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「阪本研究所 SK laboratory」
代表 Kazuyoshi Sakamoto

【私の仕事】 忘備録 中国人メンズエステ店(1/2)

2020年09月16日 | 阪本研究所
【私の仕事】 忘備録 中国人メンズエステ店(2)~(6)







でんでんタウン

理由なしに突然、空虚感になり、この重い気持ちが辛いので、気分を上げようと地元や大阪市内を自転車に乗って徘徊するのが日課になった。

元々、趣味でパソコンを自作したり、オーデイオスピーカーを作ったりしていたので、大阪日本橋のでんでんタウンに毎日行った。何か買物をするわけでもなく、新製品や電気部品を見ているだけで楽しかった。




それでも、急に気分が落ち込むときがあった。楽しいことをした後、何故か重い空虚感になる。身体が硬くなって、肩や身体のすべてがガチガチになる。



オイルマッサージ4500円

そんな状態のときも自転車で徘徊していた。すると、日本橋の電器屋街から少し離れたところで、1つの看板が目にとまった。「オイルマッサージ1時間4500円」。




看板にはチマチョゴリの女性のイラスト、間違いなく風俗店だ。それにしても、安い。地元の健康マッサージ店でも、オイルマッサージ1時間5000円から6000円(税込)だ。





よし、覗いてみよう! 雑居ビルの小さな階段を上がっていった。古い鉄製の扉に、その店の名前が貼ってあり、横に手書きのメニューの板が立てかけてあった。そこにも1時間4500円(税込)と書いてある。

怪しい感じはあったが、とにかくドアを開けた。すると、「チリンチリン」と鳴った。鈴がドアの内側からテープでつけてある非常にシンプルな昭和チックなシステム。お客さんが入ったことが直ぐに分かるようになっていた。






モンチッチ

ママさんらしき人が、ニコニコ顔で飛び起きた。ドアを開けてすぐ、受付になっていて、その横に一畳ほどのスペースがあり、寝床にしているようだ。笑顔で迎えてくれているが、髪の毛は寝ぐせがついている。寸前まで寝ていたのだろう。昼の1時過ぎだけど。





これが自分にとって、初めてプライベートで中国人と関わりをもつようになる。

長い間サラリーマンをしていた頃は、製品の輸入輸出関係の仕事をしていたので、欧米企業との取引もあったが、中国の中堅会社と直接取引をするケースが最も多く、中国へも何回も出張した。そこで幾度も騙されたり、失敗したり嫌な経験をたくさんした。会社を辞めて仕事を離れたら、中国人とは絶対に付き合うことはないと心に誓っていた。

しかしながら、このママさんが僕の人生の方向を変えることになる。今でも連絡は取り合っている。

そのママさんは、60歳くらいに見える。失礼ながらお世辞にも美人とな言えないが決してブスではない。オサルのモンチッチに似ている。とても愛想がよく、日本語はほとんど通じない。いつもやさしい口調だ。

(このママさんは、後にこの中国エステ業界では、有名な人であることがわかる。)








バナナ

4500円のオイルマッサージをやってもらおうと、「マッサージ・・」と言いかけたら、受付の奥にあるソファに座るように手招きされ、すぐ冷蔵庫から缶コーヒーを持ってた。

そして、テーブルに置かれたバナナを食べるように言われた。バナナを食べる気がしなかったので躊躇してると、ママさんは一本のバナナを剥いて、「あ~んして」のように僕の口に入れてきた。仕方ないので食べたが、なんとなくこの雰囲気が、子供の頃、田舎の親戚の家に遊びに行った感じに似ていて、これを心地良いと僕は思ってしまった。


座っているソファの周りを見ると、中国の特有の置物や、中国語で書かれた絵や掛け軸など乱雑に並んでいた。

テーブルの上には、バナナだけでなくミカンやクッキー、タバコ、灰皿などたくさん置いてある。つまり散らかっている。全体的に狭く感じたが、後にこの店は広いことが分かる。カーテンで仕切られたスペースが3箇所あった。





バナナを食べ、缶コーヒーを飲み終わり、「マッサージ・・」と言い出すと、「女、どれ?」と言って、ママさんは1つのカーテンをめくる。40歳くらいの中国の女性がそこにいた。

なるほど、ママさんはマッサージしないのか。。。ママさんは中国語でその女性に話をしている。何やら指示をしているようだ。僕は「1時間マッサージ・・」というと、「4500円」とママさんが言う。5000円渡すと、おつりの500円を持ってきた。ほんとうに、4500円(税込み)だ。



ママさんは、別のカーテンをめくってどちらの施術スペースにのするか僕に聞いているのがしぐさで分かった。つまり、ジュータンの上にマットが敷いてあるタイプか、ベットがあるタイプか、どちらか好きな方を選ぶシステムらしい。ベットがある方は、狭そうだったので、ジュータンの上にマットの方を選んだ。




オイルマッサージ

オイルマッサージなので、青い紙パンツを渡されて、それを履いて待っていると。その40歳くらいのセラピストが、ジュータンのスペースに入って来た。その女性は日本語も少し話せて、オイルマッサージは上手だ。以前、日本のマッサージ店で働いたこともあり、自分でもマッサージ店を経営していたこともあると言った。

1時間のうち、30分過ぎた頃に「特別なサービス」をしようとした。オイルマッサージが気持ちいいので、このまま続けて欲しいし、どうせ追加料金ではないかと思い、断ると、その「特別サービス」は4500円の中に含まれているという。驚いてしまった。安すぎる。チャイエスとも呼ばれる中国エステはそんな安いのか。。






親戚のおばちゃん

後にママさんの店は日本橋中国エステ界隈では有名な店で、ネットで検索すると、口コミもかなり多い。1時間で、特別サービスあり。税込み4500円。当時大阪で一番安いはずだ。もちろん、口コミが多い分、良いコメントばかりではない、悪いコメントも多い。でも、僕はこのママさんの親戚のおばちゃんのようなやさしい人柄とアットホームな雰囲気を気に入ってしまったのだ。


これ以降、しばしば、遊びに行くようになる。体質的にお酒飲めず、賭け事もしないし、趣味も少ない。この店が鬱に近い状態になっていた自分にとって心を癒す楽しい場所となっていく。




ママさんも僕を気に行ってくれたようで、マッサージしなくても気軽に遊びに来てくれと言う。ママさんの日本語は殆ど通じないが、従業員の中国人や韓国人の子が日本語を流暢に話すので、お客さんとの通訳も兼ねている。




女神

この店の名前を仮に「女神」ということにします。大阪日本橋・難波のチャイエスを知る人は、どの店かわかってしまうと思いますが。。。



ママさんが言ってくれた「マッサージしなくても来てもいいよ。」は、今思えば社交辞令だろうけど、当時の僕は本気にして、毎週、遊びに行くようになった。ママさんと話をするだけ。といっても身振り手振りだ。それでも、自分が少しづつでも中国語を理解していくので不思議。

元々、貿易関係の仕事だったので英語は得意だったが、中国語は分からない。会社からは中国語を学ぶように指示されていてが、一生懸命勉強する気になれなかった。同僚には現地に転勤になったのをきっかけに中国語をマスターした者もいた。





やさしい中国人ママさん

ママさんは、僕が遊びに来るのを嫌がらずに、いつもの通り、バナナやクック―や、コーヒーを出してくれた。この店、「女神」は安くて有名なので、お客さんは多い。30分おきに予約や問い合わせの電話がかかってくる。店の固定電話とママさんの携帯電話にもお客さんからかかってくる。携帯電話は常連さんようだ。「常連さん」という言葉がこの店で最もよく飛び交うワードだ。

さすがに、お客さんが多いとき、ママさんとゆっくりしゃべっている時間はない。そんなとき、僕はすぐ店を出るようにした。

そこで考えた。自分もこんな店をやってみたい。他の風俗店にように、性処理をする目的は当然だか、本当の意味での気持ちの癒しスペースがあってもいいのではないか。ネット上、この女神について、多くの口コミにも同じようなことが書かれてあった。もちろん、アンチ口コミもあった。





自分がそのように空想した店を経営してみたいので、じゃ、さっそくこの業界を勉強するために、女神を手伝おうと決心した。

ママさんに会って、将来、自分も同じような店をやりたいこと、勉強のために給料は要らないから手伝いたいことを話した。それと、自分は中国語は全くできないが、貿易関係の仕事をやっていたので英語は得意なこと。営業事務も25年以上やっていて、契約書作成が得意。身内に警察関係者も多くいることを説明した。




ママさんは飛び上がって喜んだ。実際のところ、この女神は、後で書くことになるが、ある事件によってつぶされ、この優良店は存在しない。現在、そこには女性専用のエステ店がある。




風俗店の許可

ママさんの店は、風俗店の許可をとっていないことは最初から分かっていた。あれを取得するには、25種類ほどの書類を警察に提出・申請し、お店の実施検査もしてもらうハードルが高い許可書だ。お金もかかる。



また、それを代行する業者もあり、その費用は高額だ。自分が店をするときは、それを取得する予定だったので、ネットや書籍で勉強していた。






通 勤

さて、女神に毎日行くようになる。会社に通勤するような感じだ。仕事を手伝いながらママさんから身店の経営について色々教えてもらう。新入社員の経験のOJTだ。




25年以上も企業で働いていたので、さすがに店の経営に関して、だいだいこのクラスの店であれば、月に何十万くらい売上すると、利益がどのくらいあって、経費含め従業員への支払いはどのくらいで、セラピストの質を保つために、どのようなことをしなければならないかなど、1日で理解した。




メンズエステ店「女神」のママさんの広いネットワーク

とにかく、初めからどこか物件を探して店をオープンするのではなく、やめてしまった店のベットや備品をそのままで安く買って、すこし改装、看板を新しくする方法がいいとママさんは、教えてくれた。

それと、女の子、つまり中国人又は韓国人の従業員セラピストは、ママさんが広いネットワークをもっているので、いくらでも紹介できると言った。30年この業界で店を大阪や兵庫の各地でやっていたようだ。







経営の三大要素

今となっては、様々なエステ店を撮影したりしているので、実情をよく理解しているが、うまく店を経営できても、儲かるお金は、一般的なサラリーマンとの給料と変わらない。おそらく下回ると思う。

現在、どこかの会社に勤めている人で、大阪でエステをしようとする方は要注意です。あまりオススメできない。自己資金がいくらかあってやるならまだいいが、まったく無くてお金を借りてやるのは危険。

現在の大きなポイントは、全体的に施術代金が安くなってきていること。これは、中国エステに限ったことではない。一般のエステ、健康マッサージ店も同じ。60分もみほぐし2600(税込み)+10分サービスという店が、大国町にある。オイルマッサージについては、1時間5000円以下の店がたくさんある。

5年くらい前は、平均7000円だった。施術金額がさ下がってくると、従業員のお金の取り分も少なくなるので、従業員が確保できない。店としては致命傷だ。ほとんどの店がこれでつぶれる。

また、仮に女性セラピストを確保できても、1日から2日お客さんが来ない日が続くと、特に若い女性は連絡もせず勝手に店をやめてしまう。

経営の三大要素の内、エステは完全なサービス業なので、「モノ」の部分も「ヒト」によるところが大きい。メンズエステで人材を確保できなかったら、店がないのと同じ。





メンズエステ店「女神」のママさんとは?

当時、女神は、月平均90万程度が売上。家賃、経費、従業員に渡すお金など合わせて50万。税金を差し引いて30万円くらいが純利益のようだ。この規模の店では上手な経営だ。

セラピストの女性が1人、そして、常にもう1人を他所から応援で呼んでいる。店の方針は、「アットホームな感じで安くリラックスしてほしい」とママさんは話した。一応、店のポリシーがあるようだ。



ママさんは、いったいどういう人物なのだろう。。。。