フェイスブック句会

主宰・選者:高橋正子
花冠発行所

■第10回(雛祭)フェイスブック句会入賞発表■

2012-03-04 07:23:20 | 俳句
■入賞発表/2012年3月4日■

【最優秀】
★桃の花下照る道に車椅子/矢野文彦
桃の花が咲くその下も桃の花の色で明るい。「下照る」ところは、小さな桃源郷。そこに車椅子を進めれば、心も明るくやわらかに華やぐ。(高橋正子)

★野の池を空へ飛び発ち鳥雲に/河野啓一
野の池にいた鳥が飛び発ち、雲に入る。なんと広々と自由なことか。雲に入る鳥を見届けた心も遠く、自由だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★抱き帰る桃の花なり散る一片/高橋正子
胸に抱いて帰られた桃の花ですもの。どんな素敵なお雛​様だろうと想像されます。そこに 散る一片 でしょう​。ちょっぴり侘びしさも感じます。それで句に厚みが出たと思われます。(迫田和代)

★厨にも花菜一本挿しておく/祝恵子
おそらく家のそこここに花菜を活けているのでしょう。厨にも挿す​心遣いに、厨を灯す花菜の黄が、とりわけ明るくあたたかく感じら​れます。(藤田 洋子)

★子ら眠る雛の間に日の差しきたる/津本けい
平和な長閑な光景にほっと致します。遠き日を思い出させていた​だきました。(藤田裕子)

★桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
季節を捉えたいい句だ。「桃の花」のやさしさ、「馴染みの声」の親しさ、「雛祭」の季節を詠んで、嬉しい気持ちにさせてくれる。(高橋信之)

★紙雛を折りて畳んで雨の音/祝恵子
写生を基本にしているが、写生を越えている句だ。作者の思い、作者の心境が読者に伝わってくる。(高橋信之)

★イタリアン店に溢れて花ミモザ/佃 康水
カタカナが効いた。春の始まりの命の勢いを読む。(高橋信之)

★屋根からの雪解のしずく日に弾む/安藤智久
屋根からの滴は地に落ちて弾み、春光に煌めきます。屋根にある残雪の景とともに、春の明るさを嬉しく感じます。(小西 宏)

【高橋正子特選/7句】
★桃の花馴染みの声の店先に/藤田洋子
桃の花が店に活けてある。店先に馴染みの声が聞こえて、「あら」と思う。桃の花には、気取らない、明るい雰囲気があるので、「馴染みの声の店先に」言ってみるのだ。日常の一こま。(高橋正子)

★雨降るよ軒下で抱く桃の花/祝恵子
桃の花を買って帰る途中か。雨が降りだした。止むのを待って軒下で雨宿り。桃の花と春先の雨の湿った空気は馴染みがよい。桃の花の咲くころは降ったかと思うと上がり、また降るという雨の降り方が多い。(高橋正子)

★雛飾りなくてわが家のちらし寿司/高橋秀之
男のお子様ばかりのご家庭では確かに雛飾りは無いかも知れませんね。しかし、家族揃ってちらし寿司で雛の日を共にお祝いされている、雛飾りに勝る温かいご家族のお気持ちが伝わって参ります。(佃 康水)

★ため池はみどりに春の播磨の野/多田有花
米作が盛んで溜池も多いという播磨平野。春になると、田畑より先に池の藻が育ち、緑が盛んになるのでしょう。ちょっとした高みから眺める春の野の風景が広やかです。(小西 宏)

★踏み歩く雪に雪降り解けゆくに/高橋信之
春の雪は解けてゆくのが早いですね。つかの間の積雪に降りかかる雪もまたすぐに解けてゆきます。人が踏み歩いてゆけばなお更でしょう。春の雪を愛おしく思い眺めている作者の気持ちが伝わってきます。(小西 宏)

★屋根からの雪解のしずく日に弾む/安藤智久
屋根からの滴は地に落ちて弾み、春光に煌めきます。屋根にある残雪の景とともに、春の明るさを嬉しく感じます。(小西 宏)

★手にのせて眉目合わせて雛飾る/藤田洋子
雛様を箱から取り出し、手にのせて一年ぶりのお顔をよく見て、一人一人慈しむように、雛を飾る。雛を飾ってきた歳月が思い起こされる。(高橋正子)

【入選/20句】
★一日を雪解の音の中に居し/安藤智久
思いがけぬ春の大雪、それが去った後に明るい日差しが 戻りました。その太陽のぬくみが一日かけて雪を溶かして いきます。雪に陽が反射してあたり一面輝いています。日常の中に現れた非日常を新鮮な気持ちで詠んでおられます。(多田有花)
朝陽にとける雫の響きから始まり、仕事と振れ合うような水の動き、そして、雪解けのゆるむリズムを聴く夕べ。春の雪はほぼ一日で消えます。その音とともに居たという実感。太陽と大地を、日常の暮らしに想われた、貴いひと日と存じます。(川名麻澄)

★雛飾る幾年夫と歩みけり/藤田洋子
今年も桃の節句にお雛様の飾りつけをした。ずっと毎年飾り付けをして来た懐古と仲睦まじい夫婦愛を感じ、円満な家庭を垣間見る思いです。素晴らしい句だと思います。(足立 弘)
三月三日に女児の息災を祈って行われる雛祭りの行事。お嬢様の幸せを祈って夫共に長年歩んできたさまざまの事が雛祭事に脳裏に走り、感慨にふける作者。それぞれのご家庭に歴史がありますね。(小口泰與)

★山下りて出会う一面の菜の花/多田有花​
山を下りる時に一面の菜の花に視界が広がり歓声をあげそうな景色ですね。(松尾節子)

★子の減らす雛あられ盛る幾度も/津本けい
盛っても盛ってもこどもが食べてしまう雛あられ。微笑ましくもあり、こどもたちの元気な様子も伺える楽しい俳句です。(高橋秀之)
思わず笑ってしまいますね。経験がされた方が多いのではないでしょうか。「幾度も」にまた笑いが出ます。(祝 恵子)

★針箱に糸のいろいろ春の宵/黒谷光子
待っていた春が訪れて、晴れやかな気分も一緒にやって来ます。今迄見もしなかった針箱に目をやると、おや、こんな色も。あれを縫おうかしらと気持ちが弾みます。(津本けい)
刺繍でしょうか?ゆったりと寛いで針を通す。針箱から選ばれた糸からは、さまざまな色と形が紡がれるのでしょう。まことに、春の宵の伸びやかな静けさです。(小西 宏)

★背の低き菜の花咲けり雪の間に/小西 宏
背の低い菜の花が三月の雪と織り成す光景は、まだ春になりきらない今の季節感をうまく捉えたコントラストだと感じます。(高橋秀之)

★陽を浴びる梅に千のつぼみ有り/上島祥子
陽春の暖かい日差しを浴びる梅の木。それだけでも暖かい光景ですが、その梅には数え切れないぐらいの蕾がある。春の初めの暖かさを表現されていると思います。(高橋秀之)

★快晴であり春寒でありにけり/今村征一
快晴のすっきりとした気持ちよい天気です。でも、春寒で体感的には寒い天気です。三月初めの微妙な季節感をこの対比が感じさせてくれます。(高橋秀之)

★榛名湖の松籟寒き雛かな/小口泰與
まだ春の寒さが強く残る榛名湖畔、お雛様は涼やかな目元をして飾られています。かわいらしくも凛とした、その雰囲気が素敵です。(多田有花)

★たつぷりと素焼きの鉢に春の雪/川名麻澄
雪が珍しい大都会、自然に積もったものかあるいは手にとって盛られたものか素焼きの鉢の中の雪が美しく尊いものに思われます。(多田有花)
花苗を植えるべく準備していた素焼きの鉢に春の雪がいっぱいになっている。そんな情景を想像してみました。素焼き鉢と春の雪の取り合わせに興趣を覚えます。 (河野啓一)

★梅開く五弁の白の柔らかし/古田敬二
寒気の中に花開く白い梅、香り高く気品のあるあの白さが目に浮かぶようです。梅の開花を愛おしく思っておられる詠者のお気持ちも伝わってきます。(多田有花)

★畑隅に春の七草咲きそろう/井上治代
畑に春の七草が自生しているのですね。微笑ましくも明るい情景を想います。 (河野啓一)

★勝浦港(かつうら)の石段雛や大漁旗/古賀一弘
実際に見たことはないのですが、漁港にふさわしい豪快な雛祭りでしょうね。それも大漁となればなおさらです。 (河野啓一)

★遠くから待たれる荷物雛あられ/迫田和代
遠くに住んでいらっしゃる身内の方からの贈り物を今か今かと楽しみに待っていらっしゃるのでしょうか?お雛様の日であるだけに贈り物以上にその人からの便りを心待ちにしていらっしゃる作者の気持が伝わって参ります。(佃 康水)

★梅蕾ふくらむ枝に雪積もる/松尾節子
今年は寒さのせいで梅の開花が送れ、未だ沢山の蕾をつけていますね。膨らんでいる蕾に寒そうに雪を積もらせて居て、少し可哀想にも思いますがそれがまた一段と梅の美しさを醸し出してくれています。 (佃 康水)
先日の寒波で大きくふくらんだ梅の蕾にも雪が積もりました。こんな風に植物や私達を驚かせて、焦らすように春がやって来ます。それもよいものですね。(津本けい)

★水温む水面に遊ぶ鯉の群れ/足立 弘
寒の鯉もこの季節になると池の淵や水面に浮き上がって日向ぼっこしているかの様にも見えますね。将に水温むの実感です。 (佃 康水)
水底で固まっていた鯉も、水の温もりに水面に上がってきて、伸び伸びと泳いでいます。「遊ぶ」とされて、鯉の楽しげな様子が目に浮かびます。(津本けい)

★雨静かぼんぼり灯し雛の間/藤田裕子
雨の一日。雛の間のぼんぼりが、しっとりと潤んだように灯っている。雛様に寄せるやさしい思いが句にあふれている。(高橋正子)

★うすら日の朝の陽射しの三月に/桑本栄太郎
寒暖に差のある日々ですが、朝の陽射しはどことなく春めき、うっすらとして、まぎれもなく三月が来たことを知らされるようです。 (小川和子)

★街中に飛沫く音たて淡き雪/小川和子
春になって降る雪の、融けやすく水気の多い雪片を「飛沫く音」に感じます。街中に春の到来を告げてくれるかのような明るい音です。(藤田洋子)

★爆音の遠退き囀り戻りけり/渋谷洋介
飛行機などの発する爆音でしょうか。極めて激しい音のあとだけに、鳥たちの滑脱な軽快な囀りが、ことさら快く明るく響きます。(藤田洋子)


■選者詠/高橋信之
★踏み歩く雪に雪降り解けゆくに
春の雪は解けてゆくのが早いですね。つかの間の積雪に降りかかる雪もまたすぐに解けてゆきます。人が踏み歩いてゆけばなお更でしょう。春の雪を愛おしく思い眺めている作者の気持ちが伝わってきます。(小西 宏)

★花桃のすいと枝伸び咲きのぼる
★地下鉄出て雪降る中へ去りゆける

■選者詠/高橋正子
★抱き帰る桃の花なり散る一片
胸に抱いて帰られた桃の花ですもの。どんな素敵なお雛​様だろうと想像されます。そこに 散る一片 でしょう​。ちょっぴり侘びしさも感じます。それで句に厚みが出たと思われます。(迫田和代)

★桃の花家内に咲いて外(と)には月
★雪敷いて雛いまだに飾られず


■互選高点句
●最高点(7点/同点2句)
★抱き帰る桃の花なり散る一片/高橋正子
★厨にも花菜一本挿しておく/祝恵子

●次点(6点)
★針箱に糸のいろいろ春の宵/黒谷光子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)

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●案内板●

2012-03-04 07:23:06 | 俳句
●フェイスブック句会のご案内
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■管理責任者(フェイスブック・ツイッター・ブログ等):高橋信之(花冠創刊者)
■選者:高橋信之(花冠創刊者)・高橋正子(花冠主宰)
■世話人:藤田洋子・安藤智久

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第10回(雛祭)フェイスブック句会投句箱

2012-03-01 05:15:10 | 俳句
◆フェイスブック雛祭句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(春)計3句、雛、雛祭、雛あられ、桃の花の句などを下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2012年3月2日(金)午前0時~3日(土)午後9時
④選句期間:3月3日(土)午後9時~4日(日)午前9時
※入賞発表:3月4日(日)午前10時

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