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新日本で不正会計がなぜ頻発するのか?(東洋経済より)

新日本で不正会計がなぜ頻発するのか?週刊東洋経済2015年9月26日号

週刊東洋経済の東芝特集の中の記事。新日本の監査を取り上げています。

こちらのブログに全文掲載されています。

新日本で不正会計がなぜ頻発するのか?(週刊東洋経済)(磯山友幸のブログ )

この数年で監査報酬が急減していたそうです。

「監査法人の監査証明が得られなければ会社は上場を維持できなくなる。本来なら、会社よりも監査法人のほうが力は強そうなものだが、東芝と新日本はどうやら逆だったようだ。それを端的に示しているのが監査報酬だ。

 東芝は2009年3月期に14億5600万円を新日本に監査の見返りに支払っていたが、その後年々減り、15年3月期は10億2500万円。同業の日立製作所が新日本に支払った監査報酬(20億2100万円)の半分以下である。

当然、その分、新日本が東芝の監査に費やす時間も減っていたと思われる。新日本の幹部は「東芝との関係が年々事務的になっていた」と語る。要は、会社に強く物を言うことができなくなっていたのである。」

2009年3月期における財務制限条項抵触についてもふれており、新日本がゴーイングコンサーンに関する事項として付記しなかったことを問題にしています。

「そんな重大な決算だった09年3月期の監査報告書に、新日本はどんな記載をしていたか。有価証券報告書の「事業等のリスク」に東芝自身は「期限の利益を喪失する場合、当社の事業運営に重大な影響を生じる可能性があります」と書いている。

本来なら監査法人もこの点を指摘するゴーイングコンサーン(企業の継続性)についての記述をすべきなのに、新日本は何も書いていない。期末後に資本調達したことだけが「追記情報」として書かれている。

つまり、投資家にリスクを強調することはせず、安心材料だけを記載したわけだ。

おそらく新日本はゴーイングコンサーンの付記を検討したに違いない。だが、結局それを見送ったのは会社側との力関係だったのではないか。金融庁もルールを変えて、“支援”していたという見方もある。」

財務制限条項抵触で即ゴーイングコンサーン付記とはならないので、これはいいのではないでしょうか。記事でふれているように、当時の基準改正により、付記はかなり減っており、東芝だけを支援したわけではありません。

ただ、財務的に厳しい状況だったことはたしかでしょうから、それが巨額粉飾の原因にはなったのでしょう。

最後のまとめの部分は、そのとおりかもしれません。

「会計監査がきちんと機能するには、監査法人の独立性が保たれ、企業との力関係が逆転していないことが不可欠だ。新日本で会計不祥事の「見逃し」が続くのは、会社との力関係で劣位にあることに根本的な問題があるのではないか。規模の大きい法人を維持するために、大口の監査先を失いたくない、あるいは、新規の監査を少しでも取りたいという思いが優先し、企業に足元を見られているのではないか。

新日本が今後、どう体制を立て直すのか。東芝との関係を本来あるべき緊張関係に戻せるかどうかが、まずは問われることになる。」
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