会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節(東洋経済より)

「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節 証言台で金融庁や東京都の「政策ミス」を告発

ソーシャルレンディングの「みんなのクレジット」が個人投資家から損害賠償を求められている訴訟の様子を伝える記事。元社長が証言したそうです。

まず、どのような事件か...

「2015年に設立されたみんクレは、投資家から小口で資金を集め、それを借り手企業に融資するソーシャルレンディング事業を営んでいたが、2017年3月に関東財務局から1カ月の業務停止命令を受けた。さらに、虚偽の説明をもとに資金を集め、損失を被らせたとして、個人投資家22人から計1億円の損害賠償請求訴訟を起こされている。

みんクレは2016年4月からサービスを開始したが、当時のソーシャルレンディングの利回り(年率)が平均7~8%だったのに対し、同社は最大14.5%の利回りをうたい、合計で約45億円の資金を集めた。

資金を集める際、複数の企業に融資を行うかのように投資家に説明していたが、実際には、集めた資金のほとんどがみんクレの親会社である「ブルーウォールジャパン」(BWJ)やその関連会社に貸し付けられていた。貸し付け額は40億円にのぼるという。」

結局、投資家の資金30億円は回収できなくなったそうです。

経営者側の言い分は...

「一方、白石氏が法廷で展開した主張は大きく2点ある。1点目は、親会社などへの融資は当局も事前に認めていたというものだ。

ソーシャルレンディングは、投資家から資金を集める際には金融商品取引法(金商法)の規制を、集めた資金を融資する際には貸金業法の規制を受ける。金商法上では第二種金融商品取引業の登録が必要となる。その登録の際、次のようなやりとりがあったと白石氏は証言した。

「初年度は(融資の)90~95%を親会社などグループ向けで回すけれども、2年目、3年目は70%、50%と落としていく。3年目にグループ向けが50%になればいいでしょうということで許認可をもらった」

つまり、業務停止命令を受けた2017年の時点で親会社などグループ向けの貸し付け比率が高かったことは、行政当局も認めていた既定路線だったというのだ。実際には、グループ外への貸し付けが思うように進まず、サービス開始初年度は97~98%がグループ向け融資だったという。」

「白石氏の主張の2点目は、複数の企業に融資を行う予定であるかのように、投資家向けのWebサイトに記載をしていたのは当局にも責任があるとした点だ。証言台で「金商法の透明性と貸金業法の匿名性のどっちを信じていいのか、監督官庁の指導が真逆だったので悩んだところがある。金融庁の政策ミスも指摘してほしい」と訴えた。

前述のように、ソーシャルレンディングは金商法と貸金業法の2つの規制を受ける。金商法の観点では投資家保護のために投資先(融資先)に関する情報の開示が求められる。これが白石氏のいった「金商法の透明性」だ。

だが、貸金業法の観点からは、2019年3月まで融資先が特定されるような情報の明示は控えられてきた。これは融資先を特定したうえで投資家がお金を出すと、その投資家が事実上の貸し手に近くなるため、投資家は貸金業登録が必要になりうるとの解釈があったからだ。貸金業法違反となることを確実に避けるため、ソーシャルレンディングで問題が多発するまでは、融資先を匿名とする運用が続いてきた。

みんクレの場合も、主な融資先である親会社のBWJは匿名で表記されていた。問題は投資家から資金を募るたびに、「関東から東海地区までファミリー物件の開発を手がけるハウスメーカー」「関東圏に展開する都内の投資会社」など、同一の会社であるのに6通りもの表記を使い分けていたことだ。」

記事の最後のほうでは、原告である投資家側の弁護士が、会社の言い分を批判しています。融資先を匿名にするかどうかと、分散融資しているかのような誤解を与えるような宣伝をしていたことは別問題だというもっともな主張です。
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