会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

(社説)夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める(朝日より)

(社説)夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める

朝日新聞が社説で東京五輪中止を主張しています。

「この先、感染の拡大が落ち着く保証はなく、むしろ変異株の出現で警戒の度は強まっている。一般へのワクチン接種が始まったものの対象は高齢者に限られ、集団免疫の状態をつくり出せるとしてもかなり先だ。

そこに選手と関係者で9万を超す人が入国する。無観客にしたとしても、ボランティアを含めると十数万規模の人間が集まり、活動し、終わればそれぞれの国や地元に戻る。世界からウイルスが入りこみ、また各地に散っていく可能性は拭えない。

IOCや組織委員会は「検査と隔離」で対応するといい、この方式で多くの国際大会が開かれてきた実績を強調する。しかし五輪は規模がまるで違う。」

「組織委は医療従事者を確保するめどがつきつつあると言う。では、いざという場合の病床はどうか。医療の逼迫(ひっぱく)に悩む東京近隣の各知事は、五輪関係者だからといって優遇することはできないと表明している。県民を守る首長として当然の判断だ。

誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。残念ながらそれが現実ではないか。」

現政権は五輪開催に固執しているので、朝日が社説に書いたぐらいでは中止にはならず、読売あたりに、開催すべきという社説を書かせて、世論誘導を図るのでしょう。

万一、中止になった場合の、企業への影響ですが、限定的な影響しかないという調査もあるようです。

5月ロイター企業調査:東京五輪は中止・再延期が約7割、経済効果・損失とも限定的(朝日)(ロイター配信)

「すでに、海外からの観客は入れないことが決まっているほか、関係者の数も絞り込まれ、行動制限も厳しくなる。開催された場合、何らかの景気押し上げ効果を見込む企業は4割強となった。一方で「今開催しても人の出入りは限定されるため、当初の経済効果は期待できない」(輸送用機器)など、押し上げ効果は限定的にとどまるとの見方が過半数を占めた。さらには、開催後に感染が拡大することなどを懸念し「むしろ景気押し下げになる」との回答も7%あった。

中止となった場合、「これまでの投資が回収できない」(建設)として、「大きな経済損失」になるとの回答は26%開催による経済効果が限定的な以上、損失も限定的とする見方は59%と多く、経済損失はあまりないとの回答(13%)と合わせて、7割以上の企業が中止による損失はそれほどでもないとみている

「コロナを徹底的に抑え込んで経済のV字回復につなげることができる」(食品)として、「むしろ景気を押し上げる」との回答も2%あった。 」

開催しても、海外からの旅行客は(関係者を除き)ゼロで、有観客の開催でも、国内の需要を他の観光地・イベントから奪うだけでしょうから、効果は限定的なのでしょう。また、中止の場合でも、箱物の建設や膨大な経費の支出はほとんどが実施済みで、需要に貢献済みですから、中止になったからといって、マイナスも少ないのでしょう。

朝日の社説は海外メディアでも取り上げています。

五輪公式スポンサーの朝日新聞、大会中止求める社説掲載(AFP)

東京五輪のオフィシャルパートナーでもある朝日新聞(Asahi Shimbun)が26日、新型コロナウイルスが流行する中での大会は「健康への脅威」だとして、菅義偉(Yoshihide Suga)首相に対して「冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう」求める社説を掲載した。」

「野村総合研究所(Nomura Research Institute)も、五輪を中止した場合の損失は1兆8000億円との試算を出した一方で、開催をきっかけに感染が拡大し、緊急事態宣言が再び出れば、その経済損失の方が大きくなると警告している。」

こちらは、ある地方紙の23日の社説。

〈社説〉東京五輪・パラ大会 政府は中止を決断せよ(信濃毎日)

「7月23日の五輪開幕までに、感染状況が落ち着いたとしても、持てる資源は次の波への備えに充てなければならない。

東京五輪・パラリンピックの両大会は中止すべきだ。」

(補足)

読売は開催を前提にした中身のない社説を出しています。

東京五輪 開催へ感染防止策を徹底せよ(5月27日)(読売)

「この1年間、各種大型施設やイベント会場などでは様々な感染対策を講じてきた。これらの蓄積された知見を、大会での対策徹底に生かしてもらいたい。」
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