ずいぶん久しぶりだなあという気がする。
今回、きもの英さんの企画で、
お友達の多くは第二部をご覧になっていたよう。
私は吉田蓑助さんが観たくて
一人で第一部に出かけていった。
(ちなみに、チケットはネットで予約したのですが
最後の一枚でした……)
着ていったのは

いよいよ、コスモスの出番。
薄クリーム色の、角通しの江戸小紋とともに
「きもの青木」さんでいただいたもの。
さらっと控えめにしたくて、
帯締めはグレイッシュな薄ブルーにしてみた。
足元は

今春誂えた、おすまし顔のカレン。
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さて、今回の文楽第一部は

「面売り」
「鎌倉三大記」
「伊勢音頭恋寝刃」の三本。
「面売り」は舞踊もので
おしゃべり案山子と面売り娘のかけあいが
とーっても面白かったです。
しずしずと登場し、一見、おとなしそうな面売りの娘が、
いざ踊りに入ると弾けていて、愛嬌があって、
案山子もたじたじ(?)
昭和19年の初演とのことで、思っていたより新しい演目ですが
それも、軽妙でわかりやすく、受け入れやすいゆえんなのかも
知れません。
「鎌倉三大記」は
女方の大役「三姫」の一人、時姫が登場。
(他の二人は八重垣姫と、雪姫)
……なんですが、話の筋としては、
身もふたもない言い方をすれば、三浦之助や高綱に
いいように使われ、父を殺す羽目に……と
現代の感覚では「なんだかなあ」な内容。
でも
人形遣いさんたちや床は良かったです。
特に、藤三郎実は高綱役の吉田玉男さん。
前回の、襲名披露のときは、かなり硬い印象を受けましたが、
今回は、だらしない下級武士の藤三郎がはまっていました。
床の方は、やはり呂勢大夫さんの「米洗いの段」は
惹き込まれる面白さ。
話の大筋には絡まない場ながら、姫が身分不相応な家事に
右往左往する様子や、それを見かねた近所のおばさんが、
水のくみ方や米のとぎ方を教える様など、
とっても活き活き。
ちゃり場というのとは違うのでしょうけれど、
こういう軽くて明るい場も、お得意なんだなあと
感心しながら聴いていました。
「伊勢ー」は私、今回
咲大夫さんの義太夫にとても好感を持ちました。
お人形とぴったり、合っていたように思いますが・・・。
特に、勘十郎さんが遣う女中「万野」。
いけずうずうしい、クセのある役どころを、
お人形と義太夫がとてもリアルにあらわしていたと思います。
そして蓑助さんが遣う「お紺」。
冒頭から10分ほど独壇場で、恋しい貢を思い、
それでも別れねばならぬ辛さ、いっそ自害を…という
切なさが、お人形の首の動き、手の動き一つひとつから
伝わってきます。
蓑助さんと、勘十郎さんとの絡みはもう、
見所満載。
ただまあ、こちらも話としては
無差別殺人のスプラッタ状態で、
派手さを楽しむ夏芝居とはいえ、あまり気分の良いものでは……。
まだ、歌舞伎の方が動きが大きい分、大らかな気持ちで
見られるかな。
お人形だと、斬られた首やら足やら腕やらが、
どうも、私には気持ち悪いんですよね・・・。

見難い写真ですが、
ロビーには「伊勢ー」のキーアイテムである
青江下坂という名刀のモデルになった刀が
展示されていました。