フェイスブック句会

主宰・選者:高橋正子
花冠発行所

■第4回フェイスブック日曜句会入賞発表■

2011-11-20 09:50:23 | 俳句
■入賞発表/2011年11月13日■

【最優秀】
★木の実降るそのひと時に出会いけり/桑本栄太郎
木の実が降るのに出会うことは、だれにでもあるだろう。それを「そのひと時に出会いけり」と、「その時」を切り取ったのが鋭い。降る木の実との一期一会の思いが強い。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★木の実降るそのひと時に出会いけり/桑本栄太郎
自然との出会いもまた一期一​会だなと感じさせられました。(河野啓一)

★まっすぐに道路明るき夜学の灯/高橋秀之
勉学に励む青少年たちにエールを送るかのように、まっす​ぐな道にことに澄んだ明るさを感じる夜学の灯です。(藤田 洋子)

★たて笛の音色幼し冬はじめ/高橋正子
習いたてのたて笛を一生懸命に何回も何回も練習している​姿が、思われます。頑張っているのですね冬の初めに。(祝 恵子)

★乾く音うれし落葉の嵩を踏む/小川和子
落葉が降り積もっ​ている土手など踏み歩くのは童心に返ったようで嬉しいも​のです。かさこそとが聞こえてきそうです。(黒谷 光子)

★ゼッケンを霧に濡らしてゴールイン/後藤あゆみ
霧の中のマラソン大会は、ランナーにとっては好天よりも走りやすいのですが、応援する方にとっては、ちょっと寒いかもしれません。でも、ゴールインの瞬間は、ランナーも応援する方もそんなことは忘れて満足感が漂う一瞬です。(高橋秀之)

★作品を提げ行く冬の車椅子/河野啓一
冬の車椅子は、ひときわ寒いものです。その中を、大切な​作品をたずさえて向かう。作品を自身で守り届ける姿がき​りりと映え、創作への一念を感じます。(川名ますみ)

★一本で括られ新藁匂い立つ/後藤あゆみ
一本の藁のみで括られた新藁の束、その一束ゆえ、真新しい新藁の芳しさがいっそう感じられます。晩秋の豊かな香り高い新藁です。(藤田洋子)

★きっぱりと冬を迎えし心持ち/多田有花
冬を迎える緊張感におのずと身のひきしまる思いです。「きっぱり」と冬を受け入れようとする作者の高潔さをも感じる御句です。(藤田洋子)


【高橋正子特選/8句】
★木の実降るそのひと時に出会いけり/桑本栄太郎
ぽつぽつと絶え間なく木の実の降る音に出会うときがあり​ます。自然の営みとしては特別なことではないのかもしれ​ませんが、季節の、その杜の、生命の営みと共にあること​の喜びを感じます。「けり」にその思いが深く伝わってき​ます。(小西 宏)

★まっすぐに道路明るき夜学の灯/高橋秀之
まっすな道路に沿いゆくと、夜間学校の灯があかあかと道を照らしている。その灯に寄り添うように、また励ますように歩く作者の姿が見え、あたたかい句である。(高橋正子)

★作品を提げ行く冬の車椅子/河野啓一
「作品」がいい。一つの作品となった画か、書。それを自分で車椅子の膝に載せて、搬入しようとしている。作品は自分自身ともいえる。作品はそうでありたい。(高橋正子)

★島めぐり船窓から見た冬仕度/迫田和代
遊覧船から見る海辺の民家でしょうか。都会の冬支度とは違う、海辺の町ならではの冬支度は、季節の風情が漂っていたことでしょう。(高橋秀之)

★あぜ道の露新しき朝日かな/小口泰與
朝日を浴びる畦道の清しさが詠まれています。「露新しき」が新鮮に響いてきます。草や葉についた露がキラキラ輝いていたことでしょう。 (後藤あゆみ)

★焼き栗の風の香(かん)ばしシャンゼリゼ/小西 宏
凱旋門から続くシャンゼリゼ通りの焼き栗は、フランス語で「マロン・ショー」と言って、日本の天津甘栗とは違い、石焼きで天然の甘さで香ばしいと聞いています。熱々の焼き栗を片手にシャンゼリゼを歩く詠者。「風の香(かん)ばし」が異国の感じさせてくれます。 (後藤あゆみ)

★ゼッケンを霧に濡らしてゴールイン/後藤あゆみ
成田POPマラソンにお嬢様のご主人が出場なさったのですね。当日は濃霧だったとか。そんな中、家族揃って応援に行かれ、はらはらしながらも、完走された姿を見ると一緒に走った様な安堵感、爽快感を味合われた事でしょう。汗と霧に濡れたゼッケンも光って見えますね。良かったです。(佃 康水)

★海の青空の青越え雁渡る/津本けい 
北国から日本へ渡って来る大形の冬鳥。海の青、空の青を越え、将に山河を越えて鳴き交わしながらやってくる風景は心洗われる様な壮大な景ですね。本格的な冬がもう其処まで来ています。(佃 康水)

【入選/10句】
★冬菊のほのかに紅を刷きにけり/多田有花
日当りの良い所に生えている冬菊の白い花にほのかに紅を​差している淡い色合いが的確に表現されていて素晴らしい​ですね。(小口康與)

★旅へ出る午前三時の星月夜/安藤智久
旅行に出かける朝は苦もなく早起きしてわくわくと空を見​上げます。朝の三時は空気が澄んで星が沢山出ていて、旅​行への期待感が読者にも伝わってきます。(津本 けい)

★ポケットに紙と鉛筆冬はじめ/祝恵子
冬になり上着のポケットに手帳と鉛筆を入れて歩くことの​できる季節になりました。どこにいても句の題材を手軽に​メモのできる嬉しさを感じました。(高橋 秀之)

★菰巻きの結び目きりり百の松/佃 康水
一本一本丁寧に巻かれた菰。きりりとした結び目に職人の​心を感じます。それが百の松であることの壮観さ。(安藤 智久)

★柿を取る竿の先なる美濃の空/古田敬二
竿の先で捥ぎ取ろうとして​も中々ねらいが定まらず又、力の入れ具合も難しいのですが、それ​がまた逆に童心に帰って楽しい一時だった事でしょう。「美濃の空」に親しさが生まれています。(佃 康水)

★買物の母ポケットにどんぐりを/川名ますみ
買い物中、手持ち無沙汰の子どもはどんぐりを一生懸命拾っていたのでしょう。我が家も子どもたちもよくどんぐりを拾ってポケットに入れていました。(高橋秀之)

★鹿の跡辿り波打つ島裏に/藤田洋子
島の裏手の波打ち際まで鹿の足跡が続いている。安芸の宮島あたりの晩秋の情景を想像しました。 (河野啓一)

★秋雷の島を揺さりて去りにけり/下地 鉄
ひととき島中を揺らせて去っていった嵐。歯切れのよい口調が魅力の詠みです。 (河野啓一)

★晩秋の夜を貨車の音高々と/黒谷光子
晩秋の夜更けは音なく静か。日中は忙しさに気付かなかった貨車の音が大きく聞こえます。貨車は長く連結されていますから結構長い間でしょう。行き過ぎると夜の静寂が戻ります。貨車の音に夜の静けさと旅情を感じました。 (津本けい)

★夕日背に煙たなびく秋空へ/足立 弘
もう日は傾き煙が空にたなびいている。そこに夕日が当たり煙も何もかもが茜色に染まります。そんな静かな風景に秋を惜しまれている詠者を思いました。 (津本けい)
 

■選者詠/高橋信之
★あかあかと昼を留守居の冬灯し
留守居の気軽さと充実感に充ち溢れています。いずれ帰宅​する人がいる幸せ、出ている人をサポートしている自負、​留守居が多い自分と重なり感動しました。(後藤あゆみ)

★白きもの多しと思い冬の来し
大根、白菜、山の芋、そういえば身の回りに白いものが目立つ頃です。やがて霜も下りるでしょうし、吐く息も白く、山には初冠雪の報せも。冬がやってきたとの思いを巡らしておられる作者です。 (河野啓一)

★茶の花に思い出遠しあたたかし

■選者詠/高橋正子
★たて笛の音色幼し冬はじめ
習いたてのたて笛を一生懸命に何回も何回も練習している​姿が、思われます。頑張っているのですね冬の初めに。(祝 恵子)

★柚子の木の柚子にいびつな柚子ばかり
いびつな柚子と言えばフレッシュな感じがします。もげばいい香りがしそうです。(迫田 和代)

★レモンの香飛べば灯ちらつけり

■互選高点句
●最高点(点)

●次点(点)

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。

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24 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメント (高橋秀之)
2011-11-13 13:45:27
★ゼッケンを霧に濡らしてゴールイン/後藤あゆみ
霧の中のマラソン大会は、ランナーにとっては好天よりも走りやすいのですが、応援する方にとっては、ちょっと寒いかもしれません。でも、ゴールインの瞬間は、ランナーも応援する方もそんなことは忘れて満足感が漂う一瞬です。

★島めぐり船窓から見た冬仕度/迫田和代
 遊覧船から見る海辺の民家でしょうか。都会の冬支度とは違う、海辺の町ならではの冬支度は、季節の風情が漂っていたことでしょう。

★買物の母ポケットにどんぐりを/川名ますみ
 買い物中、手持ち無沙汰の子どもはどんぐりを一生懸命拾っていたのでしょう。我が家も子どもたちもよくどんぐりを拾ってポケットに入れていました。
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お礼 (迫田和代)
2011-11-13 15:42:45
信之先生
正子先生
第4回フェイスブック日曜句会を開催していただき有り難う御座いました。その上正子先生には 島めぐり の句を特選句お選びいたたき二重の喜びでした。感謝の極みです。

高橋 秀之様
島めぐり の句にご親切なコメントをいただき有り難う御座いました。俳句って奥が深いですね。勉強のし甲斐があると思います。
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コメント (後藤あゆみ)
2011-11-13 16:04:43
★あぜ道の露新しき朝日かな/小口泰與
朝日を浴びる畦道の清しさが詠まれています。「露新しき」が新鮮に響いてきます。草や葉についた露がキラキラ輝いていたことでしょう。

★焼き栗の風の香(かん)ばしシャンゼリゼ/小西 宏
凱旋門から続くシャンゼリゼ通りの焼き栗は、フランス語で「マロン・ショー」と言って、日本の天津甘栗とは違い、石焼きで天然の甘さで香ばしいと聞いています。熱々の焼き栗を片手にシャンゼリゼを歩く詠者。「風の香(かん)ばし」が異国の感じさせてくれます。
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コメント (河野啓一)
2011-11-13 16:04:45
★白きもの多しと思い冬の来し/高橋信之
大根、白菜、山の芋、そういえば身の回りに白いものが目立つ頃です。やがて霜も下りるでしょうし、吐く息も白く、山には初冠雪の報せも。冬がやってきたとの思いを巡らしておられる作者です。
★鹿の跡辿り波打つ島裏に/藤田洋子 
島の裏手の波打ち際まで鹿の足跡が続いている。安芸の宮島あたりの晩秋の情景を想像しました。

★秋雷の島を揺さりて去りにけり/下地 鉄
ひととき島中を揺らせて去っていった嵐。歯切れのよい口調が魅力の詠みです。
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お礼 (河野啓一)
2011-11-13 16:34:18

高橋信之先生、高橋正子先生
第4回フェイスブック日曜句会を有り難うございました。お蔭さまでフェイスブックの使い方も少しずつ慣れてまいりました。今後ともご指導宜しくお願い致します。

★作品を提げ行く冬の車椅子/を両先生の特選句にお選びくださいました上、正子先生にはご懇篤な嬉しいコメントを賜り厚くお礼申し上げます。先日、昔の絵画教室の仲間で展示会をやるとて近くのミニギャラリーに出向いたおりの句です。誠に有難うございました。
同句に選を頂きました下地さま、また[秋光の淡きを惜しむ野辺の道」に選を頂戴しました祝恵子さまと高橋秀之さまに厚くお礼申し上げます。
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御礼 (小口泰與)
2011-11-13 16:48:37
高橋信之先生、正子先生
第四回フェイスブック俳句句会を開催して頂き有難う御座います。
また、正子先生には、「露」の句を特選8句の1句にお取り上げ頂き大変嬉しく感謝申し上げます。
有難う御座います。
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コメント (津本けい)
2011-11-13 17:26:47
★晩秋の夜を貨車の音高々と/黒谷光子
晩秋の夜更けは音なく静か。日中は忙しさに気付かなかった貨車の音が大きく聞こえます。貨車は長く連結されていますから結構長い間でしょう。行き過ぎると夜の静寂が戻ります。貨車の音に夜の静けさと旅情を感じました。

★夕日背に煙たなびく秋空へ/足立 弘
もう日は傾き煙が空にたなびいている。そこに夕日が当たり煙も何もかもが茜色に染まります。そんな静かな風景に秋を惜しまれている詠者を思いました。
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お礼 (津本けい)
2011-11-13 18:44:48
信之先生、正子先生
第4回フェイスブック日曜句会を開催いただきまして有り難うございました。
正子先生の特選8句の1句に「海の青空の青越え雁渡る」をお選び頂きまして、大変嬉しくお礼申し上げます。有り難うございました。今後ともよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。
佃康水様には「雁渡る」に、迫田和代様には「芒原」に藤田洋子様、安藤智久様には「白菜畑」にそれぞれ選をいただきまして、有り難うございました。とても嬉うございました。
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お礼 (小西 宏)
2011-11-13 18:46:38
高橋正子先生
「焼き栗の風の香(かん)ばしシャンゼリゼ」を【高橋正子特選/8句】にお選びくださり、たいへんありがとうございました。
後藤あゆみさま
素敵なコメントをお添え下さり、とても嬉しく、お礼申し上げます。
さまざまな土地、それぞれの季節に独特の香りを感じることができます。パリの初冬の香りは、冷たい風にのってくる路地売りの焼き栗の焦げた匂いでした。
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コメント (佃 康水)
2011-11-13 18:59:33
★ゼッケンを霧に濡らしてゴールイン/後藤あゆみ 
成田POPマラソンにお嬢様のご主人が出場なさったのですね。当日は濃霧だったとか。そんな中、家族揃って応援に行かれ、はらはらしながらも、完走された姿を見ると一緒に走った様な安堵感、爽快感を味合われた事でしょう。汗と霧に濡れたゼッケンも光って見えますね。良かったです。
★海の青空の青越え雁渡る/津本けい
北国から日本へ渡って来る大形の冬鳥。海の青、空の青を越え、将に山河を越えて鳴き交わしながらやってくる風景は心洗われる様な壮大な景ですね。本格的な冬がもう其処まで来ています。。
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