
昨日は、都心に出かける予定があり台風を心配していたところ、雨はさほどでもなく涼しい日よりでした。つい先日まで、街中を歩けば汗が吹き出していたのが嘘のようです。途中、霞ヶ関駅で乗り換えましたが、ここへ来ると思い出すのが、1995年に起きた『地下鉄サリン事件』のこと。戦後生まれで平和な社会に育った自分自身としては、初めて出会った未曽有の事態に、大きな衝撃を受けました。事件が起きた時は会社員でしたので、日中のニュースを録画し、毎週発行される週刊誌を次々と購入して、段ボール箱何箱にもなったことを思い返します。あの時は、首都圏がパニックに陥っていたといっても過言ではありません。たまたま先週の金曜日、進路相談に来た生徒に『地下鉄サリン事件』の話題を出しましたが、あまり詳しくは知らない様子。それは無理もない話で、今の高校生世代が生まれる5年以上も前の事件なのですね。私にとっては、第二次世界大戦の終戦が生まれる12年前のことであり、物心がついてからの時間的な距離は、似たような感じでしょうから。

『地下鉄サリン事件』については、多くのジャーナリストや作家が伝えてきており、その1人が村上春樹です。1997年に『アンダーグラウンド』という作品で、事件について書きました。私も以前に読みましたが、2つの点で異色の作品と言えるかもしれません。一つは村上春樹としては珍しい、ノンフィクションのルポルタージュであるということ。そしてもう一つは、被害者などへのインタビューを中心に構成されていて、62名の関係者に聴いた話をまとめているところです。事件後、加害者側の個人や組織に焦点を当てる作品は多く見られましたが、こうした視点の斬新さは話題になりました。高校生が今の時点で読むべき本であるかどうかはさておき、こうした作品があることを頭の片隅におくのも良いと思います。事象に対する見方、捉え方の新しい視点を得られることでしょう。そして今はミサイルの脅威が時おり襲いますが、暮らしの安心を脅かす事態は、二度と起きてほしくないと願うばかりです。

『地下鉄サリン事件』については、多くのジャーナリストや作家が伝えてきており、その1人が村上春樹です。1997年に『アンダーグラウンド』という作品で、事件について書きました。私も以前に読みましたが、2つの点で異色の作品と言えるかもしれません。一つは村上春樹としては珍しい、ノンフィクションのルポルタージュであるということ。そしてもう一つは、被害者などへのインタビューを中心に構成されていて、62名の関係者に聴いた話をまとめているところです。事件後、加害者側の個人や組織に焦点を当てる作品は多く見られましたが、こうした視点の斬新さは話題になりました。高校生が今の時点で読むべき本であるかどうかはさておき、こうした作品があることを頭の片隅におくのも良いと思います。事象に対する見方、捉え方の新しい視点を得られることでしょう。そして今はミサイルの脅威が時おり襲いますが、暮らしの安心を脅かす事態は、二度と起きてほしくないと願うばかりです。