中堅商社の兼松が、売り上げに計上していた子会社の石油取引の一部に「実在性がなかった」として、05、06両年度の連結決算で売上高計約167億円を訂正したという記事。
「・・・子会社「新東亜交易」(東京都)の複数の社員が手がけた05年10月から今年3月にかけての海上石油取引計691件で、買い手の代金支払期限が同種取引の商慣習の30日より長い60日や90日に設定されていた。
兼松ではこれらの取引が、事実上は取引相手に資金を一定期間融通する「金融取引」だったと判断。」
商社の役割の中には「金融」も含まれているわけですが、それは通常の売買取引の中に組み込まれていることが多いと思います。記事によれば、支払期限が同種取引よりも長いということをもって、金融取引に分類したようですが、判断に困るような微妙なケースもあるかもしれません。
過年度決算短信(連結)等の一部訂正について(PDFファイル)
会社のプレスリリースによれば、問題の子会社の監査人から、「石油取引について「売上計上の実在性に関する監査手続きが実施不能と見込まれるので、意見表明のための合理的な基礎を得ることが出来ない」旨の見解が示され」たことが、決算見直しの直接的なきっかけとなったようです。
また、この取引は、「一部担当者が同社(問題の子会社)に無断で、海上取引を中心に特定先に対する金融支援的な取引を行っていた」ということですから、会計処理の問題以外に、内部統制にも不備があったことになります。
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