珍しいステージを観に行った。
ご一緒したのは、ライブ友のBさん。
彼女は会社帰りで洋服とのことだったので……

色数を抑えたコーデにしてみた。
小糸染芸の、通称「渋カワ不思議ちゃん」に、
帯は「きぬたや」さんの総絞り。
私の記憶では、着物超ビギナーのころに一度締めたきり
しまったままになっていた帯だ。
小紋の枚数が少ないのと、こうした「お淑やか」なお太鼓のものは
なかなか有効活用できなくて……。
帯揚げはゑり萬さん。前回のパーティよりも
柄がはっきり出せて良かった

帯留めも普段は滅多に使わない、刺しゅう(鼓柄)の入った
大ぶりのもので、シックだけど京風な一揃いに。
ちなみに……

昔はこんな帯も合わせていたけれど
花が紫陽花のように見えるので、今の時期はちょっと……。

これもこの日の候補だったけれど、
少し「がちゃがちゃ」するような気がして。
この帯は、もっとシンプルな着物の方が合うような。
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場所はオーチャードホール。
約3年前に、ヤン・リーピンというチベットの舞踏家を観たとき以来かな。
渋谷なら今は、駅の反対側の「ヒカリエ」の方が縁があるかなあ。
この辺りは、滅多に来なくなってしまった。
さて、コンサートの演目は次の通り。

ステージ手前に、狂言や歌舞伎のための板があり、
奥にオーケストラが。
さらに、壁面にプロジェクターで映像が映し出され、
(観音様とか、撫子などの花とか)
なまじっか伝統芸能の鑑賞経験があると、何ともシュールとしか
言いようのない舞台。
特に、狂言「三番叟」は


音楽が悪いわけでは決してないけれど、
狂言方の台詞や動きのタイミングと、音楽の抑揚が、合っていないように
感じられました……。
クラシックファンで、お能や狂言は観たことがない、という人には
新鮮で面白いかも知れませんが……。
一方、中村扇雀さんご出演の「鷺娘」は、
やはりシュールだし、歌舞伎で掛かるのとはだいぶ演出が
変わっていたけれど(たぶん構成も)、こちらは好感が持てた。
「あげひばり」や「白鳥の湖」の音楽にのせて、
鷺娘が恋しい男性を想う場面は、日本舞踊よりもむしろ西洋のダンス的。
何しろテンポが(歌舞伎よりも)速く、ワルツやポルカのリズムなので
足元が「ステップを踏んでいるみたい」なのだ。
でも、意外と音楽に合っていて、扇雀さんの見事な舞が引き立っていて
(こういうの、海外公演でウケるかも……)とも考えてしまった。
歌舞伎と違うとはいえ、衣装の早変わりはしっかり、もれなく。
鷺の真っ白な着物から、町娘の真っ赤な着物へ、
そして「口説き」に入るときのうす桃色の着物、そして最後に
地獄の責めを受けるときの白い着物にみだれ髪。
お約束の「海老ぞり」もありました。
ただ、
「鷺娘」終演後に、なぜか東京フィルによる日本民謡メドレーが
10数分続いたのには納得いかず。
せっかくの、扇雀さんの美しい舞の余韻が、正直いってコンセプトのよく
わからない演奏の間に、どんどん、どんどん薄れていってしまう……!
全体的に、企画意図が今ひとつ、はっきりしないコンサートでした。
秋に国立能楽堂で観た、梅若玄祥さんの「安宅」のときのように、
司会者を立てて、なぜこの選曲や演目にしたか、見どころは何かなどを
トークショー形式で説明してくれれば……とも思ったり。
でもまあ、久しぶりのオーチャードで、お友達と一緒に鑑賞できて、
カフェであれこれおしゃべりもできたし、
扇雀さんは素敵だったし、
伝統芸能の良さを再確認もできたし…で、中身の濃いひとときでした。
鷺娘は玉三郎さんの映像がありますので、貼っておきますね。
これは全体の最後の3分の1。鳥が人間に恋した罰を地獄で受ける場面がメイン。