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麗澤の杜から『日々是探究』

企業勤務から民間人校長として奉職(14年間)。2025年度より学校現場を離れて、新たな社会貢献の道を探究します。

児童文化概論・リアクションペーパーを読んで

2018年05月04日 13時33分35秒 | 日記
前回の講義に対するリアクションペーパーで『4年後には具体的な目標ができている、なりたい自分が明確になっている』『自分の『志』を実現できたらいい』あるいは『自分の可能性を限定しない(どうせ…はダメ)』といったコメントを書いてくれていた、児童文化コースの学生たち。大学生活に向けての前向きな意欲を語っていたので、教室での再会? を楽しみにしていました。

今回の講義では『文明と文化を比較し、教育との関連について考える』という事前課題を課し、授業で意見交換をする演習を行いました。抽象度が高く、硬いテーマながら学生は課題によく取り組んでくれています。したがって、演習の話し合いも活発に進行いたしました。「このような目線で歴史を考えたことがなかったので面白かった」「自分たちが学んでいる児童文化の意味を考えさせられた」「児童文化の担い手として、子どもの一生を左右するかもしれない存在として、しっかり勉強していかなくてはならないと思った」と、頼もしい記述がみられます。「日本が独自文明で、外国から一目置かれることへの驚き」と「世界が9つの文明に分類されることを知った」というのは、今回の講義で紹介した2冊の本によるものです。

1冊は竹村公太郎の『日本文明の謎を解く』です。日本の地形と歴史を結び付けて著した『日本史の謎は「地形」で解ける1~3』で話題になった著者にとって、本書は思考の原点といえるでしょう。独自の視点で日本の文明を説明しており、多くの学生が自分も読んでみたいと書いていました。

そしてもう1冊は、1997年にアメリカの国際政治学者、サミュエル・ハンチントンが発表した『文明の衝突』です。「文明は包括的な概念であり、広範な文化のまとまりであると考えられる」とし『世界を9つの文明に分類』しました。ハンチントンがこの自説を発表した当時、世界に大反響を呼び起こしたことを思い返します。その後、2001年にアメリカ同時多発テロが起きた時には、よく引き合いに出されました(エマニュエルトッドをはじめ、違った見方を示す識者もいますが)。今回、児童文化概論で講義をした1年生は、考えてみれば9.11事件とほぼ同時期に誕生しているのですね。中近東やアフリカ、東アジアなど、生まれてから何かしら『文明の衝突』を耳にしながら育ってきた世代なのだな、と感じ入らずにはいられません。『文明の輪郭は言語、歴史、宗教、生活習慣、社会制度、さらに主観的な自己認識から見出される。それぞれの文明圏に明確な境界を定義することはできないが、文明は人間のアイデンティティとして最大限のものとして成立している』とハンチントンは言いますが、自分自身のアイデンティティを確認することは、大学での学びをスタートしていくうえで、とても大切なのだと思っています。今回の機会が、学生一人ひとりにとって、新たな学びの世界への期待と希望に繋がっていくことを願って止みません。

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