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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

電通を襲った再びの悪夢、「世界進出」の落とし穴 M&A連発の海外で巨額減損、過去最大赤字に(東洋経済より)

電通を襲った再びの悪夢、「世界進出」の落とし穴
M&A連発の海外で巨額減損、過去最大赤字に

電通グループが、2024年12月期で大赤字を出したことを解説した記事。

「電通グループは2月14日、2024年12月期決算(国際会計基準)を発表した。収益は1兆4109億円(前期比8.2%増)に拡大した一方、営業損益は1249億円の赤字に転落(前期は453億円の黒字)。純損益は1921億円の赤字(前期は107億円の赤字)と、過去最大の赤字に膨らんだ。」

のれん減損が原因です。

「矢継ぎ早の買収によって、電通グループののれんは2023年末時点で、総額8000億円超に上っていた。昨今の金利上昇から将来見込まれるキャッシュフローの割引率を高く設定し、ITの急激な台頭や世界的な広告大手同士の合併といった海外事業全般のリスクを保守的に織り込んだ結果、アメリカセグメントと、ヨーロッパ・中東・アフリカのセグメントに関連したのれん減損を約2100億円計上することになった。

電通グループが前回、過去最大の赤字に沈んだのは2020年12月期のこと。実はこの時も、赤字の最大の要因は、海外での買収によって膨らんだのれんの巨額減損だった。」

海外事業の不振は外部環境だけが理由ではないそうです。電通は、いまや単なる広告会社ではなく、DX・コンサルティングビジネスに力を入れているそうですが...

「電通グループは、急拡大していたDX・コンサル需要に追いつくうえで、事業別の収益管理・目標設定を徹底することが有効と判断。各事業をそれぞれのCEO(最高経営責任者)が統治する独立経営を推進した。

結果として、一体提案を望む顧客に対しても、グループの各部門が個別で提案を持ち込んでしまう状況に発展。一気通貫のソリューションを推し進めるフランスの広告大手のピュブリシス・グループなどに、案件の獲得で水をあけられることとなった。」

日本セグメントは好調なのだそうです。

「海外M&Aに傾注する傍らで、実は日本セグメントは4期連続で過去最高の売上総利益を更新し、前期に最高益を達成している。広告事業の堅調ぶりに加え、DX・コンサル領域の成長も寄与した。とくに近年は、パーパス策定など経営層に対するコンサルの収入拡大が顕著となっている。」

いろいろな改善策を打ち出していますが...

「ただ、2023年夏からdentsu Americas CEOとしてアメリカセグメントの軌道修正を進め、今期の続投も発表されていたマイケル・コマシンスキ氏が、年明け早々に電撃退任。電通グループ副社長のジュリオ・マレゴリ氏がCEO代行に就くなど、足元はおぼつかない。

日本でも気を抜く余裕はない。世界2位の広告会社でもあるコンサル大手・アクセンチュアの日本法人は、2023年にPR会社のシグナルを買収するなど、マーケティング領域を強化している。業界関係者の間では、「アクセンチュアがさらなる買収を仕掛けて、広告枠の調達機能を埋めに来るのではないか」という声も上がる。

グループが抱えるのれんは2024年末時点でも、7000億円近く残っている。」

投資家向け情報(電通グループ)

EMEA および米州地域におけるのれんの減損損失の計上および2024 年 12 月期通期業績予想と実績の差異に関するお知らせ(2月14日)(電通グループ)(PDFファイル)

「当社グループでは、のれんに関して毎年第4四半期会計期間に年次の減損テストを実施しています。この度、当社グループの4事業地域に含まれるEMEAと米州において、減損テストを行いました。

その結果、直近の市場金利を踏まえ、従来よりも高い割引率を適用したこと、また、海外事業における様々なリスクを保守的に反映したことなどにより、2024年11月14日に公表した通期業績予想には含まれない、同地域ののれんの減損損失2,101億円を認識しました。この内訳はEMEAで1,530億円、米州で571億円となります。また、これに他の地域での減損損失を合計した額は2,163億円となります。」

個別決算では巨額の株式評価損を計上しています。

「子会社である Dentsu International Limited の株式について評価を行った結果、帳簿価額に対し実質価額が著しく低下したと認められました。当該事象により、2024 年 12 月期の個別決算(日本基準)において、関係会社株式評価損 300,976 百万円を損益計算書の特別損失「関係会社株式評価損」に含めて計上することといたしました。」

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