思考する世界

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科学的とは何か?

2005-06-07 17:10:24 | Weblog
「科学的」に関する諸問題について

科学的とは、演繹理論から定義及び定理として導かれる結論と、帰納法理論から実証主義的に導かれる結論とがある。近年における、疑似科学の問題は、演繹理論を拡張しているところまでは良いが、その実証性に乏しいところにあるといえる。

数学史において、20世紀の初頭の時期ジョージ・カントールらは、数学の最終問題として無限の定理を証明する完全理論を提唱した。その時代において、ヒルベルト・カントールは公理系の数学を破壊した。そして、そこで数学は真理を失うことになった。しかし、ヒルベルトは新たな問題を提示することで、数学を救うことを提唱した。これが、今も解かれ続けているヒルベルトの23問題である。

(Note.それ以外にも、様々な数学上の難問が今も研究されている。近年は、コンピュータシュミレーションとの連携によって、数値的に解く方法も使われている。また、解析的に解く方法も行われている)。

ミネルバの梟は、黄昏に飛び立つ-ギリシアの諺-。

それまで真理性ならびに完全性の証明を目的としていた数学は、袋小道に入ったとも言える。
そんな中にあって、クルトゲーデルによって、1930年には論理に関する完全性定理、1931年には数学に関する不完全性定理およぴl938年には築合論の相対的無矛盾性証明が行われることになった。
これらによって、演繹論から来る証明には、必ずそれまでの「定理+1」以上の新しい定理が求められることになった。この定理を悪用することが疑似科学の問題点である。非完全性定理とは、ある公理系を「A」とおけば、それを上回る新しいメタ公理系「A+1」を矛盾無く証明するためには、メタ公理系「A+2」が必要になるというトートロジーになることを証明したのである。つまり、矛盾がない証明をするためには、公理系内における矛盾が無い証明が必要になるということでもある。

つまり、科学という理論体系は、演繹論から派生する新たな枝を証明することも必要である。しかし、時代を超えて生き残る理論には帰納法論から実証主義的な証明が必要であるという単純な原理に基づく。

なお、思考実験上においては、どんな理想化も可能であるし、どんな矛盾が含まれていても可能である。しかしながら、思考実験上から派生する理論には、極限値や理想化が行われた理論から、現実の諸問題に即する理論化が行われる必要がある。実際に、これまで提唱されてきた理論は、そのような形で具体化され、実験証明されてきている。
そして、科学理論の体系においては、その無矛盾性を証明することが求められるのである。また、16世紀においてガリレオガリレイが指摘したように、測定できるということも必要である。つまり、「測定できるものは測定できるようにすれば良い」という単純な理屈に基づく。ただし、その基準は客観的なものでなければならない。つまり、相互検証が可能な測定基準である必要があるだけのことである。

なお、測定の基準は「普遍的な(Universal)」ものであるとは言いがたい側面もある。なぜならば、「相対性理論」及び「Theorem of Variable Speed of Light」からの要請によれば、「時間」及び「空間」は相対的であるということに基づく。つまり、「3次元時空連続体」においては、「時間」と「空間」は相互に依存した関係になると考えることは妥当であろう。「時間を測定する」パラメータの変化が、「空間を測定」するパラメータに変化を与える。「空間を測定」する「パラメータ」の変化が、「時間を測定」する「パラメータ」に変化を与える。よって、この相互変化の関係には、矛盾が存在しない。ゆえに、相対性理論から来る要請にも矛盾しない。つまり、宇宙初期の状態において、「時間」と「空間」が畳み込まれるという関係は、お互いのパラメータが「0」になるということでもある。
ゆえに、エネルギーと質量の関係から見れば、「E/m=c^2」となるので、「c=0」になるということである。このことが示すのは、「空間の大きさ」=「光の到達点」となり、宇宙の全体としての大きさが「0」になるということでもある。

このときの量子化を12次元の数理化を行うことによって提唱されたのが、「Super Strings理論」であり、「M理論」という事である。それらは、量子化重力理論と呼ばれている。量子化重力理論とは、重力を量子化したときに得られる、超重力と呼ばれる重力の励起モードを分類し、この時の重力子の「繰り込み」及び「ゲージボゾン」の振る舞いを定義した理論といえる。この「重力子」及び「ゲージボゾン」の振る舞いを、「弦振動」に求めるのが「SuperStrings理論」であり、「粒子(超球体)」に求めるのが「M理論」である。

なお、「Latteice QCD理論」は、「格子化ゲージ場」に注目することで、「ゲージ・ポテンシャル」から導き出される、様々な量子物理学理論を検証することを目的にしている。格子化ゲージ場とは、それぞれの粒子(素粒子)が持つ、周囲の場(ゲージ場)を格子上に区切ることで、それぞれの素粒子間における相互作用(ゲージポテンシャル)を解明しようと提唱されている理論だと考えられる。

2005年6月7日
田中克治

参考文献:
・数学基礎論, 隈部正博 2003, 放送大学教育振興会, 東京. ISBN 459523676X
及び巻末参考文献
・What is mathematics? 2nd ed. -An elementary Approache to Idea and Methods, Richard Curant and Herbert Robins 1941(renewed 1969), revised by Ian Stewart, Oxford University Press 1996, OX2, UK.
(邦訳:数学とは何か 原書第2版, 森口繁一:監訳, 岩波書店, 東京. ISBN 4000055232)
・A New Kind of Science, Stephen Wolfram, Wolfram media inc. 2002, IL, USA. ISBN 1579550088
・Mathematics Unlimited - 2001 and Beyond, Editors BjÖrn Engquist Wifried Schmid, Springer-Verlag 2001, Berlin, DE. ISBN ISBN 3540669132
・The Principles of Quatam Mechanics 4th ed., Paul A. M. Dirac, Oxford Unversity Press 1930-1958, OX2, UK. ISBN 0198520115
・Relativity -The Special and the General theory-, Albert Einstein 1961, Authorized translated by Robert W. Lawson, Random Hose inc., NY, USA. ISBN 0517884410

1 コメント

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趣味レーション (常識人)
2008-12-23 23:15:21
> 近年は、コンピュータシュミレーションとの連携

コンピュータ趣味レーション、あなたのことですかね?