
久しぶりに本の話題です。今年の明星祭で、MGS2年生のH君が、信州の上田城についての発表をしていました。私はこの城の主であった真田昌幸、幸村父子にとても関心を持っています。戦国武将の人気投票では、最上位にランクされる幸村ですが、その人気に大きく寄与したのが池波正太郎の『真田太平記』(1974年刊)。私も30年ほど前に読み、すっかり幸村ファンになりました。その他の『真田もの』にも次々と手を伸ばし、上州から信州、甲州と点在する真田家ゆかりの城や、信州松代にある一族のお墓。さらに閉じこめられていた和歌山県の九度山や、大阪冬の陣の主戦場などを見て回り、現地でしか手に入らない資料を集めたりしたのを思い返します。
史実と創作を交えた『真田太平記』は、すべての登場人物が生き生きと描かれ、読む者の心をとらえて離しません。真田父子のみならず、戦国時代の人間模様が生き生きと伝わってきます。実は本書も大河ドラマの原作(1985年)になりましたが、私自身は大河ドラマを見たことがない、というより高校時代に一度だけ見て以来、遠ざかってきました。理由は、自分が思い描いていた武将の姿と役者のイメージがかけ離れていたことと、実像を固定化されるのを避けたいという心情があるからです。見れば面白いだろうことは想像がつくのですが、好きな本を読む時間を割かれるのも避けたいこともあるでしょう。と、こんなことを書いていたら、有名な上田城の桜を見に行きたくなりました。平成15年に開館した『池波正太郎真田太平記館』も訪ねたいので、来春には機会を作って足を運んでみたいと思います。