会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

平成26年度決算に係る不適切な会計処理について(お詫び)(秋田大学)

平成26年度決算に係る不適切な会計処理について(お詫び)

国立大学法人秋田大学の不正会計の報道について昨日取り上げましたが、8日になって、大学からプレスリリースが公表されました。

「本学では、平成26年度の決算を確定し、財務諸表を平成27年6月24日に文部科学省に提出しました。その後、文部科学省とのやり取りの中で改めて財務諸表を確認したところ、奨学寄附金の収益化手続に関する疑問点が判明し、本学では奨学寄附金に関わる処理について検証した結果、不適切な処理が発見されるに至りました。」

「秋田大学では、平成26年度決算に際し、寄附金債務として計上されていた19億5,035万円の内、7億2,243万円を手続きを経ることなく寄附金収益へ振替えるという処理が行われ、経常損失並びに当期総損失を同振替額だけ少なく表示し、同時に寄附金債務を同額だけ少なく表示する不適切な会計処理が行われた。」

単なる表示の問題ということではなく、負債過少計上という重要な不正です。

これだけでは、よくわからなかったので、調べてみると、別の大学で作成した会計基準の解説が参考になります。

国立大学法人会計基準の特徴について(九州大学)(PDFファイル)


(九州大学資料より)

国立大学法人会計では、受け取った寄付金は、その使途が費用化されるタイミングで、収益計上されるそうです。たとえば、学生への奨学金に充てるようにという趣旨で寄付金を受け取った場合は、奨学金を学生に給付するのに応じて、収益化するのでしょう。また、備品購入に充てられたのであれば、備品の減価償却費に応じた収益化ということになります。それまでは、寄付者からカネを預かっているだけだから負債という考え方なのでしょう。

この会計処理をきちんとやるためには、寄付金と費用のひも付き関係を把握しなければなりませんが、内部資料でやるのでしょうから、細工される可能性はありそうです。

秋田大学長「期待裏切った」…不適切会計で謝罪(読売)

こちらも、国立大学の不祥事です。

福井大:大学院教授を懲戒解雇処分 不正利益得る(毎日)

「福井大は8日、大学の研究費で購入したパソコン部品を中古業者に売って約25万5000円を得たとして、大学院工学研究科の50代の男性教授を懲戒解雇処分にしたと発表した。」

25万円(原価はもっと高いかもしれませんが)で懲戒解雇とは厳しい処分です。

こちらは県立大学。

学生の賃金水増し、5年間不正受給 男性教授を停職 滋賀県立大(産経)

「発覚当初、県立大は不正に受け取った研究費を約18万円と発表していたが、その後の調査で、学生や卒業生28人の賃金265万720円を不正に報告し、研究費などを受け取っていたことが分かった。」

このケースでは265万円で停職3か月です。
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