40数回目の誕生日を迎えた。

遡ること2日、
ライブ友のBさんと青山方面へ。
選んだ着物は……

林郁子さん作の、桜で先染めしたロートン織の紬に、
アンティークの蝶の帯。
羽織も、昨年求めたアンティーク。紫の地に春蘭が大きく描かれている。
初めて黒以外の着物に合わせてみましたが、いかがでしょうか……。
これに

ブルー系のシフォンのショールを合わせたら、
何だか春先にピッタリの「襲(かさね)」に思えてきて
※実際には、春の襲にこの組み合わせは存在しないようです。
すっかりお気に入りのコーデになった。
心はずませて、東急線沿線の某駅。
乗り換え通路で、すっと私の前に回り込んできた女性がいた。
バニラアイスのような柔らかなオフホワイト系の着物に身を包んだ
とても感じの良いその方、

思いがけない言葉に、一瞬きょとんとしてしまうほどびっくりして、
それから
じわっと嬉しさがこみあげてきた。
光栄です! と何度も御礼を言った。
購入元のお店には、その方も足を運んだことがあるとのことなので、
ご縁が広がっていくといいな。
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さて、ここは表参道ヒルズの……

ドイツレストラン「Lesen Wald(レーゼンヴァルト)」。
ご一緒した、着物2年生のBさんは……

春先らしい、淡い薄グレーの地に
ピンクの蝶が舞っている小紋。 私と偶然「蝶つながり」に

帯留めは作家物のとんぼ玉で、猫と更紗花の両面使いができるおりこうさん。

新鮮な食材を使った野菜や、旨みのある肉料理のランチをいただき……
デザートタイムに突然、



Bさんからサプライズ!
デザートの載ったお皿にドイツ語で、
Alles Gute zum Geburtstag! -お誕生日おめでとう!-
ワタシ…ドイツ語で祝ってもらったのは大学以来です。
Bさんは、今まで節目節目のイベントには必ず、サプライズプレートを
オーダーしてくれていて、その心配りに頭が下がります。
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食事の後は、山本達彦さんの“Printemps(春)”ライブへ。
3月に還暦を迎え、初めてのステージだ。
そういえば……

(わざとぼかしています)

わざわざメールしてくれた着物友がいた。
達彦邸が家庭画報に載ったときのことだ。
何と言っても、ご家族が描いた日本画の植物画と、器コレクション!
私は手前の赤絵と黒の漆器に目が釘付けでした。
やはり優雅な、でも決して拝金主義でない、節度あるインテリアでしたね。
ライブのMCではファッションの話が印象に残った。
「『I AM DANDY』という写真集を買ったんです」

ベルリンのゲシュタルテン社という、ファッションやアーキテクトの割と先鋭的な
ビジュアルブックが得意な出版社の本だ。
まあ、何というか、欧米の「キメキメ」な富裕層のオシャレ写真集…なんでしょうか。
私は和モノが好きなので、ダンディといえば
白洲次郎だったり、最近観た中では板谷波山だったり、ナイーブな佐伯祐三だったり
が思い浮かびますが……。
「それで、その中の気に入った一人のモデルに影響されて、丸眼鏡を買ったんです。
…でも、滝廉太郎みたいなのじゃないよ。魯山人とか、藤田……(嗣治?)」
影響されたのはどうも丸眼鏡だけではないようで、
ライブ後に着替えて表に出てきたときの私服を見て
「(ボトムスの)丈が短すぎる!」思わずBさんと顔を見合わせた。
この写真集に出てくるモデル達と同じ、くるぶしが出るくらいの丈だった。
(プレイの感想は記事最後に)
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ライブが終わって……

出待ちの列、横からBさんがささやく。

-筋肉の「き」っていったら、私がさえぎりますヨ-
-大丈夫、今回は予め(言うことを)考えてきたから(笑)-
同じ轍を踏まないように、私はこの羽織を着てきた。
「この羽織、60年前のなんですよ。同い年なんです」
「へえー、そんな風には見えないね」
「そうですね、色が綺麗でしょう?」右袖を少し、広げて見せる。
-60歳のお誕生日、おめでとうございました-と、和光の小さな包みをお渡ししたら、
ぎゅーっととても力強く握手してくださって、一瞬呼吸が止まるほどびっくりし、
それから
じわっと嬉しさがこみあげてきた。
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(ここからは検索で来られる方向けのマニアックな内容)
今回のライブは、アニメ版「のだめカンタービレ」の演奏や、米米クラブのストリングス
アレンジ等、精力的に活動されているヴァイオリニスト、桑野聖(ひじり)さんがゲスト。
ダブルベース、ピアノとのトリオ編成でした。
私は専門的な知識がないので、言葉も稚拙で恐縮ですが、
一音目から豊かな音色、自然なゆったりした流れのあるフレーズに感動しました。
特に、『前奏曲』は、桑野氏が入ったことで、
ラストまで一つの「物語を語ってきかせている」ような、表情豊かな演奏のように感じました。
どうしてかなあとぼんやり考えていたのですが、
(素人の勝手な考えですが)
つきつめると、音符をその長さ分しっかりのばし、休符をその長さ分しっかり休んでいる
からなのでは、と思いました。
芸大を出たプロの方に失礼な、と思われるかも知れませんが、
プロミュージシャンでも、音符、休符を長さ分フルにのばさない、休まない人
逆に長すぎる人はたくさんいますし、それが各々の個性や持ち味になることもあります。
私は個人的に、鍵盤は音符も休符もわずかに短く見積もる傾向があると
感じていますので、
今回はうまくバランスがとれて、いいタイム感が出たのかなーとも。
一小節一小節、終わりまでしっかり使ったフレージングは聴く側にも、
ゆとりを与えますよね。
他に印象的だったのは『アゲイン』と『レキュム デ ジュール』。
アゲインは、私が12歳の確か冬にTVで聴いていた歌で、
私にとっては「茶の間」や「家族」と直結する、想い出深い曲なのです。
『レキュム~』は、私自身はライブで初めて聴きました。
オリジナルキーのままで、この曲のもっとも高い声(B?)が出るのかしら、
などと失礼なことを思ってしまいましたが、とても美しい歌唱で心に残りました。