
“地獄の大統領”キラー・コワルスキーといえば耳そぎ事件がすぐ思い浮かぶ。ユーコン・エリックとの試合でトップロープからのニー・ドロップによりユーコンの耳をそぎ落としてしまい、ユーコンはショックで自殺、コワルスキーもトラウマにより肉が食えなくなったという20世紀プロレス史を血の色で彩る恐るべきエピソード。
ただ、引退後にこの話を聞いたコワルスキー本人はなんだそりゃと爆笑したという。ああ、またやられた。この有名な話、梶原一騎の創作らしい。
現実にはユーコン・エリックは耳に大怪我はしたものの縫合されてことなきを得た。彼が自殺したのは負傷から何年も後のことで理由は妻の不貞に悩んだため。コワルスキーはこの試合より前からベジタリアンだった。
試合後にコワルスキーがひどいことをしてしまったと悩んでいたら、「あれはアクシデントだよ。俺は気にしちゃいないからおまえも気にするな」とユーコンが真っ先に慰めてくれたために立ち直れたという。創作のスリルに満ちた話も悪くないが、現実のこのユーコン・エリックの優しさは創作以上に感動するいい話じゃないか。
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