ANAホールディングスが航空機の償却方法を今期から変更するそうです。
「ANAホールディングスは2014年3月期から航空機の減価償却の方法を変更する。機体に比べ耐用年数の短い内装の償却期間を短縮することなどが柱。サービス向上の一環で内装の更新頻度を高めているのに対応・・・」
2014年3月期からということで、第1四半期ですでに変更済みとなっています。
平成26年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(ANAホールディングス)(PDFファイル)
「(会計上の見積りの変更と区分することが困難な会計方針の変更)
当社及び一部の国内連結子会社は、航空機、建物及びリース資産を除く有形固定資産の減価償却方法を、従来定率法によっておりましたが、当第1四半期連結会計期間より定額法に変更しております。
この変更は、首都圏空港容量の拡大や航空自由化の更なる進展、LCCの相次ぐ新設等、航空業界の環境変化が大きな転換期を迎えていることを受け、航空事業に集約されている保有設備の使用実態を見直した結果、今後は従前に比べてより安定的な設備の稼動が見込まれており、耐用年数にわたり均等に費用配分を行う定額法がより合理的であると判断したことによります。この変更により、当第1四半期連結累計期間の営業損失は148百万円増加し、経常損失及び税金等調整前四半期純損失は147百万円増加しております。
(会計上の見積りの変更)
当社及び一部の国内連結子会社は、当第1四半期連結会計期間より、一部の航空機について、将来の使用可能予測期間をより適切に反映するために、耐用年数を変更しました。
この変更により、当第1四半期連結累計期間の営業損失は1,840百万円増加し、経常損失及び税金等調整前四半期純損失は2,089百万円増加しております。」(決算短信より)
機体そのものと内装部分を分けて償却するということだと、IFRSをにらんだコンポーネント・アカウンティングでしょうか(従来から分けているのかもしれませんが)。手元のIFRSの解説書では、機体とエンジンを別個に償却するという例が挙げられています。
定率法から定額法への変更もIFRS対応かもしれません(定額法に変更して損失が増えるというのも珍しいような気もしますが)。
ところで、定額法への変更理由で「LCCの相次ぐ新設」が挙げられていますが、「LCCの相次ぐ新設」によって、LCCでない(あるいはLCCが中心でない)会社にとっては、機体が新しいうちに稼がなければならなくなるでしょうから、むしろ、定率法維持の理由のようにも思えます。
IFRSの基本 連載第6回: IFRS 導入の影響-有形固定資産(その1)(IFRSコンソーシアム)
(補足)
16日の日経記事によれば、「今期から航空機を機体と内装、エンジンに分けて償却期間をそれぞれ変える」のだそうです。
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