思考する世界

社会現象・経済情勢や科学技術に関連する論文及び文化関連について考えたことを書いていきます(多言語対応:国連公用語+他)

新人間的魅力の研究

2005-06-07 01:06:08 | Weblog
-別れた妻との思い出に捧げる-

これまで、このような研究や文献は、歴史上の人物論として「語られ、書かれること」が多かったように見かけられる。しかし、本論文では敢えてそのような愚を冒さず、世の中一般をありのままに見て検討した結果を記載することにする。

1.「でしゃばり」な人や「存在を誇示する」人は、たいした人物ではない。
2.真のオーソリティやカリスマという定義は、自分自身の力だけではなく、周囲の人のおかげであることを理解できる人。もしくは、周囲の人の力を借りることの出来る人である。

用語を定義すれば、オーソリティと呼ばれる人は、先駆者であり、第一人者と呼べる人のことである。権威と訳される場合が多いが、基本的には、「ある特定分野における先駆者」か「ある特定分野における第一人者」と考えることは妥当であろう。なお、ここでは単一の人だけではなく、組織体としても考えることが可能である。なぜならば、単一の人が集まることによって、組織体と呼ばれるものは構成されている。すなわち、「組織」と呼ばれるものも「人格を持つ」ということであるためである。

1について記載すれば、「でしゃばり」や「自己顕示欲」の強い人は、周囲の人が見ていてはらはらするため、安定感や存在感にかける。すなわち、人間としての安定性にかけるということである。つまり、本当の大人とは、安定感とともに存在感のある人といえよう。そのため、周囲が落ち着き安らぐということでもある。つまり、謙虚な人である。

2について記載すれば、真のオーソリティやカリスマには、必ずといっても良いほど、メンターや支援してくれる、もしくは見守ってくれる人が存在する。この人たちが居るおかげで、その人はその人として、孤独ながらも先頭を走ることが可能であると考えることは妥当である。なぜならば、真の先駆者と呼ばれる人たちは、孤独であるため。また、新しい道を切り開くために、手探りの状態で進路を定めるためである。つまり、そのような冒険を犯す際に、常に見守ってくれる人が居るということでもあろう。なぜならば、そのような人を支える人は、その人の努力であるとか、失敗であるとか、さらには希望をかなえるために苦労が分かる人だからである。なぜならば、自分自身が苦労をしてきたためであると考えることは妥当である。

つまり、真の大人と呼べる人は、真の自尊心を持っているといえよう。なぜならば、真の自尊心とは、謙虚より生じるためである。真の自尊心とは、まだまだこれから。まだまだ、足りないと自分自身を奮い立たせ、常に挑戦を続けるためである。つまり、自分自身に負けない人が、真の大人と言えるのではないだろうか?

これまで、数多くの人財論で語られてきていることではある。しかし、真のリーダーシップとは、常に挑戦を続ける人のことでもある。また、EQ(Emotional Quality)という評価値で語られることも多いが、この際において、考えられることは、
1.EQが高い人は、潜在意識と顕在意識との間にギャップが少ない人。
2.潜在意識下にある、抑圧感情の原因を外に求めるのではなく、内に求める人。
3.顕在意識上にある、感情をありのまま表現できる人。
4.そして何より、常にチャレンジャーである人

ということがいえるのではないだろうか?

また、さらにマズローの5段階欲求説に基づく批判も書いておきたい。

アブラハム・マズロー(1908年~1970年 A.H.Maslow アメリカの心理学者)は、彼が唱えた欲求段階説の中で、人間の欲求は、5段階のピラミッドのようになっていて、底辺から始まって、1段階目の欲求が満たされると、1段階上の欲求を志すというものです。

人間の欲求の段階は、生理的欲求、安全の欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求です。生理的欲求と安全の欲求は、人間が生きる上での衣食住等の根源的な欲求のことである。そして、親和の欲求とは、他人と関りたい、他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲求のことである。さらに、自我の欲求とは、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊敬されることを求める認知欲求のこと。そして、自己実現の欲求とは、自分の能力、可能性を発揮し、創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求のことです。

ここで、敢えて、マズローの欲求段階説を引合いに出したのは、優秀な人ほど、この欲求の段階を駆け上がるのは早い。しかし、自己実現を果たし自己超越の域に達する人はきわめて少ないこと、数多くの人が階段を踏み外し、これまで、その人にとって当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなるような状況に陥っています。

人生にとって、失敗を恐れないチャレンジ精神は、きわめて重要です。しかし、就職・転職・起業・独立にとっても,同じことが言えます。近年,ベンチャーや起業が花盛りで耳障りは良いのです。しかし、成功する確率は千に三つ、慎重な判断と覚悟が必要です。

ゆえに、自分自身の欲求に沿って行動してしまうことは、非常に危険であるということである。欲求や欲望を抑えることによって、自省できる人が自尊心を持つ人であるといえよう。

つまり、常に謙虚であること、さらには自省と挑戦を兼ね備えた人が、真の大人であると言える。

2005/06/07
田中克治

追加。
なお、本人物論に関しては、誰かを批判することを目的としてわけでもなく。誰かに認められることを目的としているわけでもない。世の中にあふれる、何々流と呼ばれるものも否定しているわけでもない。むしろ、その中にある本質のみを追求し、個別の人物論を語るという愚を避けることを目的としている。個別の人物論に関して言えば、歴史上の位置づけとして、かつまた、その人が置かれた立場や時代情勢としてみるべきである。また、小説等の文芸で語られる人物論に関しても、あくまでも著者の理想形を追ったに過ぎず、その存在についても全てが正しいとはいえない。なお、実名でモデルが語られている小説やドキュメントに関しては、ある人物のある側面を語っているに過ぎないことも指摘しておきたい。

Reference:
Emotional Intelligence Why it can matter than IQ, Daniel Goleman 1995, A Bantam Book, NY, USA. ISBN 0-553-37506-7
Primal Leadership -Realizing the power of emotional intelligence-, Daniel Goleman 2002, Richard Boyatzis, Annie McKee, Harbard Business School Press, MA, USA. ISBN 1-57851-486-X
High Flyers -Developing the next generation ofleaders-, Morgan W. McCall, Jr. 1998, Harbard Business School Press, MA, USA. ISBN 0-87584-336-0
Managing in the next society, Peter F. Druker 2002, Truman Talley books St. Martins Press, NY, USA. ISBN 0-312-28977-4
Rethinking the east asian miracle, Joseph E. Stiglitz and Shahid Yusuf ed., The international bank for reconstruction and development/The world bank 2001, Oxford University Press, NY, USA. ISBN 0-19-521600-8