浅草公会堂での新春歌舞伎に誘ってくださった。
-お正月らしく、華やかに-と思って選んだのがコチラ。

野口の小紋はとても久しぶり。
確か、2年前の大雪の翌日、同じ浅草歌舞伎に
着ていったのが最後ではなかろうか。
帯は初詣と同じ、白の綴れで(これも2年前と同じでした


小紋のアップ。
野口さんは色遣いがハイセンスで好き。
この葉っぱの青は、なかなか出せる色ではないと思っている。

佐藤節子先生と。
カメラが2台あり、目線が別の方へいってしまいました。
そして、今回ご一緒したお友達は、ミュージカル部総裁のSさん。

笑顔がキラキラ

先生の帯はしなやかなタッチの梅の枝。
Sさんはお身内から譲られた古典柄の帯が優しい表情。

Sさんの後ろ姿。こちらもお身内の方の絵羽織ですが、
仰々しい感じがぜんぜんなくて、桐や小菊が可愛らしくて、
羽二重の黒が実に高級感あって。
今も十分、大活躍のステキアイテム。
お天気も穏やかで、とても良い着物日和になりました。
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さて、お芝居の方は……
新春浅草歌舞伎といえば、楽しみなのがイケメン

今回、私たちが観たのは昼の部で、
残念ながら(私のお気に入りの)中村歌昇さんや隼人さんは
夜の部のみの出演だったので見られませんでしたが、
壱太郎さんのすっとした個性派美人、中村梅丸さんの艶やかなお姫様、
どちらもとても輝いていました。
壱太郎さんは、美貌だけでなく台詞も動作も表情も、ここ1年くらいの間で
とてもお上手になったように感じました。
演目は「義賢最期」と「上州土産百両首」。
「義賢最期」は、木曽義仲のお父さんの話ですが、
どうも既視感があるなあ、と思っていたら、
2年半前に新橋で観ていました……

しかも、そのときも主役はらぶりん(片岡愛之助さん)。
すっかり、忘れていた。
ふすま3枚でつくったやぐらの上から、やぐらごと落ちたり、
最後に前のめりで階段に倒れ込んだり、立ち回りで見せ場の多い演目。
新橋に比べ舞台が小さい分、ハラハラ度は大きかったです。
ストーリーはシンプルなので、頭を使わず楽しめるのがいいですね。
さて、続く「上州土産百両首」は、あまり上演されないそうですが、
猿翁さんもかつて主役・正太郎を演じており、猿之助さんは
(インタビュー記事などを読むと)なかなかお気に入りの演目のよう。
最近はあまり見ることのなかった人情もので、原作は何とO.ヘンリー。
仲良しの二人が10年後の再会を誓いあって別れ、その約束の日が
間近に迫ったときに事件が……といった、
O.ヘンリーお得意の、「ボタンの掛け違え」が生む悲話。
兄貴分を市川猿之助さん、
ドジな弟分を三津五郎さんの息子さん、已之助さんが好演していました。
猿之助さんは、スリの一味という役の割には品の良さがにじみ出ていたように
思いましたが、台詞の間といい、身のこなしといい、
1分1秒、360度どこから見ても「魅せる」演技が素晴らしかったです。
已之助さんも負けず劣らずの存在感。
どう見てもIQ低いでしょう、と思わせる徹底した「足らなさ」が、
何ともチャーミングで、「この子は放っておけない!」と観客の気持ちを
掴んでいました。
個人的には
何といってもこの演目、実は中盤に私の故郷が舞台となるので、
楽しみにしていたのですが、
これ以上ない田舎っぷりの描写に思わず苦笑。
いかにも関東平野の北端らしい、一面の荒れ野原。
旅館の仲居は美人とはほど遠く、力だけは強い
(上州は“かかあ天下”で知られている

きっと当時の距離感も、今とは考えられないほど
遠かったのでしょう。
それでも、猿之助さんが演じる舞台に、自分の故郷が出てくるなんて
嬉しいなあ。
こちらはO.ヘンリー原作だけあり、ストーリーもなかなか面白く
最後は涙がほろほろきて、でも爽やかさもあって。
キレイな女性は出てこない「男と男の友情」が柱なので、
好き嫌いはあるのかも知れませんが、
洗練された演目だと思いますので、もっと上演されるといいのになあ。