会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

粉飾決算をプログラムで見抜け!「伝説の会計士」の挑戦(現代ビジネスより)

粉飾決算をプログラムで見抜け!「伝説の会計士」の挑戦

会計評論家の細野氏(元KPMGパートナー、キャッツ事件で有罪)が開発した粉飾決算を見つける「フロード・シューター」というソフトを紹介した記事。

このソフト自体は、記事を読む限り、目新しい要素が組み込まれているわけではなさそうです。

「フロード・シューターが下す評価のポイントを示しておこう。この評価は企業経営の良し悪しを見るのではない。あくまで「財務諸表の危険度」を探っているのである。よって評価は減点方式。評価項目は78あり、過去、細野氏が行い、粉飾を見破ってきた企業分析の手法に基づいている。

細野氏によれば近年の最先端の粉飾決算分析は「キャッシュフロー分析」に重きを置かれており、78項目もキャッシュフローの評価に多くの配点が割かれている。仮に損益計算書で利益が計上されていても、現金収入が伴っていなければ、その歪みは必ず売掛金や在庫などの増加として現れる。こうした危険な兆候がないか、78の評価項目に基づいて直近5期分の有価証券報告書から分析するのである。」

(キャッツの決算書をこのソフトにかけてみたら、どういう結果が出るのでしょう。)

このソフトより、むしろ、細野氏の経歴や監査批判のところが興味深く感じました。(3億円というのは、上場企業上位100社の監査報酬の平均だそうです。)

「「私は過去に粉飾が明らかになった企業を分析してきたが、粉飾決算の前の年、あるいは2年前には財務諸表に明明白白と、粉飾決算の影が現れていた。その決算書に監査法人は適正意見を出してしまっているのです。みすず監査法人は2度の粉飾で解散に追い込まれたのに、その後も監査法人はオリンパスや東芝の粉飾決算を指摘することはできなかった。当然でしょう。監査法人は企業から年間3億円もの報酬をもらっているのですから。

この監査制度の限界には会計士の多くが、気が付いている。監査法人で適正意見を拒否したらどうなるかを、私自身、何度も目撃してきた。次の日にはクライアントから強烈な抗議が来て、監査法人のトップ以下、幹部全員がクライアントに謝罪に行く。監査法人をいくら叩いても、顧客に粉飾を指摘するなど、どだい無理な話なのです。だから独立した第3者が粉飾を見抜くしかない」」

細野氏の公式サイト

https://yuji-hosono.com/

細野氏のあいさつ文より。

「オリンパスや東芝の粉飾決算事件を見て分かるように、企業から莫大な監査報酬をもらって行う日本の公認会計士監査は機能しません。これらの粉飾決算事件が発覚する度に、その粉飾財務諸表に適正意見を出し続けてきた監査法人は強い社会的批判を浴びるのですが、ここで少し冷静になって考えてみれば、上場会社の財務諸表適正性の監視機能をその上場会社からの報酬で生計を立てている監査法人だけに負わせるのは、人の情として、あまりにも酷ではありませんか?

欧米では、だから、財務諸表危険度分析を多くの民間団体が行っていて、監査法人を含む多元的な上場会社の財務諸表適正性監視体制が機能しているのです。この財務諸表危険度分析が、歴史の批判に耐えて、上場会社の財務諸表適正性の担保として機能することを願っています。」

コメント一覧

kaikeinews
キャッツの件ですね。
ちょうど、エンロン事件、アンダーセン消滅の影響で、日本の監査法人業界がごたごたしていた時期ですね。

細野氏は、日本の監査法人に属しているという意識ではなく、KPMG(というよりピートマーウィック)の会計士という意識なのでしょうから、KPMGが監査人といっても間違いではないのでしょう。
通りすがりのもの
新日本監査法人の名前で、監査報告書は作成されているのですが、平成15年に、細野さんたちKPMGジャパングループは、(旧)あずさ監査法人として分離したという経緯があります。
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