■入賞発表/2011年12月4日■
【最優秀/2句】
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
冬紅葉の向こうに見えるものが「大きな空」である。「大きな」がこの句の内容の良さで、読み手にもその空を実感させてくれる。(高橋正子)
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
落葉と言えど枯れ色の葉ばかりではない。紅も、黄色も、またさみどりもあって、色鮮やかである。今落ちたばかりの葉も混じって、冬に入れば冬の明るさがある。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★葦枯るる湖の青さの一入に/高橋正子
「葦枯るる」冬の季節の「みずうみ」は、その青さも「ひとしお」で、快晴の青空と思う。冬を捉えて美しい風景だ。(高橋信之)
★別れてのち冬の夕陽を見て帰る/多田有花
大阪の花冠フェスの帰りであろうか。さり気無い冬の景がいい。さり気無い「別れ」に俳句の抒情がある。(高橋信之)
★黒土をうず高く盛るねぎ畑/足立 弘
よくある冬の風景だが、作者が見たのは、その風景深くにある、逞しい大地の力だ。「ねぎ畑」に見る自然の力だ。(高橋信之)
★雪舞うと添えられ林檎荷届きける/小川和子
早くも雪の舞う北国から届く林檎の、新鮮なみずみずしさを思い浮かべます。届く荷の嬉しさとともに心の通い合うあたたかさも感じます。(藤田洋子)
★踏み込んで傾ぐ落葉の深さかな/津本けい
今年の秋から冬へかけては気候が定まらず、知らぬ間に冬となった 感がある。それでも落葉の景も進み、積み重なる落葉に足を踏み入れ その深さに驚いた作者である。その驚きの体験がリズム良く詠われている。(桑本栄太郎)
★チャイム鳴る落葉の森の向こうから/古田敬二
喧騒としたときには聞こえない森の向こうにある学校のチャイムが今日は聞こえてくる。騒音のない穏やかな冬の一日を感じさせてくれます。(高橋秀之)
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
【高橋正子特選/8句】
★水鳥の来て多摩川の和らぎぬ/川名ますみ
多摩川はますみさんにとって、日常の身近な川。そこに水鳥がやってきて川に生き生きとして、和やかな表情が生まれる。楽しい冬の川である。(高橋正子)
★花八手みな咲ききりし裏庭を/藤田裕子
立冬からはやひと月近く経つと、八手の花はどれも咲き切ってしまう。何かの用事で裏庭に出て、気付いたことである。いよいよ歳末の感が強まる。(高橋正子)
★青空へ雪吊りの縄新しき/高橋信之
近づいてくる冬将軍に備えて枝の雪折れを防ぐ雪つり。円錐形の新しい縄が青空にぴんと張られる。雪国の冬の風物詩が、新しい縄の色で表現されている。(古田敬二)
★葱刻む旅の一と日のはや遠く/藤田洋子
日常の生活に戻られた朝の用意に、楽しかった旅も過ぎ去った。 「旅の一と日 」がすてきな言葉だと思います。(祝 恵子)
★ハミングするクリスマスソング二三曲/祝恵子
街に出るとクリスマスソングが溢れています。そんなクリスマスソングにあわせるように思わずハミングしてしまう、この季節のウキウキとした楽しい感じが伝わってきます。(高橋秀之)
★我が息で曇るメガネや冬銀河/安藤智久
自分の息でめがねが曇るほどの寒い夜ですが、冬の澄んだ空気で星空が広がっています。寒くてもとても気持ちのよいひとときです。(高橋秀之)
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
【入選/13句】
★坊に入る案内の僧の足袋白し/後藤あゆみ
ひっそりと冷たい冬の宿坊。先に立って歩く(たぶん)若い僧侶の白足袋が音もなく進み澄みやかである。静寂。(小西 宏)
★からからと校庭駆ける枯葉かな/小口泰與
放課後でしょうか。子供たちの居ない校庭を、大きく転がりながら風に吹かれる枯葉。広々とした初冬を感じさせてくれます。(小西 宏)
★群れている鴨の何れか声放つ/黒谷光子
先日ご案内いただいた琵琶湖のほとりを思い出します。ゆったりと浮かぶ鴨の群から空に響く声が聞こえる。どこからか、それは分からない。それほどに湖は広
いのだ。(小西 宏)
★冬の陽へ大きく海鵜羽ひろげ/佃 康水
海鵜は夏の繁殖期には日本海側の岩壁や岩礁で集団繁殖します。越冬期のいまは、全国の磯浜で普通に見られ、昼間は分散して餌を取り夜に集団でのねぐらを持ちます。この海鵜はこれから餌場へ出かけるところなのでしょうか。はつらつとした雰囲気があります。(多田有花)
★満天星は地に楓は空に冬紅葉/河野啓一
今年は暖かく師走に入っても鮮やかな紅葉が楽しめます。見上げればカエデ、目を降ろせばドウダンツツジの赤さ双方を交互に眺めて楽しんでおられる姿が浮かんできます。(多田有花)
★水平線の薄くなりいく師走かな/下地 鉄
「寒い冬」というものがほとんどない亜熱帯の沖縄に暮らしておられる詠者。水平線の色の変化に師走を感じておられます。微妙だからこそ確かにそこにある季節です。(多田有花)
★小春日や窓拭きあげて陽を招く/上島祥子
気持ちのよい晴天、その中で窓ガラスのくもりをきれいに拭かれました。そこを通して冬の暖かな日差しがさんさんと入ります。磨き上げた充実感と太陽の心地よさ、「陽を招く」という表現が素敵です。(多田有花)
★水鳥の湖おおらかに空の下/小西 宏
うららかな空のもと、漫々と水を湛えた湖に憩う水鳥たち。明るく広がる湖を眼前に、作者の晴々とした大きな感動が伝わります。(藤田洋子)
★心持ち明るき朝に帰り花/井上治代
時節はずれに咲く花が、気持ち明るい朝となればことさら心楽しく感じられます。帰り花を見て明るく軽やかな朝の始まりです。(藤田洋子)
★冬めいた海も臨める山歩き/迫田和代
潮の色も紺青に濃く美しく冬めく海。海を臨む視界の広がりに季節を感じながら、心地よい山歩きの楽しさが伝わります。(藤田洋子)
★湯豆腐や今宵も他愛なき話/後藤あゆみ
友達と酒でも飲みながら、湯豆腐をつつきおしゃべりをしている。話の内容は特にこれというものもなく他愛のない話である。他愛のない話が生きていると思います。こういう酒を飲みたいものです。(足立 弘)
ご夫婦での夕餉の風景でしょう。少しは酒が入るにしても大した量ではない。会話は途切れないにしても特段のニュースがあるわけではない。しかししんみりと、湯豆腐に夜は温まります。(小西 宏)
寒くなればしばしば登場する湯豆腐、他愛なき話に平凡でも幸せな家族像が浮かびます。(黒谷光子)
★電飾の希望の色濃く十二月/藤田裕子
神戸ルミナリエが始まりました。阪神淡路大震災の鎮魂の祈りから 始まったこの催しが、今年は東日本大震災の鎮魂・復興への願い へとつながっています。被災された方、日本全体へ「希望」という言葉 がことに大きな歳末です。(多田有花)
神戸ルミナリエなどを思います。人々を元気づけてくれるあたたかいいろですね。(河野啓一)
★泥付きの人参葉ごと届けらる/上島祥子
取れたての人参をお届けいただいたのでしょう。泥付き、葉ごとというのが新鮮さを感じさせてくれます。きっとおいしい人参だったことでしょう。(高橋秀之)
ご近所の家庭菜園からの届け物でしょうか、とても新鮮で美味しそうな人参ですね。泥付きが素敵ですね。(小口泰與)
■選者詠/高橋信之
★鴨を見て鴨に見られて湖に
確かにそんな時があります。暫しのその情景が目にうかびました。(下地鉄)
湖に浮かぶ鴨に見られての句に惹かれました。鋭い観察に驚きました。(迫田 和代)
★青空へ雪吊りの縄新しき
厳しい冬のために用意された雪吊りはやがて雪が積もる日を待って居るかの様に今は真新しい縄を青空に光らせています。雪吊りは北国の原風景として素敵です。(佃 康水)
真っ青に晴れた大空に、この冬に備えて張られたばかりの雪吊りの縄に注目されています。きっと陽のひかりにきらきらと輝いていたことでしょう。(小川和子)
近づいてくる冬将軍に備えて枝の雪折れを防ぐ雪つり。円錐形の新しい縄が青空にぴんと張られる。雪国の冬の風物詩が、新しい縄の色で表現されている。(古田 敬二)
★師走に入る雨の一と日を書にこもる
■選者詠/高橋正子
★葦枯るる湖の青さの一入に
「葦枯るる」冬の季節の「みずうみ」は、その青さも「ひとしお」で、快晴の青空と思う。冬を捉えて美しい風景だ。(高橋信之)
★胸までの波に浮かびて湖の鴨
冬の昼、水面に群れて浮かぶ鴨。川の鴨とも、海や磯のそれとも違う「湖の鴨」は、どんな姿をしているのでしょう。まだ見ぬ景色ですのに、御句から、ひろやかな湖面としずかな鴨の眺めが浮かび、清々しい心地を覚えました。「胸までの波」に、対象を丁寧に観る、優しいまなざしが思われます。(川名ますみ)
★葉牡丹の渦に残れる雨きらら
この時期鉢植えや畑にお正月用にと植えられて居る葉牡丹を良く見かけます。赤紫や乳白色のぎざぎざした葉先を「葉牡丹の渦」との表現に感動致しました。渦で有ればこそ雨雫の光りが交差したり屈折したりできらきらと光り合っているのですね。活き活きと輝いている雨後の葉牡丹が見えて参ります。(佃 康水)
■互選高点句
●最高点(6点)/同点3句
★多摩川や水面にもある冬の街/川名ますみ
★小春日や窓拭きあげて陽を招く/上島祥子
★青空へ雪吊りの縄新しき/高橋信之
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
▼コメントの無い句には、コメントをお願いします。
【最優秀/2句】
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
冬紅葉の向こうに見えるものが「大きな空」である。「大きな」がこの句の内容の良さで、読み手にもその空を実感させてくれる。(高橋正子)
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
落葉と言えど枯れ色の葉ばかりではない。紅も、黄色も、またさみどりもあって、色鮮やかである。今落ちたばかりの葉も混じって、冬に入れば冬の明るさがある。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★葦枯るる湖の青さの一入に/高橋正子
「葦枯るる」冬の季節の「みずうみ」は、その青さも「ひとしお」で、快晴の青空と思う。冬を捉えて美しい風景だ。(高橋信之)
★別れてのち冬の夕陽を見て帰る/多田有花
大阪の花冠フェスの帰りであろうか。さり気無い冬の景がいい。さり気無い「別れ」に俳句の抒情がある。(高橋信之)
★黒土をうず高く盛るねぎ畑/足立 弘
よくある冬の風景だが、作者が見たのは、その風景深くにある、逞しい大地の力だ。「ねぎ畑」に見る自然の力だ。(高橋信之)
★雪舞うと添えられ林檎荷届きける/小川和子
早くも雪の舞う北国から届く林檎の、新鮮なみずみずしさを思い浮かべます。届く荷の嬉しさとともに心の通い合うあたたかさも感じます。(藤田洋子)
★踏み込んで傾ぐ落葉の深さかな/津本けい
今年の秋から冬へかけては気候が定まらず、知らぬ間に冬となった 感がある。それでも落葉の景も進み、積み重なる落葉に足を踏み入れ その深さに驚いた作者である。その驚きの体験がリズム良く詠われている。(桑本栄太郎)
★チャイム鳴る落葉の森の向こうから/古田敬二
喧騒としたときには聞こえない森の向こうにある学校のチャイムが今日は聞こえてくる。騒音のない穏やかな冬の一日を感じさせてくれます。(高橋秀之)
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
【高橋正子特選/8句】
★水鳥の来て多摩川の和らぎぬ/川名ますみ
多摩川はますみさんにとって、日常の身近な川。そこに水鳥がやってきて川に生き生きとして、和やかな表情が生まれる。楽しい冬の川である。(高橋正子)
★花八手みな咲ききりし裏庭を/藤田裕子
立冬からはやひと月近く経つと、八手の花はどれも咲き切ってしまう。何かの用事で裏庭に出て、気付いたことである。いよいよ歳末の感が強まる。(高橋正子)
★青空へ雪吊りの縄新しき/高橋信之
近づいてくる冬将軍に備えて枝の雪折れを防ぐ雪つり。円錐形の新しい縄が青空にぴんと張られる。雪国の冬の風物詩が、新しい縄の色で表現されている。(古田敬二)
★葱刻む旅の一と日のはや遠く/藤田洋子
日常の生活に戻られた朝の用意に、楽しかった旅も過ぎ去った。 「旅の一と日 」がすてきな言葉だと思います。(祝 恵子)
★ハミングするクリスマスソング二三曲/祝恵子
街に出るとクリスマスソングが溢れています。そんなクリスマスソングにあわせるように思わずハミングしてしまう、この季節のウキウキとした楽しい感じが伝わってきます。(高橋秀之)
★我が息で曇るメガネや冬銀河/安藤智久
自分の息でめがねが曇るほどの寒い夜ですが、冬の澄んだ空気で星空が広がっています。寒くてもとても気持ちのよいひとときです。(高橋秀之)
★冬紅葉向こうに大きな空がある/高橋秀之
★落葉踏む紅も黄色もさみどりも/桑本栄太郎
【入選/13句】
★坊に入る案内の僧の足袋白し/後藤あゆみ
ひっそりと冷たい冬の宿坊。先に立って歩く(たぶん)若い僧侶の白足袋が音もなく進み澄みやかである。静寂。(小西 宏)
★からからと校庭駆ける枯葉かな/小口泰與
放課後でしょうか。子供たちの居ない校庭を、大きく転がりながら風に吹かれる枯葉。広々とした初冬を感じさせてくれます。(小西 宏)
★群れている鴨の何れか声放つ/黒谷光子
先日ご案内いただいた琵琶湖のほとりを思い出します。ゆったりと浮かぶ鴨の群から空に響く声が聞こえる。どこからか、それは分からない。それほどに湖は広
いのだ。(小西 宏)
★冬の陽へ大きく海鵜羽ひろげ/佃 康水
海鵜は夏の繁殖期には日本海側の岩壁や岩礁で集団繁殖します。越冬期のいまは、全国の磯浜で普通に見られ、昼間は分散して餌を取り夜に集団でのねぐらを持ちます。この海鵜はこれから餌場へ出かけるところなのでしょうか。はつらつとした雰囲気があります。(多田有花)
★満天星は地に楓は空に冬紅葉/河野啓一
今年は暖かく師走に入っても鮮やかな紅葉が楽しめます。見上げればカエデ、目を降ろせばドウダンツツジの赤さ双方を交互に眺めて楽しんでおられる姿が浮かんできます。(多田有花)
★水平線の薄くなりいく師走かな/下地 鉄
「寒い冬」というものがほとんどない亜熱帯の沖縄に暮らしておられる詠者。水平線の色の変化に師走を感じておられます。微妙だからこそ確かにそこにある季節です。(多田有花)
★小春日や窓拭きあげて陽を招く/上島祥子
気持ちのよい晴天、その中で窓ガラスのくもりをきれいに拭かれました。そこを通して冬の暖かな日差しがさんさんと入ります。磨き上げた充実感と太陽の心地よさ、「陽を招く」という表現が素敵です。(多田有花)
★水鳥の湖おおらかに空の下/小西 宏
うららかな空のもと、漫々と水を湛えた湖に憩う水鳥たち。明るく広がる湖を眼前に、作者の晴々とした大きな感動が伝わります。(藤田洋子)
★心持ち明るき朝に帰り花/井上治代
時節はずれに咲く花が、気持ち明るい朝となればことさら心楽しく感じられます。帰り花を見て明るく軽やかな朝の始まりです。(藤田洋子)
★冬めいた海も臨める山歩き/迫田和代
潮の色も紺青に濃く美しく冬めく海。海を臨む視界の広がりに季節を感じながら、心地よい山歩きの楽しさが伝わります。(藤田洋子)
★湯豆腐や今宵も他愛なき話/後藤あゆみ
友達と酒でも飲みながら、湯豆腐をつつきおしゃべりをしている。話の内容は特にこれというものもなく他愛のない話である。他愛のない話が生きていると思います。こういう酒を飲みたいものです。(足立 弘)
ご夫婦での夕餉の風景でしょう。少しは酒が入るにしても大した量ではない。会話は途切れないにしても特段のニュースがあるわけではない。しかししんみりと、湯豆腐に夜は温まります。(小西 宏)
寒くなればしばしば登場する湯豆腐、他愛なき話に平凡でも幸せな家族像が浮かびます。(黒谷光子)
★電飾の希望の色濃く十二月/藤田裕子
神戸ルミナリエが始まりました。阪神淡路大震災の鎮魂の祈りから 始まったこの催しが、今年は東日本大震災の鎮魂・復興への願い へとつながっています。被災された方、日本全体へ「希望」という言葉 がことに大きな歳末です。(多田有花)
神戸ルミナリエなどを思います。人々を元気づけてくれるあたたかいいろですね。(河野啓一)
★泥付きの人参葉ごと届けらる/上島祥子
取れたての人参をお届けいただいたのでしょう。泥付き、葉ごとというのが新鮮さを感じさせてくれます。きっとおいしい人参だったことでしょう。(高橋秀之)
ご近所の家庭菜園からの届け物でしょうか、とても新鮮で美味しそうな人参ですね。泥付きが素敵ですね。(小口泰與)
■選者詠/高橋信之
★鴨を見て鴨に見られて湖に
確かにそんな時があります。暫しのその情景が目にうかびました。(下地鉄)
湖に浮かぶ鴨に見られての句に惹かれました。鋭い観察に驚きました。(迫田 和代)
★青空へ雪吊りの縄新しき
厳しい冬のために用意された雪吊りはやがて雪が積もる日を待って居るかの様に今は真新しい縄を青空に光らせています。雪吊りは北国の原風景として素敵です。(佃 康水)
真っ青に晴れた大空に、この冬に備えて張られたばかりの雪吊りの縄に注目されています。きっと陽のひかりにきらきらと輝いていたことでしょう。(小川和子)
近づいてくる冬将軍に備えて枝の雪折れを防ぐ雪つり。円錐形の新しい縄が青空にぴんと張られる。雪国の冬の風物詩が、新しい縄の色で表現されている。(古田 敬二)
★師走に入る雨の一と日を書にこもる
■選者詠/高橋正子
★葦枯るる湖の青さの一入に
「葦枯るる」冬の季節の「みずうみ」は、その青さも「ひとしお」で、快晴の青空と思う。冬を捉えて美しい風景だ。(高橋信之)
★胸までの波に浮かびて湖の鴨
冬の昼、水面に群れて浮かぶ鴨。川の鴨とも、海や磯のそれとも違う「湖の鴨」は、どんな姿をしているのでしょう。まだ見ぬ景色ですのに、御句から、ひろやかな湖面としずかな鴨の眺めが浮かび、清々しい心地を覚えました。「胸までの波」に、対象を丁寧に観る、優しいまなざしが思われます。(川名ますみ)
★葉牡丹の渦に残れる雨きらら
この時期鉢植えや畑にお正月用にと植えられて居る葉牡丹を良く見かけます。赤紫や乳白色のぎざぎざした葉先を「葉牡丹の渦」との表現に感動致しました。渦で有ればこそ雨雫の光りが交差したり屈折したりできらきらと光り合っているのですね。活き活きと輝いている雨後の葉牡丹が見えて参ります。(佃 康水)
■互選高点句
●最高点(6点)/同点3句
★多摩川や水面にもある冬の街/川名ますみ
★小春日や窓拭きあげて陽を招く/上島祥子
★青空へ雪吊りの縄新しき/高橋信之
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
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