会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

日本郵政、大型買収が抱えるこれだけの不安(日経ビジネスより)

日本郵政、大型買収が抱えるこれだけの不安

日本郵政子会社の日本郵便がオーストラリアの物流大手、トール・ホールディングスを64億8600万豪ドル(約6200億円)で買収することを取り上げた記事。

のれんの話が出ています。

「この厳しい状況の中でもう1つ懸念を広げそうなのが、トールが抱える大量ののれん。トールは前述のように2000年代にM&Aで急成長したが、オーストラリアは国際会計基準を採用しているため、買収に伴うのれんは償却しない。そのせいで、トールにはのれんを中心とする無形資産が16億8600万豪ドル(約1612億円)と、総資産の28.6%を占めるほどになっている。

 ところが、買収で日本郵便の傘下に入ると、日本側は日本基準で連結処理をするため、この分は最長20年間で償却することになる。さらに、今回のトール買収は時価よりも約50%高い価格で行うことになっており、2000億円規模ののれんが日本郵政側に乗る可能性もある。これを合わせると20年償却の単純計算で毎年180億円の利益圧迫要因になる。

 日本郵便の前期最終利益は約329億円、トールは約280億円。計609億円の約30%が飛ぶ計算だ。しかも、当面シナジーが利かせにくい状態の中で、トールの事業が大きく悪化すれば、巨額の減損を迫られる恐れもある。国際物流の経験がほとんどない日本側にトールの経営をコントロールするのは、容易ではないとも考えられるだけに、状況は楽ではない。」

日本郵政がIFRSに移行すれば、償却の問題は解決しますが、そのかわり、のれんの減損の判定が厳しくなるので、どっちが有利ともいえません。

日本郵便による豪州物流企業Toll Holdings Limitedの株式の取得(子会社化)について(日本郵政)

Board unanimously recommends compelling transaction with Japan Post(Toll)
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