国際会計基準審議会（IASB）は、サプライヤー・ファイナンスに関する開示を強化する基準改正を行いました（2023年5月25日付）。（上記リンクは、ＩＡＳＢのプレスリリースの日本語版）
「この開示要求は、一部の企業のサプライヤー・ファイナンス契約が十分に可視化されておらず、投資者の分析を妨げているという投資者の懸念へのIASBの対応である。
この修正は、IFRS会計基準にすでにある要求事項を補完するものであり、以下を開示することを企業に要求している。
- 契約条件
- 当該契約の一部である負債の金額（仕入先がファイナンス提供者からすでに支払を受けている金額を区分し、当該負債が貸借対照表のどこに記載されているのかを記述）
- 支払期日の範囲
- 流動リスクの情報
サプライヤー・ファイナンス契約は、サプライチェーン・ファイナンス、営業債務ファイナンス、又はリバース・ファクタリング契約と呼ばれることが多い。」
「IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」及びIFRS第7号「金融商品：開示」に影響を与える」とのことです。
2024年1月1日以後開始する事業年度に適用です。
上記ページには、解説動画（ウェブキャスト）と、ＩＡＳＢ理事による解説へのリンクが掲載されています。
該当するサプライヤー・ファイナンスとは．．．
（解説動画より）
金融機関が、サプライヤーに立て替え払いしてくれるような仕組みが該当するようです。どういう名前で呼ばれているかは、関係ありません。
どのような開示が必要なのか．．．
「Non-cash changes」は、キャッシュフロー計算書にも影響するのでしょう。買掛金が、サプライヤーファイナンスによって金融債務に変わると、買掛金の支払い（営業キャッシュ・フローのマイナス項目）が減って、金融債務の返済（財務キャッシュフローのマイナス項目）になります。だから、注記をさせようということなのでしょう。
解説文より。
Non-cash changes
Under some supplier finance arrangements, trade payables retain their classification in a company’s balance sheet after they are approved for inclusion in the arrangements. In other arrangements, there could be a change in classification—the trade payable could be derecognised and a new finance payable recognised. The feedback from investors suggested that knowing when this change in classification has occurred is essential in analysing both liabilities and cash flows. The change in classification could result in a non-cash transfer in the statement of cash flows: an operating cash inflow when the trade payable is initially created followed by a financing cash outflow when the new finance payable is paid. This non-cash transfer can have significant ramifications for investors’ analysis of operating cash flows or free cash flows.
サプライヤー・ファイナンスによって、買掛金のままとする場合と、金融債務に組替る場合があるそうです。
