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麗澤の杜から『日々是探究』

企業勤務から民間人校長として奉職(14年間)。2025年度より学校現場を離れて、新たな社会貢献の道を探究します。

研修旅行の学び

2024年01月20日 05時38分14秒 | 日記

先日の研修旅行について、オーストラリアに行った福本校長と、シンガポールに随行した上杉教頭から話を聞きました。まず一つ驚いたのは海外の物価の高さです。オーストラリアではラーメンが一杯 2000円であったとか、シンガポールで朝食バイキングに7000円の価格がついていたという話には、びっくりいたしました。その前にアメリカに行った飯島先生からは、朝食が普通に5000円だったとも聞いています。この逸話を、日本が低迷していると考えるのか、やはり暮らしやすい国であると捉えるのか。意見が分かれるところだと思います。

そうした俗っぽい話題はさておいて、環境学習をはじめとして、学びが多い旅だったという言葉には共感いたしました。というのも学びと言えば、私も九州の研修旅行で、実に多くの新しい発見があったのです。まずは北九州の「環境ミュージアム」で学習したこと。北九州の町が環境問題を克服した歴史については、それまで詳しい事情を知りませんでした。旅行中にも少し書いたのですが、人の暮らしを脅かすような大気と海洋汚染が進んでいたこと。そして私が高校生の頃、地域住民の努力で回復していったという歴史には、とても感銘を受けました。思えば私は高校時代に、友人2人と卒業旅行で愛知県から長崎に行ったのですが、まさにその時代が北九州の環境問題の最悪期であり、この頃から劇的に回復していったというのは驚きの事実です。

海の環境で言えば「北九州の洞海湾では、すべての生物が死滅した」とのことでしたが、最初は誰かがどこかで声をあげ、そして市の議会であるとか、あるいは行政の機関を動かしていった経緯があるのでしょう。活動が実を結ぶまでには、相当なエネルギーをかけた個人がいらしたのではないでしょうか。そうした個人についての記録は見当たらなかったので、スタッフの方にもお聞きしましたが、具体的なことは伺えませんでした。私は環境教育といった時に、環境が変化をした事実の背景に、どのような個人の働きがあったのか。ここに焦点を当てることも、重要だと思っています。例えば、私が住んでいた千葉県であれば、湿地の保存で重要な役割を果たす国際的な「ラムサール条約」に指定されている「谷津干潟」があります。当地では、後に市会議員、県会議員として森田三郎さんを抜きにしては語れません。元新聞配達員だった森田さんが環境保全運動を始めて、貴重な干潟が回復していったのです。このことは映画や漫画にも取り上げられ、私はNHKの番組で知りました。

 

国内有数の渡来地、谷津干潟の保存に尽力 環境活動家・森田三郎さん:朝日新聞デジタル

国内有数の渡来地、谷津干潟の保存に尽力 環境活動家・森田三郎さん:朝日新聞デジタル

 船橋市の海岸近くで育った。テレビもゲームもなかった70年前は、干潟が遊び相手だった。潮が引けばカニや貝を捕まえ、毎日のように泥だらけになった。 市川市で新聞配達...

朝日新聞デジタル

 

あるいは、死滅しかかっていた東京湾全体を環境活動していったのが 大野一敏さんという漁師です。私は会社員時代の20代の頃、たまたま大野さんが書いた「東京湾で魚を追う」という著作を読んでいたので、人を介してお宅をお訪ねしました。そこで、大野さんがなぜ東京湾の回復に立ち上がり、どのように力を尽くしたのか。その心意気に触れた経験があります。大野さんについては改めて書きたいと思いますが、次世代の人たちに、個人でも社会を変えられる、という実例を示すことが重要であると思うのです。そして子どもたちには、たくさんの物語を知ってほしいと願ってやみません。

 

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