?」
「はっきりと口にしたわけではないですけど、そうだと思います。多分、この辺りに裏のショップがあるという話をどこかで聞いてきたんでしょう。私の知る限りでは、少なくともトウカにはないはずですが」
 ここに勤めている店員が言うのだから、間違いないだろう。
 カナズミのショップ店員が聞かれていたのも、どうやら裏の方だったらしい。向こうの店員は男のほのめかしに気付かなかったようだが。
「で、男がそれからどこに行ったか分からないか?」
 私が肝心な所を聞くと、店員はさぁ、と言って首を傾げた。
「他に在りそうな場所を探しに行かれたのかもしれませんが、具体的には何とも……」
 手掛かり無し。苦労して森を抜けた甲斐も虚しく、振り出しに戻ったというわけか。
 私の旅が前途多難になるのは、既に決定事項のように思えた。



*キャプチャーネット……電撃!ピカチュウ①(おのとしひろ 小学館)の♯4 シオンの塔に出てきた言葉。モンスターボールの作動を担うシステムの一つだと思われるが、ゲーム上の公式設定がどのようなものかは不明。スタートレックのトラクタービームっぽいもの……と私が勝手に思ってる

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2 コメント

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カナズミシティって熊本か! (eipum)
2008-10-20 01:29:25
怪しい臭いぷんぷん
裏ショップ…
ヤドンの尻尾売ってるとか
そーゆーレベルじゃないのか

電撃ピカチュウなつかしす

それにしてもこのお話
どういう方向に進んで行くのかwkwk
このお話どこまで出来上がってるのか
微妙に知りたいw
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実在の何県にあたるとか、そんなこと考えてもみませんでしたw (kei)
2008-10-21 01:00:11
シッポは食用なだけで、アイテムとしての効果は無さそうなので、取り扱っておりませんw

>どこまで出来上がってるのか
つまり、
「コイツ、後先考えずテキトーに書いてんじゃねぇだろうな?」という意味ですね、わかります
それは否定もしかねますが、かなり大雑把なアウトラインは考えてます
そこに、その場その場で肉付けしてくってところでしょうか
一応、全く無計画というわけではありませんw
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