金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で証券取引等監視委員会の強制調査を受けたジャスダック上場の長岡市の機械メーカー「プロデュース」が、社長を解任したという記事。
代表者である代表取締役および役職の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
ネットで調べてみると、社長が辞めただけでなく、会計監査人も退任しています。ただし、解任ではなく、監査人の方から契約解除したようです。後任監査人は未定です。
会計監査人からの監査契約の解除通知書受領に関するお知らせ(PDFファイル)
これによると監査契約の中で会社側は「一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して財務計算に関する書類及び計算書類等を作成し、法定期限又は監査受嘱者が監査を十分に行える時期までに、監査受嘱者に対し提出する責任を有する」とされているのに、その責任を果たしていないため、監査人の方から契約解除し辞任するということのようです。具体的には9月30日の有価証券報告書提出期限までに十分な監査ができるタイミングで、今回調査を受けている事項を訂正した財務諸表を監査人に提出できないことが問題となっているようです。
会社側は「当社会計監査人との監査契約が解除となることで、当社の平成20 年6月期の有価証券報告書に係る会計監査人の監査意見は受領できないこととなり、現時点では、平成20 年9月30 日を期限とする有価証券報告書の提出は困難と言わざるを得ない状況にあります」として、監査人に責任転嫁した書き方をしていますが、粉飾である可能性が相当高い財務諸表の監査報告書にだまってサインしろという方が無理な話です。
もちろん、今の段階では辞任せず、(1)すでに提出済みと思われる会社法監査の監査報告書を意見不表明のものに差し替えたうえで、株主総会において会計監査人の再任を辞退する、(2)金融商品取引法監査の監査人としては、会社が財務諸表を訂正しないのであれば、意見不表明の監査報告書を提出し、財務諸表を過年度分も含めて訂正するのであれば(法定期限には間に合わないが)訂正された財務諸表を十分に監査したうえで、監査報告書を提出する(その場合でも不表明になる可能性は高い)、という方法はあり得ます。
しかし、契約を継続することによって、会社と癒着しているように金融庁などから見られると、監査法人までつぶされてしまうおそれがあります。難しい判断だと思いますが、きっぱりと辞任してしまうのもひとつの考え方でしょう。(まだ確定はしていませんが)社長主導で粉飾している(という疑いが濃い)ようなところと関係を続けてもろくなことはありません。
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