会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米会計基準の日本企業 持ち合い株で相次ぎ評価損(日経より)

米会計基準の日本企業 持ち合い株で相次ぎ評価損(記事冒頭のみ)

米国会計基準採用企業で、持ち合い株について多額の評価損が計上されているという記事。会計基準の変更によるものです。ただし、ソニーのように評価益となった会社もあるようです。

「米国会計基準の採用企業で株の評価損が相次ぎ発生している。持ち合い株の株価変動を利益に反映させるルール変更が原因で、トヨタ自動車は約3500億円の損失を計上し2019年3月期の業績予想を下方修正した。ワコールホールディングスや東芝でも損失が発生しており、株式相場の変動で純利益が動きやすくなっている。」
 
「米会計基準は17年12月以降に始まる会計年度から持ち合い株の評価損益を利益に反映させることを義務付けた。3月期企業なら19年3月期が初年度だ。」

「トヨタほどではないが他の企業でも損失は発生している。4〜12月期決算では東芝が57億円の損失を計上し、ワコールHDも79億円を計上した。一方でソニーは音楽配信大手、スポティファイ・テクノロジー株で評価益を含む799億円の利益を計上した。」

「今回の会計ルール変更で、持ち合い株の取り扱いが柔軟なIFRSへの移行が加速する可能性がある。」

記事によれば、トヨタの役員はIFRS導入を検討しているとのコメントを述べています。

米、国際基準に足並み IFRSには選択肢も(日経)(記事冒頭のみ)

米国基準では時価評価したうえで、評価差損益は、PL計上ですが、IFRSでは、その他包括利益に持って行くことができます。どちらの基準も時価評価であることでは同じですが、時価変動をどこに持って行くかが違います。

「米国会計基準のルール変更は、IFRSとの基準の共通化が背景にある。IFRSは有価証券を市場の実勢価格(時価)で評価する考え方が基本で、原則として企業の持ち合い株の評価損益は純利益に反映する。しかしIFRSでは会計基準の導入時に持ち合い株の評価損益を純利益か包括損益のどちらに計上するかを選択できる。」

「米国基準に例外ルールがないのは「事業会社が別の会社の株を持つ例はほとんどない」(野村資本市場研究所の西山賢吾氏)ためだ。日本基準では持ち合い株の時価の変化を純利益に反映させる必要はない。」

理屈からすれば、受取配当金を純利益に計上するのであれば、時価評価により評価差損益も純利益でしょう。

米国の事業会社が別の会社の株を持つ例がほとんどないというのは、たぶんそのとおりなのでしょうが、バフェット氏の会社のような投資会社は大きな影響を受けているようです。

バフェット氏投資会社、最終赤字2.7兆円 株安など響く(日経)

「著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイが23日発表した2018年10~12月期決算は、最終損益が253億ドル(約2兆7830億円)の赤字に転落した。前年同期は325億ドルの黒字だった。買収先の米食品大手クラフト・ハインツで減損損失が発生したほか、相場下落で保有する上場企業株に評価損が発生した。」

「米会計基準では上場株の含み損益を損益計算書に反映する必要がある。バークシャーは投資目的で米アップルや米コカ・コーラなど上場株を1727億ドル(18年12月末)保有するため、最終損益が相場環境によってぶれやすい。18年10~12月期は景気減速懸念で米国株相場が急落した影響を受けた。」

たしか、非上場会社の株も時価評価なのでは?

「最終赤字転落は相場環境の悪化に加え、過去の買収先の不振が響いた。バークシャーが発行済み株式数の27%を保有する米食品大手クラフト・ハインツは18年10~12月期決算で、チーズなどのブランドとして知られる「クラフト」の商標など一部無形資産で減損処理を迫られた。バークシャーも同10~12月期に保有株の減損損失として30億ドルを計上し、主にクラフトによるものと説明した。」

27%もっているのであれば、時価評価ではなく、持分法でしょう。

そのクラフト・ハインツでは、のれんの減損で大きな損失を出したほか、SECによる調査を受けたことを年次報告書で開示したそうです。

Kraft Heinz Discloses SEC Probe, Shares Tank(CFO)

Kraft Heinz shares plunged in extended trading Thursday after the food giant disclosed a regulatory investigation of its accounting practices and a $15.4 billion goodwill impairment charge.

昨年10月に、SECから、仕入れ先との契約、付帯契約、それらの変更など、調達に関する会計方針・手続や内部統制について情報を求める召喚状を受け取ったそうです。

According to the earnings release, the company received a subpoena in October 2018 from the U.S. Securities and Exchange Commission seeking information about “accounting policies, procedures, and internal controls related to its procurement function, including, but not limited to, agreements, side agreements, and changes or modifications to its agreements with its vendors.”

会社は、調達に関する自社の調査により、25百万ドルの売上原価を追加計上したそうです。(会社の規模からすると大きな金額ではない?)

Kraft Heinz also said that as a result of its own investigation into the procurement area, it recorded a $25 million increase to costs of products sold.

仕入れ先からのリベートや割戻しの会計処理か何かが問題になったのでしょうか。
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