OECDが、新たな国際課税の枠組み案を公表したという記事。
どういう内容の案か...
「OECD案はグローバル企業からの税収を、事業展開の実態に合わせて各国で分け合うことを柱とした。各国は自国にある売上高をもとに、グローバル企業に課税できるようにする。例えばある日本企業の売上高が日本で8割、米国で2割の場合、米国は利益の2割分に課税する権利を持つ。
今のルールでは、支店や工場など「物理的拠点」がない企業に国は課税できない。ただ、IT大手などのデジタル企業は拠点を持たずに国境を越えたサービスを展開するため、大きな事業を手掛けている国でも課税されないという問題がある。
OECDは各国が課税できるのは「消費者向けの事業」からの利益とする考え方も示した。その上で、収益力の高い企業の利益はブランド力や認知度で上積みされているととらえる。上積みされた利益は国境とは関係ないため、売上高に応じて各国が分けられるという考え方だ。
上積み分の利益を正確に切り分けるのは難しいため、一定の算定率を設けて機械的にはじく。具体的にはこれから詰めるが、一般に高収益の目安とされる「利益率10%超」が候補だ。例えば利益率15%の企業は10%分が今のルールで課税され、残りに各国が課税する。」
何に対する利益率かというと、記事によると、売上高に対する利益率のようです。
「例えば企業全体の税引き前利益をみると米フェイスブックは売上高の3割程度で対象になるが、5%弱の米アマゾン・ドット・コムは対象から外れる。」
「20年末までに詳細も含めた最終合意を目指す」とのことです。
GAFA拠点なくても法人税 OECD、課税原案を公表(朝日)(記事前半のみ)
「本社などの拠点がなくても、利用者がいる「市場国」が売上高に応じて法人税を課せられるようにする内容だ。」
「具体的には、利益を二つに分けて課税する。利益全体のうち通常得られるとみられる「一般的な利益」には、これまで通り社屋や工場などがある国が課税する。この水準を超す部分を、ブランド力や顧客データなどの「無形資産」がもたらした「特別な利益」と位置づける。そして、各市場国が売上高の比率に応じて課税できるようにする。」
デジタル課税でOECDが新提案 物理的拠点なくても課税(産経)
「課税の際は、対象企業の利益を「通常利益」と「超過利益」に分ける。分け方は今後、関係国が協議して決めるが、利益率10%程度を通常利益とすることが有力視されており、それを超えた利益を超過利益とする。そのうち「市場国」に振り分けられるのは、ブランドといった無形資産で生み出される利益などで、割合は今後決める。国ごとへの利益配分は、売上高に応じ決まる見通し。」
OECDのプレスリリース。
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OECD、経済のデジタル化によって生じる課税問題に多角的取り組みを実施(OECD東京センター)
「最新の提案は、134カ国・地域が対等な立場で国際課税ルールについて多角的に交渉を行うG20/OECD BEPS包摂的枠組みの成果を元にしています。大規模で高利益を上げている多国籍企業、まず手始めにデジタル企業に、消費者向け活動の拠点がどこにあるか、どこで収益を上げているかにかかわらず、確実に納税させるために、共通要素を3つの競合する提案にまとめています。
この計画は、現在公聴プロセスが行われていますが、一部の利益とそれに対する課税権を市場がある国・地域に割り当てることを提案しています。いわゆる「関連性(nexus)」ルールを設定することで、物理的に所在していない国・地域で重要な事業を行っている多国籍企業がこれら地域で確実に課税されるようになります。また、利益のどのくらいの割合について、消費者の所在地(「利益配分」ルール)で課税できる、またはすべきかについても、新たなルールを作ることになります。」
「この問題は、2020年末までに国際課税ルールを見直すための合意に基づく多角的解決策に到達するというG20の役割と、G20の予定どおりに合意に達することができなかった場合には、各国が一方的な措置を執るリスクが高まり、国際的なルールに基づく課税枠組みの妥当性と持続可能性を損なう恐れがあり、世界全体の投資と成長により大きな悪影響が及ぶ可能性があるという認識に牽引されています。」
その原文。
↓
OECD leading multilateral efforts to address tax challenges from digitalisation of the economy
OECD proposes shakeup of global corporate tax structure(economia)
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