金融担当相との中小企業金融の円滑化に関する意見交換会で、全国地方銀行会長が、金融危機対応として時価会計の適用停止を要望したという記事。
金融危機の震源地である米国の銀行ですら、時価の評価方法を甘くしてほしい(企業による時価見積りを幅広く認めてほしい)程度のことしか主張していないのに、いきなり時価会計の適用停止を言い出すというのは、日本の地銀の状況がそれだけひどいということなのでしょうか。
第二地銀協会長も同様の趣旨のことを発言しています。
「第二地銀協会長の横内龍三会長(北洋銀行頭取)も、相場の急落で有価証券運用に含み損や評価損が発生すると「自己資本比率の低下になり、金融機関のリスクテイク能力に響いてくる」と指摘。その上で「緊急事態では、一時的に会計ルールの工夫で自己資本比率にプラスになるような施策を検討してほしい」と述べた。」
会計基準の操作で自己資本比率が上がっても実態が変わるわけではありません。そんなことをやれば、投資家や預金者を欺くことになります。米国基準を採用している大手銀行との格差がますますついてしまうことになるでしょう。
ただ、会計ルールはいじらずに、銀行監督上の自己資本比率の算定方法だけ変えるという方法はあるかもしれません。そうすれば、投資家に誤解を与える心配もなく、また、金融庁の規則を変えるだけでよいのでタイムリーな対応が可能です。例えば、有価証券の時価下落による自己資本の目減りは銀行監督上の自己資本比率算定には反映させないと金融庁が宣言すればよいのです。
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