仕手集団「光進」の小谷光浩元代表から約300億円を脅し取られるなどした「蛇の目ミシン工業」旧経営陣5人が、約610億円の損害賠償を求められた株主代表訴訟で、最高裁が元社長らの上告を棄却する決定をし、約583億円の賠償を命じた東京高裁判決が確定したという記事。
「賠償額が確定する例としては、今回の訴訟が過去最高額とみられる。」
事件は小谷らが蛇の目ミシンの乗っ取りを企てたところから始まるわけですが、「秘史「乗っ取り屋」暗黒の経済戦争」(有森隆著)という本によれば、乗っ取り資金を出したのは飛島建設(当時)だそうです(たぶん有名な話だと思います)。
「飛島建設は1986年3月期の利益目標20億円を達成できる見込みが立たなくなった。これに焦ったのが、社長の飛島章だ。・・・飛島は社長室に経理部長の安田を呼びつけ、財テクで20億円の利益をひねり出すよう指示した。・・・安田が立てた20億円の益出し作戦は、飛島建設が蛇の目ミシン株を買い集め、その株に小谷が20億円を上乗せして、飛島建設から買い取る。小谷の買い取り資金は、飛島建設が貸し付けるというものだ。」
この本によれば、実際にほぼこのシナリオどおりの取引が行われ、飛島建設は25億円の利益(今の基準なら完全に粉飾)をあげましたが、小谷には巨額の資金が流出し、また経理部長の安田正幸には弱みを握られる結果となりました。安田は、飛島建設の子会社が社名変更したナナトミという会社の経営者となりましたが、ナナトミの無謀なレジャー施設建設のため、飛島建設が多額の債務保証を行っていたというのも、よく知られている話です。ちなみにナナトミは1991年に2900億円の負債を抱えて倒産しています。
バブル崩壊前後のこうした数百億円から数千億円規模の経済事件と比べれば、最近のいろいろな事件は小粒なのかもしれません。
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