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税効果会計に関する論点の解説(新日本監査法人)

税効果会計に関する論点の解説

企業会計基準委員会で検討中の税効果会計に関する論点のうち、繰延税金資産の回収可能性以外のものについてまとめた解説。

開示、税率に関する公布日基準、 子会社の留保利益、未実現損益の消去などを検討中だそうです。

このうち未実現損益の消去に関しては・・・

「未実現損益の消去に係る税効果については、税効果会計の原則とされる資産負債法とは異なり、売却元の売却時点の税率を用いる繰延法が採用されています。繰延法によれば、売却元の売却時の課税所得に基づき計上額が制限される代わりに、回収可能性又は支払可能性の判断が行われません。しかし、このような例外を設けるべきではないという意見が出ており、早急に対応すべき論点として取り上げられました。」

繰延法を続ける理屈はなさそうですが、資産負債法だと面倒くさそうだなという感じはします。

当サイトの関連記事(公布日基準見直しについて)

理屈があっているかどうかはわかりませんが、資産負債法だとこうなるのではないかという例を考えてみました。

例1

税率30%の国のP社が、税率ゼロの国の子会社S社に製品を販売した。その際の利益は1,000。これに対する税金が300。S社では在庫のまま。

この場合、消去される未実現利益は1,000、繰延税金資産はゼロ。(P社が支払った税金は取戻しようがない。)

例2

税率ゼロの国の子会社S社が、税率30%の国のP社に製品を販売した。この際の利益は1,000。これに対する税金がゼロ。P社では在庫のまま。

この場合、消去される未実現利益は1,000、繰延税金資産は300。(P社在庫の税務上の簿価は1,000引く前の金額であり、会計上の簿価と1,000差がある。これにより、在庫を外部に販売した時に、P社では300の税金が節約できる。)

ただし、P社の将来の課税所得によっては、このような税務メリットは享受できないかもしれない。その場合は、繰延税金資産を減額する。
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