会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

お金革命 先駆企業の挑戦(上) 仮想通貨は経費か資産か(日経より)

お金革命 先駆企業の挑戦(上) 仮想通貨は経費か資産か
遅れる会計基準
(記事冒頭のみ)

仮想通貨に関する会計処理をASBJが検討することになったという記事。それに関連して、仮想通貨の会計について取り上げています。

「「仮想通貨に関する会計上の取り扱いを検討するよう提言します」。日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は28日、「必要最小限の項目」と条件付きながらも審議入りを決めた。大枠の取りまとめまで半年はかかる見込み。」

「既存の会計ルールに沿えば、仮想通貨の保有者は貸借対照表の「棚卸資産」に、発行者は「負債」にそれぞれ計上するのが妥当だが、現状では会計基準がなく五里霧中の状態が続いている。簿外扱いの企業も多い。実際に仮想通貨が使われたり、価値が変動しても決まった反映方法はない。

PwCあらた監査法人の鈴木智佳子パートナーは「後になって仮想通貨を持つ企業の投資評価をゆがめたり、巨額の損益が突然、表面化したりする恐れはある」という。

会計の考え方で参考になるのが航空会社や家電量販店が発行する「ポイント」だ。日本の会計基準では将来、ポイントとの交換に必要な費用をあらかじめ引当金として計上することが多い。費用がかさむと営業利益の押し下げ要因となる。」

「ポイント」はそれに見合う商品やサービスを提供する義務を会社が負っているので、負債に該当しますが、仮想通貨の発行者はそういった義務を負わないでしょうから、負債に計上しようがないのでは。例えば、お菓子メーカーが過去に販売したお菓子に景品としてつけたおもちゃが中古市場で高く売買されていたとしても、そのお菓子メーカーの会計には関係ありません。それと同じなのでは。

市場で需要が高い仮想通貨を発行するためには、それなりのコストがかかるのでしょうが、そのコストを経費として計上するだけのように思われます。

あるいは、そうしたコストを費用計上した上で、仮想通貨発行額を時価ベースで利益に計上し、仮想通貨発行の見返りに得られた財・サービスを同じく時価ベースで資産や費用に計上するという方法も考えられます。この場合でも、負債には計上されません。まさに通貨発行益です。

もちろん、これは極端な例で、ポイントの代わりに仮想通貨と称して電子的データをわたすというような場合は、負債かもしれません。ほとんど一般には流通せず、発行会社でしか使えないような場合も同様です。商品券のたぐいも発行者の負債に額面で計上されますが、発行から年数がたって、使われる見込みがなくなったと見積もられる金額を負債から除外して利益にすることもあります。

いずれにしても、ASBJできちんと検討してくれることでしょう。

(本当の通貨である日銀券も負債なのかどうかという議論があるくらいですから、つきつめて考えると、いろいろあるのでしょう。)
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