海岸道路を走っているとカモメをよく見かける。海鳥としてはたぶん最も数が多くて世界中どこにでもいるような平凡な鳥だが、私は全体的なフォルムがスッキリ整ったとても美しい鳥だと思う。
近くで見ると大きいのはスパン(翼長)が1.5m近くあって結構迫力がある。サーマル(熱上昇風)を利用しているのはあんまり見たことはないが、海風の強い時は、海岸道路に沿った防波堤のリッジで発生する斜面上昇風に乗ってソアリングを楽しんでいる。『カモメのジョナサン』を書いたリチャード・バックも、あの優しい眼差しで飽くことなく彼らの飛行を観察したのだろう。
人類の飛行の歴史はほとんど例外なく、鳥類への憧憬から観察に至り、その飛行態様を真似るところから始まっている。
近いところでは、ライト兄弟に大きな影響を与えた19世紀末ドイツのリリエンタールはコウノトリを観察しながら何種類かの体重移動型グライダー(現在のハンググライダーに近い)を作り、5年間で2000回以上も滑空飛行を繰り返している。
残念なことに、2500回目辺りで突風にあおられ墜落し翌日50歳に満たない年齢で亡くなるのだが、「犠牲は払われねばならない」"Opfer mussen gebracht werden!" ("Sacrifices must be made!")
というのが有名な最後の言葉だ。彼も間違いなくこの世界の偉大な冒険家でありパイオニアだった。

もっとも、イギリスのジョージ・ケーリーはリリエンタールより半世紀近く前に人間を載せたグライダーで130mの滑空飛行に成功している(彼の御者だった10歳の少年を説得して飛ばせた^^;)。この人はエアロフォイル翼や飛行の基本要素(推力・抗力・揚力・重力)など航空の分野で語られることが多いが、実に博学多彩な人で、電気や光学の研究の他、例えば自転車のスメ[ク車輪や重機のキャタピラなどを発明したのも彼だ。政治家でもあった。生涯を通じて自然を鋭く観察しそれを丁寧に記録していたというのも心引かれる。
↓ケーリーのグライダー(当時の業界紙:「調節できるパラシュート」という見出しが面白い)

更にイギリスには興味深い人がいて、11世紀の中世に修道院の屋根から飛んだ人がいる。マルズベリーのエルマーと呼ばれる僧侶だが、「彼はイカロスとその息子ダエダロスが両腕に翼をくっつけて飛行することで監獄から脱出した・・というギリシャ神話を真に受けて、同様に両腕に翼を付け塔の先端に吹き上げてくる風に乗ってジャンプした。その結果200mも飛んだが渦巻く気流に落とされて両足を骨折した」と僧侶仲間のウィリアムという人が記録に残している。
正確な離陸高度が分からず、高さが50mを越える修道院も幾つもあるから、単純にその滑空性能を比較することはできないが、飛行距離200mというとケーリーはもちろん、リリエンタールの記録も超えているわけだから、後にビッコの神父として町の有名人になるエルマーさんが、一時(いっとき)空中で味わった感動と恐浮ヘ想像に余りがある。
近くで見ると大きいのはスパン(翼長)が1.5m近くあって結構迫力がある。サーマル(熱上昇風)を利用しているのはあんまり見たことはないが、海風の強い時は、海岸道路に沿った防波堤のリッジで発生する斜面上昇風に乗ってソアリングを楽しんでいる。『カモメのジョナサン』を書いたリチャード・バックも、あの優しい眼差しで飽くことなく彼らの飛行を観察したのだろう。
人類の飛行の歴史はほとんど例外なく、鳥類への憧憬から観察に至り、その飛行態様を真似るところから始まっている。
近いところでは、ライト兄弟に大きな影響を与えた19世紀末ドイツのリリエンタールはコウノトリを観察しながら何種類かの体重移動型グライダー(現在のハンググライダーに近い)を作り、5年間で2000回以上も滑空飛行を繰り返している。
残念なことに、2500回目辺りで突風にあおられ墜落し翌日50歳に満たない年齢で亡くなるのだが、「犠牲は払われねばならない」"Opfer mussen gebracht werden!" ("Sacrifices must be made!")
というのが有名な最後の言葉だ。彼も間違いなくこの世界の偉大な冒険家でありパイオニアだった。

もっとも、イギリスのジョージ・ケーリーはリリエンタールより半世紀近く前に人間を載せたグライダーで130mの滑空飛行に成功している(彼の御者だった10歳の少年を説得して飛ばせた^^;)。この人はエアロフォイル翼や飛行の基本要素(推力・抗力・揚力・重力)など航空の分野で語られることが多いが、実に博学多彩な人で、電気や光学の研究の他、例えば自転車のスメ[ク車輪や重機のキャタピラなどを発明したのも彼だ。政治家でもあった。生涯を通じて自然を鋭く観察しそれを丁寧に記録していたというのも心引かれる。
↓ケーリーのグライダー(当時の業界紙:「調節できるパラシュート」という見出しが面白い)

更にイギリスには興味深い人がいて、11世紀の中世に修道院の屋根から飛んだ人がいる。マルズベリーのエルマーと呼ばれる僧侶だが、「彼はイカロスとその息子ダエダロスが両腕に翼をくっつけて飛行することで監獄から脱出した・・というギリシャ神話を真に受けて、同様に両腕に翼を付け塔の先端に吹き上げてくる風に乗ってジャンプした。その結果200mも飛んだが渦巻く気流に落とされて両足を骨折した」と僧侶仲間のウィリアムという人が記録に残している。
正確な離陸高度が分からず、高さが50mを越える修道院も幾つもあるから、単純にその滑空性能を比較することはできないが、飛行距離200mというとケーリーはもちろん、リリエンタールの記録も超えているわけだから、後にビッコの神父として町の有名人になるエルマーさんが、一時(いっとき)空中で味わった感動と恐浮ヘ想像に余りがある。
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