週刊経営財務の4月16日号によると、企業会計基準委員会における企業結合に関する審議で、少数株主との取引を資本取引として扱うという方向とのことです。
「4月5日に開催した第241回本委員会では、企業結合に係る論点として、少数株主持分の取扱いに関する審議を行った。現行処理を継続する方針であるのれん以外の論点に関しては、当初の計画通り改正を行いたい考え。」
現行基準では、(1)BS上、少数株主持分は純資産(広い意味での資本)に含まれる、(2)損益計算書の当期純利益には少数株主持分の損益は含まれないが、(3)包括利益計算書の包括利益には少数株主に帰属する部分も含まれる、(4)少数株主との取引や子会社における増資・減資・自己株式取引は親会社の観点で会計処理され、損益が計上される(例外的に剰余金直入)、というふうに、非常にわかりにくくなっています(せめて、当期純利益と包括利益ぐらいは整合させてほしいものですが)。
これが、海外基準に合わせて、少数株主持分も資本(したがって少数株主との取引も資本取引)ということで整理されるようです。
少数株主との取引の例として、経営財務の記事では、子会社株式の追加取得と、子会社株式の一部売却、子会社における時価発行増資などが挙げられています。
このような取引は連結の一番難しいところであり、慎重な担当者なら、解説書をみながらやるところですが、考え方が従来とは全く変わってしまうので、解説書も相当部分書き直しとなりそうです。
非常におおざっぱにいうと、子会社株式の追加取得は、少数株主への(連結グループ)持分の払い戻し、一部売却は、少数株主からの(連結グループへの)追加出資ということになるのでしょう。
第241回企業会計基準委員会の概要 Webcast(企業会計基準委員会)
雑誌FACTAの標的になっているSBIホールディングスから、たまたま、子会社株式一部売却による多額の利益計上に関するプレスリリースが出ていました。
当社子会社株式の一部譲渡に伴う特別利益計上に関するお知らせ
基準見直し後はこのような利益計上はできなくなるのでしょう。
嵐の公開質問状シリーズ1 SBI第四質問状(FACTA)
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