米証券大手メリルリンチが、10―12月期決算で、サブプライムローン問題による有価証券の評価損として115億ドル(約1兆2000億円)を計上したという記事。
「投資家への販売用や自己投資などで保有していたが、信用市場の混乱で買い手が付かないまま、価値が急落した。ほかにも高リスクのファンドや企業向け融資などで損失が膨らみ、関連損失の合計は150億ドル超になったもようだ。」
サブプライムと直接関係しない投融資でも損失が出ています。
Merrill Lynch Reports Full-Year 2007 Net Loss From Continuing Operations of $8.6 Billion
会社のプレスリリースによると、年間の損益も純損失78億ドル(継続事業損失が86億ドル)となっています。
FICC net revenues were negative $15.2 billion for the quarter, impacted primarily by net losses of $11.5 billion related to U.S. ABS CDOs and subprime residential mortgages and $3.1 billion of credit valuation adjustments related to the firm's hedges with financial guarantors. To a lesser extent, FICC was impacted by write-downs related to other residential mortgage and commercial real estate exposures.
ABSやCDOなどの証券化商品の取引から生じた損失だけでなく、ヘッジ取引の相手先である金融保証業者に関するcredit valuation adjustments信用リスク引当(という訳かどうかはわかりませんが)で31億ドルの損失を計上しています。保証を受けていても、保証が履行されるかどうかわからなければヘッジにはなりません。
金融庁長官:サブプライム関連損失、拡大続くとの見方
一方、日本の金融庁長官は、金融機関によるサブプライム関連証券保有額が1兆4070億円が評価損の上限額だといっています。しかし、それはあくまで金融機関の保有分だけであり、その他の投資家がどのくらい保有しているのかが把握できなければ、日本全体の潜在的損失額はわかりません。また、影響を受けるのが本当にサブプライム関連だけですむのかも現時点では不明です。
たしかに日本企業への影響は米国と比べれば限定的かもしれませんが、今期の決算では、何かあるかもしれない程度の意識は監査人も持つべきでしょう。上場株式のようには時価がはっきりしないというのも難点です。
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