会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

会計監査人の異動に関する開示の2回目の訂正(オウケイウェイヴ)

(訂正)「(訂正)「会計監査人の異動及び一時会計監査人の選任に関するお知らせ」の一部訂正について」の一部訂正について(6月27日)

インド人の会社のポンジスキームにひっかかったと報じられているオウケイウェイヴのプレスリリース。

4月28日に会計監査人の退任を開示し、その後、5月23日に退任の「理由および経緯」を一部訂正しました。今回、2回目の訂正を行っています。さすがに、監査人交代の経緯を2回訂正する(しかもかなり重要な訂正である)というのはまれでしょう。

以下、今回の訂正後の文言より。事件が外部に公表される前後の監査人の対応が、より詳しく記述されています。特に、監査役会に対して、監査の経緯や情報提供の内容を文書で通知していたそうです。

「これに関連して南青山監査法人から、Raging Bull 合同会社との取引について、2022 年6月期第1四半期及び第2四半期のレビューの際に、与信管理の強化及び証跡の提出を求められており、当社から当該取引先に対しても与信管理に必要な情報等の提供及び証跡の提出を、四半期決算ごとに依頼していたにも関わらず情報の提供等がなされていない状況が継続しておりました。このため当社と同監査法人による 2022 年4月 15 日の面談において、同監査法人より、結果として監査の遂行及び監査意見の表明が著しく困難な状況に陥ったことから、会計監査人の辞任の申入れが口頭でなされ、当社はこれを受け入れる方向であることと正式には両社で別途合意書面を締結する旨の協議をしました。同日、同監査法人が Raging Bull 合同会社の代理人弁護士より同社による一連の資金運用に関する不適切取引に当社の取締役が関与している懸念がある旨の情報提供を受けたことから、2022 年4月 19 日、同監査法人は、当社の監査役会宛に会計監査人の辞任の申入れを行うまでの当該資金運用に関する監査の経緯及び情報提供の内容について通知がなされました。この通知では同監査法人が Raging Bull 合同会社による一連の資金運用に係る当社の与信管理体制の整備・強化等につき「再三にわたり、書面又は口頭による問題点の指摘ないし是正の提案を行って参りました。しかし、貴社は、本日現在に至るまで与信管理体制の整備・強化等に向けた具体的施策を実施せず、結果として、当法人による監査の遂行及び監査意見の表明が著しく困難な状況に陥ったことから、当法人としては、誠に遺憾ながら、貴社の会計監査人を辞任せざるを得ないとの判断に至り」と記載されていましたが、当社としては当該取引先に対して、当該取引先が実際に IPO 株式の相対取引を行っている証券会社との契約書や取引履歴等を要請しておりました。また当社監査役は当該通知を受け取りましたが、取締役の関与の懸念があるとの記載から、この通知について情報取扱責任者である当社の取締役との情報共有はなされませんでした。その後、2022 年4月 28 日付で、南青山監査法人との監査及び四半期レビュー契約を合意解約することとなりました。」

監査人としては、(事件発覚前にも)会社に対して注意喚起したではないか、監査人としての役割を十分に果たしたと強調したかったのでしょうか。たしかに、訂正前の文言では、(ばくぜんとした)与信管理改善と資料提供を要求する以外のことは何もやっていなかったようにも読めるので、訂正を求めるというのもわかります。会社の方は、監査人からそれだけの注意喚起がなされていたのに、不十分な対応しかしなかったということになりかねないので、詳しく書きたくなかったのでしょう。

コメント一覧

kaikeinews
あやしい投資は、たしか、2021年6月期(本決算)の期末近くからやっていて、その決算では、全額回収できて、配当もあったようですね。2022年6月期の第1四半期と第2四半期も、まだ大きな金額にはなっていなかったのかもしれません。ただし、その1Qと2Qの四半期レビューの時点で「書面又は口頭による問題点の指摘ないし是正の提案を行って」いたとすれば、無限定の結論だったことと矛盾するかもしれませんね。
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