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トランプ大統領「消費税は“非関税障壁”」の誤解、むしろ深刻な問題はほかにある(ダイヤモンドオンラインより)

トランプ大統領「消費税は“非関税障壁”」の誤解、むしろ深刻な問題はほかにある(要無料登録)

トランプ米大統領が付加価値税や消費税を非関税障壁だといって批判していることを取り上げた解説記事。

「トランプ氏は3月5日には議会で施政方針演説を行い、「相互関税」を4月2日に発動することを明言した。

その税率算定では、相手国の関税だけでなく、他の税制や規制、為替レートなどの「非関税障壁」も考慮の対象にし、非関税障壁を数値化するため、各国の状況を数週間から数カ月かけて精査するという。

トランプ氏は「付加価値税や消費税も関税と見なす」と語っている。付加価値税や消費税のために、他国の輸出業者はアメリカの輸出業者よりも不当に優位になるという。

これは税率が高いEUの付加価値税を主に想定しているが、日本の消費税に対しても批判的な見解を示している。特に日本の輸出企業が消費税を免除されている「輸出免税制度」を、不公平でアメリカ企業にとって不利だと主張している。」

たしかに、日本からアメリカに輸出するときには、輸出免税で消費税がかからないのはもちろんのこと、非課税売上とも違って、取引の前段階で生じた消費税が仕入税額控除できる(控除しきれなければ還付される)のに対し、日本がアメリカから輸入するときには、しっかり消費税がかかります。それだけ見れば、不公平だということになるのでしょう。

しかし、この記事では、そうではないということを解説しています。

こちらの文春記事では、アメリカ側の認識を説明しています。

トランプの標的は「自動車関税」より「日本の消費税」だ! 日本人だけが知らないそのワケ(文春オンライン)

「消費税が「不公平な税制」とは、どういうことなのか?

現在、米国を除く約150カ国で採用されているVAT(付加価値税)は、1954年にフランスが最初に導入した。フランス政府が自国企業に供与したかった「輸出補助金」は、「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」に違反するため、「自国の輸出企業へ補助金を与える合法的手段」として考案されたのだ。「付加価値税」という名称だが、「実質的には輸出企業を援助する目的が強い税金」(米公文書の説明)として活用が始まった。

消費税(付加価値税)の“からくり”について、元米通商代表のライトハイザー氏は、次のように解説する。

(税率をEUの平均である21%とした場合)
・ニューヨークで100ドルの米製品は、欧州では121ドルになる。
・パリで100ドルの欧州製品は、輸出還付金のため米国では79ドルになる。

この差額42ドルが、付加価値税が生み出す「障壁」であり、EU企業は輸出時の付加価値税の控除により、価格競争で優位に立てる。」

日本国内ですら、輸出大企業への補助金だという議論があるぐらいですから、付加価値税の制度がない(売上税はある)アメリカの大統領やその取り巻きたちに理解してもらうのは、なかなか難しそうです。それに、向こうは税金の細かい理屈など、単なる交渉材料としか考えていないでしょうから、理解させたからといってどうなるものでもないかもしれません。(日本の共産党系団体とアメリカのウルトラ保守が同じことを言っているのはおもしろい。)

そのアメリカでは、確定申告シーズンだというのに、IRS(内国歳入庁)の職員が大勢首切りされているそうです。

ニクソンの二の舞を演じるか…今年2月、確定申告シーズンにIRS職員「大量解雇」、トランプ政権の“異次元の一手”にアメリカメディアは「悪手」との評価も【税理士が解説】(Yahoo)

「2月末、IRSの試用期間中の税務職員6,000人以上が解雇されました。Forbesによると、そのうち3,500人以上が中小企業担当職員とのことです。これはトランプ氏が掲げた公約の1つである「連邦政府の縮小」が背景にあります。

バイデン政権のインフレ抑制法によって、予算が増強されていたIRSですが、今回の方向転換によりサービスの質が低下することは避けられないでしょう。インフレ抑制法によって、人員の増加とITの導入が進み、サービスの向上が期待されていました。それでもIRSの現状は「10回電話をかけて2〜3回つながるかどうか」というレベルだったという印象です。

今回の大幅な人員削減により、今後IRSへの問い合わせがまったくつながらない事態も想定されます。」

「トランプ政権のIRSへの干渉はまだ続きます。イーロン・マスク氏率いる政府効率化省はIRSの根幹となるIntegrated Data Retrieval System(IDRS)へのアクセスを求めており、財務省を含む多くの議員によって反対されています。

IDRSにはマスク氏の競争相手となる法人の情報も含まれており、政治的利用の可能性や、海外のハッカーによる個人情報の漏洩リスクが懸念されています。IDRSは非常に機密性の高いデータベースであり、アクセスできる職員も限られています。」

IRSといえば、米国公認会計士協会は、さまざまな報道があるIRSを巡る事態を懸念する声明文を出したそうです。

AICPA emphasizes importance of a modern IRS in statement(JofA)(米国公認会計士協会機関誌)

The AICPA is discussing conflicting reports about the state of the IRS with agency officials and is monitoring developments in the wake of thousands of layoffs, the president and CEO of the AICPA said Friday in a statement.

In a column published Feb. 24 in The New York Times, seven former IRS commissioners said about 6,700 probationary agency workers had been laid off in the midst of tax season, which opened Jan. 27. In addition, 4,000 to 5,000 IRS employees accepted a deferred resignation offer, said Doreen Greenwald, president of the National Treasury Employees Union.

Employees deemed critical to filing season are exempt from the federal government’s voluntary resignation program until May 15, according to an email sent to IRS employees in early February.

AICPAのCEOの声明文。

AICPA CEO Releases Statement on IRS Services for this Tax Season(2025年3月7日)(AICPA)

CEOのコメント部分のグーグル翻訳(一部改変)。

「「ここ数週間、IRS の現状に関する情報が大量に流れており、その一部は矛盾した報道につながり、混乱を招いています。AICPA は、この情報を明確にするために IRS の担当者と活発な話し合いを行っており、IRS が短期的および長期的な影響を評価し続ける中、私たちは動向を積極的に監視しています。現在の環境は不安定で、出来事は急速に変化しているため、納税者とそのアドバイザーにとっては、事実と虚構を調整することが重要です。一貫性のない報道があるにもかかわらず、われわれは、IRS が今年の納税シーズンのサービス レベルを近年と同等に維持するためにあらゆる努力をしていることを承知しています。

「納税者とその申告書作成者に対するサービス レベルを維持する IRS の能力は、AICPA にとって極めて重要です。テクノロジーの進歩を含む近代化の取り組みと組み合わせた IRS のサービスは、長年にわたり AICPA の推奨事項の基盤となってきました。現代的で機能的な IRS は、米国人が納税義務を果たすために、そして国の財政健全性にとって不可欠です。

「AICPA は、納税者とその専門家に提供されるサービスへの影響を理解するために熱心に取り組んでいるため、IRS に対して一定の救済策を提供する勧告を継続的に提供しています。現在の IRS の運営に関する国民の混乱を最小限に抑えるために、私たちは声を上げ、支援しています。」」

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