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朝の光(聖書の言葉)

俳句 2015年 K.M

 2015年

 

 

(2015年1月)

 

凍雲の動かざること山の如

 

冬帝のお供に寒波連れて来し

 

秋遍路死の宣告を背負ひ来し

 

竹林の一点穿つ櫨紅葉

 

 

(2015年2月)

 

初御空雲間の日差仄々と

 

歯の悪き父粥柱啜る音

 

父母の亡き故郷の豪雪に

 

まつさらな冬日に惑ひ出たる蝶

 

 

(2015年3月)

 

琴の音に冬の日差の緩みけり

 

明王の火焔のごとく芝を焼く

 

雪掻きをせねば生活の成り立たず

 

気配りの至る法要冬ぬくし

 

  

(2015年4月)

 

点々と彩取り戻し山笑ふ

 

温泉に触るる雪一瞬に湯気となり

 

酒田より鞆へつなぎし吊し雛

 

この谷の梅の孤高を知らざりし

 

 

(2015年5月)

 

夜桜の闇に狂女の眼のありし

 

天平の天女の乗りし春の雲

 

曙の紫紺の空の初音かな

 

朝霞月のやうなる日の昇る

 

 

(2015年6月)

 

揚雲雀地球の何か知つてをり

 

曇りたる空に雲雀のかくれんぼ

 

草原の緑の波となるうねり

 

昨日より明日へ伸び行く藤の花

 

 

 (2015年7月)

 

木下闇光の粒子降り注ぎ

 

木下闇より滝のごと神の風

 

青嵐知らずサンバを踏んでをり

 

落葉とは違うやさしさ竹落葉

 

 

(2015年8月)

 

一刷毛のスカイブルーや梅雨晴間

 

一門の一度にくぐる大茅の輪

 

サングラス取り明眸を日に晒す

 

雷鳥の親子十羽に径譲る

 

 

(2015年9月)

 

雲海を切り裂く日の出とはなりぬ

 

下山して熱風の街蝉時雨

 

終戦の日のこと父母の語らざる

 

黙示録閉ぢ終戦の日となり

 

 

 

 

 2016-09-18

 

 

 

 

(2015年10月)

 

落蝉の天を仰ぎて合掌す

 

香水の人とは少し距離をおき

 

佇めば其処此処に色草のあり

 

庭に生ふ盗人萩を愛しけり

 

 

(2015年11月)

 

木の実落ちだせば次々次々と

 

夕日浴ぶへの字への字のねこじやらし

 

激動の維新見て来し松手入

 

蒼穹の月ぼんやりと浮かびゐし

 

 

(2015年12月)

 

山茶花の純白の日を集めゐし

 

天辺の鵙の地球を睥睨す

 

蒼穹へ突き抜けてゐし冬紅葉

 

照紅葉天心めがけ燃え立ちぬ


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