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ASBJがJ-IFRS草案に向け方針整理、基準の削除/修正は「必要最低限」(ITproより)

ASBJがJ-IFRS草案に向け方針整理、基準の削除/修正は「必要最低限」

J-IFRSの検討状況に関する記事。

12日の会議で、IFRSに対する削除/修正は最低限にするという方針が示されたようです。

「今回、IFRSに対する削除/修正について、以下の方針を示した。

(ピュアIFRSを)可能な限り受け入れるのが前提。十分な検討を尽くした上で、基本的な考え方や実務上の困難さの観点から「なお受け入れがたい」との結論に達したもののみを削除/修正することが適切である。」

具体的な修正項目も挙げられていますが、リサイクリングと、のれん非償却に絞り込むようです。

「基本的な考え方に重要な差異があるものについては、重要な項目として(1)OCI(その他包括利益)のリサイクリングおよび当期純利益に関する検討、(2)のれんの非償却、(3)公正価値測定の範囲、(4)開発費の資産計上、の四つを提示。エンドースメントされたIFRSでは、この中で「(1)と(2)に直接関連する項目」に関して、削除/変更する案を示した。」

J-IFRSの構成案も示されています。

「今回の会議ではエンドースメントされたIFRS(修正版IFRS)の構成案も示した。一つは、日本語に翻訳されたIFRS(IAS、IFRS、IFRICなど)をベースに削除/修正し、削除/修正していないものを併せた日本語版全てを公表するもの。もう一つは、IFRS英語版をベースにして、削除/修正した基準だけを日本語および英語で公表するというものだ。ASBJ側は後者が適切であるとした。」

全体としては、戦線縮小という感じです。記事によれば「これまでの議論では「意見発信」よりは「日本企業にとっての導入のしやすさ」を重視していた印象があったが、今回の方針は「意見発信」に重きを置いており・・・」ということなので、利用会社数をやたらと増やすことは狙わないのでしょう。ほとんど完全版IFRSと同じであり、また、「「実務上の困難さがあるもの」については基本的に削除/修正はしない方向」(記事より)となれば、「意見発信」に協力しようという奇特な会社以外は、利用しないのではないでしょうか。

その「意見発信」についても、記事によれば、IASB理事の鶯地氏から「くれぐれも誤解を生まないよう気を付けてほしい」とくぎを刺されたようです。

今後、「公開草案作成に向けた作業を本格化する」そうですが、その前に、J-IFRS策定の要否も含めて、論点整理でも出して、パブコメを募集するのがよいと思います。また、上場会社にアンケートでも実施して、利用する会社がどのくらいあるのかも調べるべきでしょう。数十社ぐらいしかなければ、策定自体をやめるべきです。いったん作ってしまって、1社でもそれを採用したら、その会社が完全版に移行するまでずっとメンテナンスしなければなりません。そういうコスト面も考慮すべきでしょう。(コストを負担する機構の会員が考えればいい話ですが)
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