この御品はいつものように、というか当然というか、あまり経済的には価値の有るものではありません。原理原則というものは簡単かつ大切な事でございます。つまりは持ち主を見れば物の価値も分かる、でまず間違いございません。
黄瀬戸と言えば桃山時代という感じ方がありますが、これはもちろん最盛期の技術的なピークのお話しでありまして、瀬戸は中国の青磁を日本で再現したかったのですが、かなわず、黄瀬戸になってしまったと勝手に理解しております。
この黄瀬戸の釉薬は瀬戸物の伝統となり今日では主に瀬戸系の作家さんの主要なテーマになっているのです。この御品の枯れた本当にぼろぼろの土の感じでは美濃系であろうかと存じます。それであれば、桃山の黄瀬戸の伝統の継承者と申せましょう。
