まん延防止等重点措置が全国で解除されたが、新型コロナウイルス・オミクロン株の新規感染が終息する気配はない。デルタ株の新規患者数や死亡者数を抑えてきた、〝世界の優等生〟である香港や韓国、中国、ニュージーランド、シンガポールなどの国々でもオミクロン株の出現により様相は一変。軒並み大規模な感染拡大が起き、欧米の新規患者数を大幅に上回った。専門家はこうした状況を踏まえ、4回目のワクチン接種も視野に入れるよう提言している。
◇「オミクロン株、軽症」は間違い
感染症に詳しい菅谷憲夫・慶応大学客員教授(小児科)は「オミクロン株の感染者は、デルタ株に比べて軽症と言われている。しかし、『それは多くの人がワクチンを接種している効果で、軽症に見えるだけだ』という意見が出てきた。オミクロン株は軽症とみる傾向は危険だ」とし、「優等生代表の香港では、オミクロン株が激しい流行を起こしたが、ワクチンを打っていない高齢者が多数死亡し、ピーク時の欧米諸国を上回る極めて高い死亡率を記録した」と続ける。
英国やフランス、ドイツなどの欧米諸国でも最近、感染力の強いオミクロン変異株BA.2系統の出現とともに、再び、新規患者数が増加傾向に転じた。欧米では、これまでの入国制限やマスク着用義務などを停止し、レストランやパブの営業を再開をしていることも関係していると考えられる。菅谷教授は「これはあくまでも、政治的な判断が優先されている」と指摘する。
◇次の感染拡大に備える◇ワクチン効果低下を懸念 菅谷教授が心配するのは、オミクロン株に対するファイザーやモデルナのワクチンの発病防止効果が大幅に低下している点だ。2回のワクチンを接種しても、4~5カ月経過すると、発病防止効果は10%前後と、ほとんど効果がないレベルまで下がる。ブースターと呼ばれる3回目の接種を受けると一時的に70%まで上昇するが、2~3カ月で、40~50%と再びギリギリの有効性に低下する。感染力の強いオミクロン株に対して、ワクチンでは十分な発症予防率を担保できない。ただ、ワクチンは、重症化防止には50%以上の有効性を保っている。
「今できる対策としてはワクチンの3回目の接種を急いで実施すべきで、その上で今後のウイルスの変異などに備える。どのような間隔で、どのような人に、4回目のワクチン接種を実施していくか、長期的な計画を立てることが必要だろう」と菅谷教授は言う。
◇優等生諸国のジレンマ
「今までに多くの患者を出した欧米諸国では、感染から回復して免疫を獲得した人の比率が人口の20~40%とかなり高い。患者数を少なく抑えた優等生諸国では、皮肉なことに感染による免疫を持つ人の割合は低く、日本では5%しかいない」。菅谷教授は「ワクチンにより得られた免疫の減衰は早いと思われるので、日本では、4回目のワクチン接種も検討すべきだろう」と話す。また、「4回目接種のタイミングは、高齢者や重症化リスクの高い持病を持つ人が3回目接種後4~5カ月、医療関係者が6カ月後をめどに接種するのが望ましい」と言う。その上で「一般の人々では、ブースター接種後のワクチン効果持続のデータを見て接種時期を決めれば良い。また、ワクチンメーカーはオミクロン株などの変異株に対応する新ワクチンの開発を進めているので、これらの開発状況も勘案すべきだ」と付け加える。では新年度を迎えて進学や就職、職場の人事異動などで人の動きが大きくなった。菅谷教授は「次の感染拡大を想定し、その中で一定の警戒を続けながら徐々にコロナ前の日常生活を取り戻していくべきだ」と話すとともに、4回目のワクチン接種も検討すべきだとしている。
「一日の新規患者数が減っているのは、オミクロン株の急増期と比べての話だ。デルタ株流行期に比べれば、現在でも数倍の患者数になっている。日本でも、ワクチン接種の効果と思われるが、オミクロン株感染患者が重症化する確率は低い。しかし、患者の母数が大きければ一定の重症患者が出て、対応する医療機関が逼迫(ひっぱく)する可能性もある」と、 菅谷教授は現状を分析する。
◇ワクチン効果低下を懸念
菅谷教授が心配するのは、オミクロン株に対するファイザーやモデルナのワクチンの発病防止効果が大幅に低下している点だ。2回のワクチンを接種しても、4~5カ月経過すると、発病防止効果は10%前後と、ほとんど効果がないレベルまで下がる。ブースターと呼ばれる3回目の接種を受けると一時的に70%まで上昇するが、2~3カ月で、40~50%と再びギリギリの有効性に低下する。感染力の強いオミクロン株に対して、ワクチンでは十分な発症予防率を担保できない。ただ、ワクチンは、重症化防止には50%以上の有効性を保っている。
「今できる対策としてはワクチンの3回目の接種を急いで実施すべきで、その上で今後のウイルスの変異などに備える。どのような間隔で、どのような人に、4回目のワクチン接種を実施していくか、長期的な計画を立てることが必要だろう」と菅谷教授は言う。
◇優等生諸国のジレンマ
「今までに多くの患者を出した欧米諸国では、感染から回復して免疫を獲得した人の比率が人口の20~40%とかなり高い。患者数を少なく抑えた優等生諸国では、皮肉なことに感染による免疫を持つ人の割合は低く、日本では5%しかいない」。菅谷教授は「ワクチンにより得られた免疫の減衰は早いと思われるので、日本では、4回目のワクチン接種も検討すべきだろう」と話す。また、「4回目接種のタイミングは、高齢者や重症化リスクの高い持病を持つ人が3回目接種後4~5カ月、医療関係者が6カ月後をめどに接種するのが望ましい」と言う。その上で「一般の人々では、ブースター接種後のワクチン効果持続のデータを見て接種時期を決めれば良い。また、ワクチンメーカーはオミクロン株などの変異株に対応する新ワクチンの開発を進めているので、これらの開発状況も勘案すべきだ」と付け加える。