この日、もしお天気が良ければ……
この帯を締めるつもりでした。千切屋治兵衛の葡萄帯。
コスモス、葡萄、そして紅葉と
秋の景色は穏やかに、移ろっていきます。
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「あー感動した! ラストの『夜のピアノ』は僕のために
歌ってくれたんだ、と思った!」
ライブ終了後、開口一番エキサイト気味にKさんが言えば、負けじと
「あら、それならオープニングは私のために歌ってくださったのよ、
きっと。私はあの歌が一番好きなの」と、私。
―滅多に歌われないけれど―
今回の秋ライブは、メランコリックに寄り過ぎず、むしろ
小春日和のような温かいラインナップで、
鍵盤を広く使った音数の多い贅沢感あふれるアレンジ。
品の良いサロンにさらに、灯りをともすような
明るさも感じさせました。
とても印象的だったのが
前半の「WHISPERING RAIN」と「涙の微笑み」。
実はいまだに、80年代後半のアルバムを通しで聴いたことがなく
この2曲も初めてだったのですが
ピアノバラードアレンジで30年のときをあっという間に越え
今だからこその魅惑的なプレイ&ヴォーカル。
オリジナルをよく知らないのに失礼ですが、
(このアレンジで他の80年代後半の楽曲も聴いてみたいな)と思ったほど。
カバー曲の『素顔のままで』も、確か今まで3、4回聴いている中で
とりわけピアノの美しさが際立っていたし
他も…詳しくはもう覚えていないのですが、後半にいくほど
スタインウェイの響きも深くなっていったような印象が。
MCも和やかムードで会場の笑いが多かったような……
どんな話しの流れだったか
「人生にいつもホームランを求めるのではなく、お茶漬けでも喜べる方が……」
……(なんで、ホームランに対してお茶漬けなんだろう)
とは思いましたが……
最近は「濡れマスク」をして寝ることが多いそうで、
偶然、少し前に感染症の取材をしたときに、その医師も濡れマスクを強く
推奨していたので、「ああ、やっぱり健康にいいんだな」と思ったり。
歌詞に因んで、ご自身の昔の体験や考えたことをユーモアも交え
活き活き語っていたのも印象的でした。
歌詞に、といえば私も
『Layout』で(あー私はフレームごと捨てたなー)とか、
『Laughter in the rain』は、3年ほど前のライブで初めて聴いて
土砂降りの心に傘をさしかけられたような気持ちになったこととか、
『雨の中で君は』~『心の旅』の曲順にクスッとなったり、とか。
この坂をのぼっても、その窓辺に私はもう居ないけれど。
誰もが多かれ少なかれそうしてみたくなるように
少し、自分を創作の世界に置いてみるのも、「芸術の秋」の
醍醐味なのかも知れません。
「潮騒の意味、知っていますか?
これは満潮に向かうときの波のうねりの音だそうなんです」
との話の後に、
―今の自分は、潮が満ちていこうとしているときだと思う―
とおっしゃったのが何より嬉しくて
3月のホールコンサートがとても楽しみになってきました。
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