会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

防衛装備、費用管理に不備 検査院指摘(日経より)

防衛装備、費用管理に不備 検査院指摘

会計検査院が、防衛装備について、ライフサイクルコストの管理に不備があると指摘したという記事。

「防衛省は、装備品の開発から運用、廃棄までの各段階に要した費用の契約金額や人件費、燃料費などを装備施設本部に集約し分析することで、調達費用を削減したり更新時期を適切に判断したりしている。「ライフサイクルコスト(LCC)管理」と呼ばれ、2007年に発覚した防衛商社の水増し請求問題を踏まえ、10年2月に「実施要領」を策定し本格運用している。

検査院は今回、F2戦闘機や10式戦車など主要14品目について13年度までの管理状況を調査。その結果、12年度までの3年間は全14品目で、13年度は4品目でそれぞれデータ入力に不備が見つかった。

部品調達にかかる1件ごとの契約金額のデータを収集せず、予算額のままだったり、将来発生する人件費の見積額を計上しなかったりするケースがあったほか、装備品によっては見積額と契約金額の差額の要因を分析せず、コスト削減の検証が行われていなかった。

航空自衛隊のF2戦闘機では、13年度までの改修にかかった費用を約470億円としていたが、能力向上のための改修費約160億円を計上していなかった。」

こんなところで管理会計が出てくるとは。検査官には、管理会計を専門とする元早稲田大学教授もいるので、当然ではありますが・・・。

防衛装備品のライフサイクルコスト管理の実施について(会計検査院)

「貴省において、LCC管理の目的の達成を図るために、新設される防衛装備庁と各幕等が、それぞれのLCC管理上の役割を適切に認識し、相互に密接に協力する態勢を整備して、今後のLCCの見積値の算定や見積値の実績値への更新を適切に行うとともに、これに基づく差異分析等の検証を適切に行い、その結果を防衛装備品の取得の意思決定等に適切に活用することができる方策を講ずるよう意見を表示する。」

しかし、もっと大きな無駄も横行しているようです。(「防衛装備品の取得の意思決定」という点では関連します。)

陸自「攻撃ヘリ部隊」は、自滅の危機にある(東洋経済)

「調達コストにしても国内生産が高いならば輸入にすべきだった。そうすれば半分程度で済んだはずだ。しかもライセンス生産とは名ばかりで、ほとんどのコンポーネントは輸入で単なる組み立て生産である。にもかかわらず1機に85億円も払っていたのだから経済感覚がまるでなかったといえる。」(AH-64Dというヘリコプターについて)

「そもそもAH-1Sの調達からしてデタラメだった。AH-1Sは、富士重工が1982年からライセンス生産を開始し2000年まで18年かかって、89機が生産された。初期の2機は1977年と1978年に1機ずつ輸入されており、調達に約四半世紀を費やしたことになる。

だが「本家」の米陸軍ではすでに1984年から、AH-1Sの後継機であるAH-64Dの調達が始まり、1997年には調達を終えている。にもかかわらず、わが国では米国がはるか前に調達をやめた旧式攻撃ヘリを延々と生産してきたのだ。その平均調達価格は約25億円で、米国の約3倍、特に末期には調達数が減り、単価は48億円、米国の6倍ほどまでに高騰した。旧式の軽自動車に最新式のベンツの値段を払ってきたようなものである。」

陸自のヘリ調達、ことに攻撃ヘリの調達は極めてデタラメであり、当事者意識が完全に欠如している。だがそれを許しているのは政治とメディアの軍事音痴と無関心にほかならない。このような現状を放置して、安保法制を議論しても虚しいだけではないだろうか。」

当サイトの関連記事(米軍の会計監査について)

防衛装備庁が発足 装備開発や調達、武器輸出まで担う(朝日)

「背広組からなる内部部局や陸海空の各自衛隊に分かれていた装備の調達機能をまとめて、コストの削減を目指す。予算は約2兆円にのぼる。」
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