神奈川絵美の「えみごのみ」

命の舞

(前回の続き)

さて、ヤン・リーピンとは中国の超一流の舞踏家であり、
芸術監督、振付師でもある。
ペー族という少数民族出身で、90年代終わりから
近代化により失われつつある故郷・雲南省の民族文化を
歌舞劇で残すべく、精力的に活動しているそうだ。



今回の「クラナゾ(蔵謎)」は、チベットの各地に伝わる歌や踊りを
取り入れながら、“自然との共存”や“次世代の幸せを願う信仰心”
“輪廻転生”といったチベットの思想をベースに構成された歌舞劇だ。

色とりどりの民族衣装、力強い群舞、
はりさけんばかりの声を上げる歌。何もかもが骨太で、
喜怒哀楽がストレートに表現されている。
今の日本の状況からしても、単なる民族文化のアレンジとしてのお披露目ではなく
命の巡るさまが舞台から透けて見えてくるような、
エネルギーのほとばしりを感じた。
そんな中、ヤン・リーピンのソロ
(ターラ菩薩という煩悩や苦悩から人々を「救済」する観音の踊り)は
耽美的で繊細で、ほかの群舞とはまったく違う世界観なのが印象的だった。

これは別の演目だけど・・・
彼女の「腕の柔らかさ」にびっくり!



クラナゾでは、もうちょっと長く、彼女の踊りを見ていたかったなあ。
(思ったより出番が短かった)

私は気づかなかったが、
会場の外では、フリーチベット(チベット人権保護運動※人により解釈が異なるようです)の
活動家によるアピールもあったようだ。
世界のあちこちで閉塞感がつのり、命が助けを求めている。
ヤン・リーピンのターラ菩薩は「救済」ではなく、
助けを求める命そのものの化身のように見えた。

コメント一覧

神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは 私、題材に鳥が多いのは、人間の「翼」に対する憧れのあらわれかなーなんて思っています。ただの推測に過ぎませんが・・・。
大らかに、優雅に、そして力強く。フィジカルとアート性の両方を追求するダンサーが目指す表現なのかも知れませんね。
はつき
鳥と踊り
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
「蔵謎」、気になっていたのにうっかりしていました!
身体表現であるダンスと鳥というのは親和性がよいのでしょうか。鳥を表した舞踏作品に名作が多い気がします。絵美さんがご指摘の腕の動きで羽をいかに表現するか、舞踏家が追求したくなるのかもしれないですね。
神奈川絵美
sachikoさま
こんにちは クラナゾでは背面に回した両腕が、まるで本人とは別の生き物のように波打ってうごめき、艶かしいとすら思えました。
ベリーダンスも筋肉すごそうですね。こうした「力」と「美しさ」両方を表現するスポーツは、体も感性も充実していないとなかなか高みにはいけないのだろうなあ、と思いました。
sachiko
さまざまな踊り・・・
絵美さま♪

 一流の舞踊家の体 しなやかに見えるのですが
  その鍛えられた筋肉にはびっくりしますよね~~~

  初めて知るヤン・リーピン チベット系の想いを踊りに託しての表現なのでしょうか
  しなやかな腕の動き・・・ 鍛えられた背筋に裏付けられていますよね。

  イスタンブールで見たベリーダンス・・・
  トップスターの腹筋・背筋 半端な鍛え方ではないけれど しなやかで華やかでした
  
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは ヤン・リーピンは中国人といっても(この言い方が誤解されやすい?)チベット系(ペー族)ですので・・・。
裏をとっていませんが、ヤン・リーピンは中国では滅多に踊らないとか・・・。

バレリーナもそうですが、ぱっと見た目のしなやかさとは裏腹に、筋肉鍛え抜かれていますよね・・・この腕、背中、各部位の関節、すごいです。
りら
踊る人
私もいろんな踊りを見に行くのが好きなのですが、これも面白そうですねぇ。
鍛え抜かれた身体や技を見ると、人間ってすごいなぁ、と思います。

しかし・・・中国人がチベットを踊るというのも、不思議な気が・・・・
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