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神奈川絵美の「えみごのみ」

いのち、華やかに - 鈴木其一展 -

この展示、実は2週間近く前に観に行っていたのですが、
文楽と同日だったこともあり、思ったほど時間がとれなくて……



なので、レポというほどのものではありませんが、
江戸琳派の大家、鈴木其一の華やかで優しく、遊び心もある画風の
一部を、楽しんでいただければと思います。

もともと画業の家に生まれたわけではなかった鈴木其一。
でも酒井抱一のもとに弟子入りしてから
めきめきと、頭角を現し。

写真ではどうにも質感が伝わりませんが
筆のタッチだけで、楽茶碗の厚みやツヤをあらわしている
初期の作品。
白椿のたたずまいなど、すでに円熟味があります。

酒井抱一については、あまり詳しい説明はなかったのですが
弟子がたくさんいて、弟子の絵に一句寄せたり、
弟子たちの寄せ書きがあったりすることから
面倒見の良い人だったのではと……。展示の初めの方は
和気藹藹とした雰囲気がみてとれます。

この作品は、抱一が亡くなる前後だったような。

私が今回の(前期の)展示で、もっとも印象に残った萩の図。
萩って、こんなに美しい花だったんだ……としばし立ちつくし、
見とれました。


月明りに、ほんのりと陰影。優しいピンクに白。

其一といえば

晩年のこの朝顔図がとても有名で、
花のつきかたといい、蔓の動きといい、
ダイナミックな大作なのですが

私は萩の図のような静的な、繊細な光の加減を見せるような
筆致も好きだなあと思いました。

抱一亡き後は、独自のスタイルも芽生え育ち

これなどはその好例で、
表装部分まで(それと見せかけた)絵を描いている
遊び心ある作品。
(こちらは絵葉書で、左右の鳥や草木のアップは
実際にはありません。作品は中央部分のみ)


十二か月の草花を短冊にした作品の、1月から6月。
このような、大胆な構図も其一の持ち味。
自然の美しさが、映えるのですよね。


こちらは7月から12月。


向日葵の持つ力強さが存分に。

其一は、お能との接点もおおいにあり
能舞台を描いたお軸などもいくつも、残しています。

どの絵も、いきいきと伸びやかなのですが、
決して過剰な演出はなく、対象の持つ特性が
もっとも輝くような描き方をしているなあというのが
素直な感想です。
できれば展示替え後、会期終了間際にでも
もう一度観に行きたいなあ……。
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